市民団体、ついに「警察」を支配するのか?

6月頃から話題になっている案件ですが、情報がある程度わかったので、更新しちゃいます。

文在寅大統領が、検察の権限を大幅に縮小しました。検察は、公職者の不正・犯罪、経済・金融犯罪、選挙犯罪以外は、直接捜査することができなくなり、そのかわり、警察の捜査権限は拡大されました。

検察が警察の逮捕状を拒否(再審査要求)するのも事実上できなくなり、特に、検事の逮捕状(検事を逮捕する)逮捕状を警察が申請した場合は、検察はこれを一切拒否・保留できなくなります。検察が警察の捜査を終結させることもできなくなります。そして、もうすぐ「自治警察(自治体警察)」制度が始まります。予定通りなら、2019年から。

 

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自治警察は、地方自治体が警察権を持つという意味です。さて、自治警察制度が無条件に悪いというわけでもありませんが、韓国ではこれが「国家警察(既存の警察制度)」の反対概念として、韓国の左派思想家たちの間では夢の一つでした。軍事政権のときから散々やられましたからね~彼らは。

金大中元大統領は公約として自治警察制度を掲げましたが、実現はできませんでした。実際にやっちゃったのはノムたん、盧武鉉元大統領の時ですが・・済州島だけで、しかもその捜査権の範囲が狭く、例えば飲酒運転を取り締まる権限すら無く、いまは山林や河川の環境監視などに特化した形で運用されています。

今回文在寅大統領がやろうとしている自治警察は、検察の権限縮小とともに、前とは比べ物にならない広い権限を持っています。気になるのは、文大統領にこの案を出した「警察改革委員会」という諮問機構です。委員長はパク・ジェスン氏ですが、彼は大韓民国弁護士協会の会長です。私はこの話を聞いた時、「警察の改革案を弁護士が論じてもいいのか?」と真っ先に思いました。

彼は「希望製作所」という財団の理事長でもありますが、希望製作所はソウル市長・パク・ウォンスン氏を中心とした左派性向の市民団体に所属した人たちが立ち上げた財団です。

警察改革委員会は「集会デモの自由を保証すること」や「自治警察制度の施行」など数十件に及ぶ警察機構の改革案を大統領に勧告しました。細部内容は、「自治警察の人事権は自治体長が持つ」、自治警察の業務処理適正などを全般的に監督する自治警察委員会は「政党所属ではなく、地域住民、市民社会の人などで構成する」など、いまの文大統領と与党に有利な内容ばかりでした(2017年11月、警察改革委員会の広域単位自治警察制導入勧告案より)。

今の予定通り進むなら、17ヶ所の広域自治体で、2019年から自治警察制度がスタートします。

文在寅政府になってから強調されている、自治体の権限強化(地方政府レベルにまで強化するとかなんとか)、そして自治警察。地方選挙での大勝利まで含めて考えると・・・市民団体が政治権力化しつつある、というのが「罪韓論」のテーマの一つでしたが、もはや「市民団体の警察機構化」が来るのか?と、曇ったことを考えてしまうシンシアリーでした。

 

 

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