伝える知恵

米国、アリゾナであったことです。恐縮ですが、ソースを忘れましたので詳しい時期は不明ですが、「感じ」からして最近のことではなく、結構前のことだと思います。

化石化した木(の破片とか)が多いことで有名な、アリゾナ州の「化石の森」国立公園。しかし、化石をこっそり持ち帰る人が多くて、大変困っていました。公園側は、警告というかお願いというか、いろいろ表札を作りましたが、期待したほどの効果はありませんでした。

アリゾナ大学も研究チームを作り、この被害を調査するために国立公園に派遣しました。ですが、そのチーム員の一人が、公園を訪れた二人組の客の妙な会話を耳にしました。

 

(ここから「続きを読む」の後になります)

「私たちも一つずつ、どう?」。

その客が立っていた場所は、他でもない警告表札の前でした。その表札にはこう書いてありました。「あまりにも多くの石化した木が無くなっています。皆さんが小さな化石1つを持ち出しても、毎年14トンが無くなります」。

大学研究チームは、これはもしやと思い、公園の各エリア別に、3種類の表札を用意しました。

 

エリア1には、「大勢の人たちが化石を持ち出しています。自然を守るためにもやめてください」。

エリア2には、「自然を守るために化石を持ち出さないでください」。

エリア3には、「持ち出さないで」な内容は何も書いていません。

結果、もっとも多くの化石が無くなったのは、エリア1でした。もっとも効果がよかった(無くなった化石が少ない)のは、エリア2。

 

この実験は、「社会問題を告発するにも知恵が必要だ」という主張とともに、たまに取り上げられます。

適用の幅を無理やり広げてみると、テレビニュースである事件を取り上げる時、「こんなことがあってはいけない」という趣旨を伝えるべきであり、

ニュースの刺激または商業性を重視して「こんなことが蔓延している」という方向性にやりすぎると、

逆に「『こんなこと』はみんなやっているのか」という認識を与え、むしろ「こんなこと」が社会的に増えてしまう恐れがあるというのです。

 

社会告発(のつもり)のマスコミのニュースなどを耳にして、視聴者が「またか」「いつもこうだ」と思うようになると、そのニュースはすでに逆効果を出している恐れがある・・という意見もあります。

ただ、問題なのは、マスコミの方向性(特に政治的なもの)、そしてニュースの商業性(視聴者は、1つの破壊的な出来事を扱うニュースにもっとも興味を示すが、大勢の人たちがやっているという趣旨のニュースにも強い興味を示す)のため、どうしても「~が蔓延している」というふうにニュースが広がってしまう点です。

ニュース番組などで「両側の意見を伝えるべき」とするのも、同じ側面があります。一方の意見だけを伝えると、「みんな、ああ考えているのか」という間違った認識を与えてしまう恐れがあるからです。

 

 

 著書関連のお知らせ ♨

※書籍のリンクはAMAZONページとなります(アフィではありません)※

・新書「朝鮮半島統一後に日本に起こること 韓国人による朝鮮半島論」が発売中(9月2日発売、電子書籍版あり)です。

韓国の民族主義、親北主義、民衆史観、そして反日思想の関係について考察し、「朝鮮半島統一前の北朝鮮が日本にミサイルを撃つ可能性より、統一後の南側(韓国)政府が日本にミサイルを撃つ可能性が高い」という、とても残酷な結論を書いた内容となります。

・12冊目、「韓国人による罪韓論」が発売中です。

・11冊目にして「日韓比較論」第二弾、「人を楽にしてくれる国・日本~韓国人による日韓比較論~」が発売中です。

・他にも韓国の反日思想に対する考察をまとめたシリーズがございます。それぞれ、重点を置いた部分が違います。今までのシンシアリーの拙著については、書籍紹介ページをご覧ください。

・シンシアリーはツイッターをやっています。他のSNSはいまのところやっていません。ほとんどが更新報告ですが、たまに旅行先の写真をツイートする時もあります。よかったらチェックしてみてください。https://twitter.com/sincereleeblog