昨日、詳しくは約半日前に「なんとしても弾劾は防がなければならない」としていた韓国与党「国民の力」の韓東勲(ハンドンフン)代表が、急に「昨日はそういったが、大統領の職務を停止させる必要がある」と話しました。まさに急転換で、これで明日予定されている大統領弾劾訴追案が通る可能性が高くなりました。与党から8人の票が離脱(案に賛成)だけでも案は可決されます。で、なんでここまでゲッタードリルなみに手のひらを急回転させたのか・・ですが、ハンドンフン代表は、戒厳の際、軍に何人かの国会議員を拘束するようにした、いわゆる「逮捕リスト」があって、「それが確認された」としています。
ユン大統領は与党側の人たちと会った際に、「野党の暴挙を知らせるためにやっただけで、私はなにも間違っていない」と話した、とされています(ちょうど昨日お伝えしました)。しかし、そんなリストがあったなら、しかもそこに与党側の人の名前もあったなら、どうでしょうか。で、今日、東亜日報が、リストの存在は事実だと報じました。また、朝鮮日報は、そのリストにハンドンフン氏の名前もあった、とも報じました。実は、この噂は戒厳令直後からありましたが、確認されたわけではありません。それを、ハンドンフン代表がなにかの方法で確認し、自分の名前も確認したのではないでしょうか(この部分は推測で、ハンドンフン代表は自分の名前があったとは言っていません)。以下、<<~>>で引用します。両紙共に、ハンドンフン代表が「職務停止が必要だ」と話した後の記事です。
<<・・「国民の力」ハンドンフン代表が6日「ユン大統領が主要政治家たちを反国家勢力という理由で逮捕するよう指示した事実を確認した」と明らかにした。ハン代表はこの日、尹大統領に対する弾劾を阻止するとしていた既存の立場から旋回し、尹大統領の職務執行停止が必要だと主張した。ハン代表はこの日午前、国会で開かれた与党緊急最高委員会で、「昨夜、戒厳令宣言当日、尹大統領が主要政治家たちを反国家勢力という理由で、高校後輩であるヨソンヒョン防諜司令官に、逮捕するよう指示した事実、大統領が政治家たちを逮捕するために情報機関を動員した事実を、信頼できる根拠を通じて確認した」と話した。
また「ヨ司令官が、そのように逮捕した政治家たちを果川の施設に収監しようとしたという具体的な計画があったことも、把握された」とし「今後、様々な経路で公開されていくことだろう」とした。先立って共に民主党は4日、尹大統領が非常戒厳を宣布した直後、国会に投入した戒厳軍が、政治家約10人に対して逮捕を試みたと主張していた。共に民主党によると、ウウォンシキ国会議長、国民の力のハンドンフン代表、共に民主党イジェミョン代表、共に民主党パクジャンデ院内代表、共に民主党キムミンソク最高委員・・・・などが逮捕対象者に含まれていた(東亜日報)・・>>
<<・・ユン大統領が非常戒厳宣布した3日、ホンジャンウォン国家情報院1次長に、防諜司令部と協力してハンドンフン国民の力代表など政治家たちを逮捕するように直接指示を下したことが、6日知られた。しかし、ホン次長がユン大統領のこの指示を履行しないとしたため、更迭指示を下したことも分かった。複数の情報筋によると、ホン次長は3日夜、ユン大統領から防衛司令部と協力してハン・ドンフン代表を逮捕するよう指示を受けた。ある情報消息筋は、「大統領が直接ホン次長に電話して口頭指示を下した」。「ホン次長は、国家情報院にそのようなことができる組織も人力もなく、指示を履行する手段もない」という理由で、それを履行しなかった」とした。
この情報筋は、「ユン大統領がジョテヨン国家情報院長を経ず、ホン次長に直接連絡して指示を下したのは、ジョ院長がユン大統領に従わなかったためだと聞いている」とし「国情院長が指示に従わないので、大統領が国家情報院1次長に直接指示を下したのだ」と述べた。尹大統領は前にも、数回直接、ホン次長に指示を下したことがあるという。尹大統領は非常戒厳宣布当日、ホン次長の指示不履行を「抗命」とみなし、更迭措置を取ろうとした、という(朝鮮日報)・・>>
朝鮮日報の記事に対し、国家情報院側は事実と異なると主張しています。しかし、大手で、しかも保守側の代表メディアである朝鮮日報が「ハンドンフン氏の名前が載っていた」とする内容の記事を載せただけに、結構話題になっています。ハン代表が「確認が取れた」と話したのも、多分、関係があるのでしょう。「パッと戒厳パッと逮捕」なやり方には同意できませんが、百歩譲って、その理由として野党関連で北朝鮮とか国家安保とかを持ち出すのは、というか持ち出したくなるのは、まだ分かります。でも、与党代表にまでここまでするか、となると・・もう本当にこれはないとしか思えません。
いままで、大統領と与党代表の仲がよくなかったこと(保守分裂)については、本ブログでも何度か取り上げましたが。それでも、さすがにこれはどうかと。これでよくも野党の問題を知らせるためにやったと言えるものですね。予定通りなら、明日、国会で票決される弾劾案。もし国会を通過できたとしても、憲法裁判所がいま裁判官が足りない状況なので、最終的に成立するかどうかはまだわかりません。少なくとも7人以上が参加、6人以上が認めないといけませんが、いま6人しかいません。国会で選出し、大統領が任命します。とはいえ、憲法裁判所の判断が出るまでは、大統領は業務停止となり、その間は国務総理が代行することになります。まずは、明日の票決結果を見守りたいと思います。岸田総理との会談を「キュン(岸田・尹)会談と書いていたのがつい2年前なのに、世の中の変化って速いですね(色んな意味で)。
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