国産化成功したはずの韓国半導体素材企業、売却・廃業相次ぐ・・中国企業が吸収する事例も

いわゆるソブジャン(素部装)、半導体素材・部品・装備において、2019年あたりから国産化成功したというニュースが相次ぎました。でも、対日貿易収支は大して変わらないし、半導体素材・部品・装備関連で好況だという話も聞こえてきません。ちなみに貿易収支については、8月22日に本ブログでまとめたことがあります。ソース記事の電子新聞(12日)も書いていますが、広帯域メモリーであるHBM(詳しくはSKハイニックスのHBM部門)以外は、かなりの苦戦が続いています。記事で取り上げたのは「素材」関連ですが、関連企業の売却、破産が相次いでおり、中には中国企業が吸収する場合も少なくない、とのことです。以下、<<~>>で引用してみます。

<<・・国内半導体素材のシステム全体が揺れている。半導体素材は半導体産業が成長するための土台のような存在だが、景気低迷と全方位的な需要低下の影響を受けている。12日、業界によると、国内素材メーカーのエルピエンは最近、化粧品原料メーカーセラスに買収合併(M&A)された。セラスはエルピエンの資産を化粧品原料生産能力拡大に使う予定だと明らかにしており、既存のエルピエンの事業は事実上なくなることになった。2012年に設立されたエルピエンはSKハイニックスに最終供給される電子材料製造のための前駆体を生産していた企業で、国内に自社の生産設備を備えていた。だが、2021年から3年間赤字を出して、今年初めに投資誘致ができなくなり最大株主持分を売却した。

 

もう一つの半導体素材メーカーであるテクニウムも経営難を経験している。同社は日本が半導体素材関連措置を行った2019年に設立された。クロスリンカー(CL)、フォトアクティブコンパウンド(PAC)など外産に依存していたPR用素材の一部を国産化する成果を出したが、沈滞を避ることはできなかった。ソニッドに買収された2021年から3年連続の当期純損失を記録している。中堅および大企業も、素材事業から手を離している。昨年、半導体基礎素材であるウェットケミカル事業と洗浄事業を中国に売却したSKエンパルスは、今年、会社そのものが売り物として出された。CMP事業とブランクマスクが対象だ。CMPはウエハ上に形成された薄膜を化学的、機械的に研磨するものであり、ブランクマスクは半導体露光工程に入るフォトマスクの核心素材である・・

 

・・それら素材関連企業を、中国が吸収する形になっている。エンパルスの事例に先立ち、印刷回路基板(PCB)企業であるデドックグループ系列会社だったウィマスは、2021年に中国資本に売却された。ウィマスは1999年に設立された企業で、PR(ArF・KrF)に必要な素材を生産してきた。国内半導体産業は人工知能(AI)の影響で活気を帯びているように見える。広帯域幅メモリ(HBM)供給が急増している。しかし、HBM以外の汎用メモリ(PC・スマートフォン用DRAMとNAND)とシステム半導体、ファウンドリなどは不振を経験している。こうした半導体産業の低迷は、国内素材の全体システムそのものに強い影響を及ぼしている・・

 

・・ある業界関係者は、「国内の素材メーカーは、売上の多くが特定企業に集中しているため、半導体メーカーが電子材料の購入を減らせば、そのままリスクにさらされる」と説明した。問題は、素材産業の不振が今年で終わりではないということにある。汎用半導体に対する需要反騰はまだ見えず、米中の対立により状況はさらに思わしくない流れになる可能性が高い。実際、米国はサムスン電子、SKハイニックス、マイクロンのHBM輸出関連措置を出した。

半導体電子材料は、樹脂・溶媒・感光剤と添加剤などの素材を混合して作られる。電子材料会社は2~3次協力会社を通じて素材を供給される仕組みだ。サプライチェーンの安定化に重要な軸だが、このままならサプライチェーンに大きな穴が開くという指摘だ。日本の場合、電子材料・素材企業間の紐帯関係に基づく特有の環境を構築しているが、韓国はまだそんなものが確立できていない(電子新聞)・・>>

 

今月米国が発表したHBM関連措置にも、9月に発表された先端技術関連措置にも、韓国企業は免除リストに入ることができませんでした。HBMの場合、いますぐにはサムスン電子以外はあまり影響がない(殆どが米国側への供給)とされていますが、将来的には中国への供給は難しくなるでしょう。以下、聯合ニュース(12月3日)と中央日報(9月6日)から簡略に引用してみます。同日、本ブログでも取り上げた内容です。ちなみに中央日報は(引用部分にはありませんが)「大した問題ではない」としていますが、ジョンインギョ産業通商資源部通常交渉本部長は「私たちにあまりにも影響が大きい」と話したことがあります。

 

<<・・米国政府が、中国が人工知能(AI)を開発するために必要な核心部品となるある広帯域メモリー(HBM)を確保することを防ぐため、韓国など他国の対中輸出関連措置を行った・・・・商務省は今回の輸出関連措置に、海外直接生産品関連のルール(FDPR・Foreign Direct Product Rules)を適用した。商務省は、米国と同等の水準の輸出関連措置を自主的に運営している国家に対しては、当該国家企業が半導体装置を中国に輸出する際に、商務省の許可を受ける必要がないようにした。主な半導体機器輸出国である日本とオランダを含む合計33カ国が該当するが、韓国は名簿にはいってない(聯合ニュース)・・>>

<<・・米国政府が5日(現地時間)、量子コンピュータと次世代半導体などの安保と直結する最先端技術に対する新たな輸出措置案を設けると明らかにした。事実上、中国に未来産業の核心として挙げられる先端技術を輸出できないようにする方案であると解釈される・・・・対象には、量子コンピュータ関連機器と部品、材料、ソフトウェア、関連技術全般が含まれた。また、先端半導体機器の生産に必要な機械とそれを生産できる3Dプリント技術も制御対象になった・・・・輸出同制施行局(IEC)許可免除対象は品目によって異なる。オーストラリア、ドイツ、カナダ、フランス、イタリア、日本、スペイン、英国などが別途の許可なく関連技術を輸出できる対象国に含まれ、中国とロシアなどは申請をしても許可しないグループに分類された(中央日報)・・>>

 

ここからいつもの告知ですが、久しぶりに新刊のご紹介です。本当にありがとうございます。新刊は「自民党と韓国」という題です。岸田政権・尹政権になってから、「関係改善」という言葉がすべての議論の前提になりました。果たして、本当にそうなのでしょうか。いや、それでいいのでしょうか。じゃ、同じ路線でないのは、たとえばこれから日本政府の路線変更があった場合は、それは「改善」ではないのでしょうか。そんな疑問に対する考えを、自分なりに、自分に率直に書いてみました。リンクなどは以下のお知らせにございます。

 

・以下、コメント・拙著のご紹介・お知らせなどです
エントリーにコメントをされる方、またはコメントを読まれる方は、こちらのコメントページをご利用ください。以下、拙著のご紹介において本の題の部分』はアマゾン・アソシエイトですので、ご注意ください。

様のおかげで、こうして拙著のご紹介ができること、本当に誇りに思います。ありがとうございます。まず、最新刊(2024年12月22日)<自民党と韓国>です。岸田政権と尹政権から、関係改善という言葉が「すべての前提」になっています。本当にそうなのか、それでいいのか。そういう考察の本です。・新刊(2024年5月2日)は、<Z世代の闇>です。いまの韓国の20代、30代は、どのような世界観の中を生きているのか。前の世代から、なにが受け継がれたのか。そんな考察の本です。・刊として、<韓国の絶望、日本の希望(扶桑社新書)>も発売中(2023年12月21日)です。「私たち」と「それ以外」、様々な形で出来上がった社会の壁に関する話で、特に合計出生率関連の話が多目になっています。・しい説明は、固定エントリーをお読みください。・当にありがとうございます。