積弊(チョクペ)

いつからか、韓国側のニュースで頻繁に出てくる言葉があります。「積弊」です。

弊(폐、ペ)は、韓国では広く使われている言葉です。日本語の「めいわく」も韓国ではペになるし、近所迷惑もなどを韓国では民弊(ミンペ)といいます。韓国のネットに、主に福島原発事故などで、日本のことを「民弊国家」と呼ぶ人が多いのもそのためです。

積弊(チョクペ)は、積もった弊害という意味になります。

 

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本ブログでずっと書いてきた、「韓国の問題は、問題が存在するそれ自体ではなく、いつになっても問題が改善しないこと」。これに気づいた人たちは、揃ってこう言います。積もった弊害、積弊である、と。だから「積弊を清算しなければならない」というフレーズも流行ったわけです。

セウォル号沈没事故の後にも似たような表現がありましたが、本格的にチョクペーチョクペーと流行ったのは、朴槿恵大統領の弾劾の頃です。文在寅政権になってからは、当たり前のように「積弊清算」を叫ぶようになりました。基本的には、「国民統合(右と左の和解、政権の中立性など)」関連の演説などが「積弊清算」の一つとして、支持を得ていました。

 

ですが、主に朝鮮日報など保守系列の新聞から、「いま文大統領がやっている積弊清算が、前の保守政権への報復(復讐)にすぎない」という指摘が出ています。特に、朴槿恵政権だけでなく、李明博政権のことで「前大統領、前前大統領が仲良く牢屋行きになるのでは」とまで言われるようになってからは、「政治報復だ」とする声が大きくなりつつあります。

今日は左派新聞ハンギョレすらも、「積弊清算だと言っているのに、なんで政治報復だという議論になるのだろう」という記事を載せ、部分的には共に民主党のやり方にも問題があると指摘しました。

それはそうでしょう。右と左、どちらかが良くて、どちらかが悪いという意味ではありません。

韓国でいう「清算」は、ある問題を解決する(終結させる)という意味で使いますが、もともとは、債務・債権の関係を整理するという用語でした。いわば、貸した人も借りた人も、客観的に(例えば、法律的に)貸し借りの関係をゼロ状態にするという意味だったのですが・・・

「親日派清算」という言葉からもよく現れていますが、韓国人が言う「清算」とは、恨(ハン)を晴らすことです。

ただし、恨は「過去のある時点に刻まれていて、いつになっても何をしても晴らすことができない恨み」。そこに、貸し借りゼロの状態など存在しません。

相手側の権利を完全に殲滅しないといけません。自分には権利だけを残し、相手には義務だけを残します。それでも晴らすことができません。次はもっとひどい仕打ちを相手に与えないと、自分自身が負けた気がして悔しくて仕方がありません。

これは、現在だけでなく、過去の関係にも適用されます。どれだけ過去に遡ってでも、自分に有利に物事を書き換えないと、韓国人が言う「清算」は成立しません。親日派清算に比べると、積弊清算で政権を二つ遡る位、どうってことないでしょう。

もちろん、「積弊」の清算が、盧武鉉政権まで遡ることは無いでしょう。ナムには恨(ハン)を、ウリには情(ジョン)を。これが基本ですから。

 

 

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