どのような結果になっても、損をするのは北朝鮮ではなく、韓国

さて、金正恩氏が「国家」の最高指導者として文在寅大統領を招待した件について、です。

北朝鮮は基本的に「朝鮮半島の赤化統一」を目指しています。彼らの世界では、それこそが「民族自主」であり、主体思想も、先軍政治も、核兵器も、そして連邦制統一の提案とかもすべてがそのために存在します。

しかし、70年代になり80年代になり・・・韓国との全面戦争の可能性も、北朝鮮主導の吸収統一(韓国が完全に無くなる、一民族一国一政府体制)の可能性も、時代の流れとともにほとんど無くなりました。

 

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そして、北朝鮮は、吸収統一を連邦制統一(一民族一国二政府体制)に転換しました。そして、韓国との戦争をより局地的なものに転換し、武力による韓国での政府転覆(武装ゲリラによる暗殺や破壊工作など)を試みますが、それからさらに「韓国の孤立」路線に転換することになります。

反日も反米も、それをやって韓国がすぐに「北朝鮮との連邦制統一」に同意する国になるとは、北朝鮮も思っていません。ただ、韓国が北朝鮮「側」に来るしかない状況を作る、いや韓国自らの手でそんな状況に陥るようにしかけることは、できます。

「反日は迂回的な反米になる」というのも、すべてその路線の一環です。あの時も書きましたが、北朝鮮が反日をしかけているというのは、「それがすべてではないが、それが存在するのは重要な事実」として認識する必要があるでしょう。もちろん、だからといって日本が韓国にあまい態度を取って損をする必要はありません。韓国の自己責任として、日本は日本の国益を守っていけばいいだけのことです。すべて、ブログにも本にも、何度も書いた内容となります。

今回の招待の件は、『北朝鮮からすると』本当に良い手です。北朝鮮からしても愚策だという意見もあるみたいですが、私はそうは思っていません。今回の件がどのような結果になろうとも、北朝鮮としてはいまより立場が悪くなることはありません。言わば、この件で北朝鮮が損をすることは何もありません。

損をするのは、韓国です。どんな選択をしようが、韓国は損をします。だから、北朝鮮にとっては本当に『良い』手です。

いままでの文在寅政権の外交路線上、断ることは難しいでしょう。この件で韓国内で議論が発生するだけでも、北朝鮮は得をします。その分、韓国が日米から変な目で見られ、孤立することになるからです。もし本当に文氏が北朝鮮を訪問すると、韓国は日米陣営からはさらに孤立することになります。

 

左寄りの記事の多いニューヨーク・タイムズの記事ですが、やはりこの面はちゃんと指摘されています(URLは本文章の色付きの部分をクリックしてください)

<・・But the overture by the North also risked driving a wedge between South Korea and the United States, its main military ally, which has been campaigning for “maximum sanctions and pressure” against North Korea.

Vice President Mike Pence, who was visiting South Korea for the Olympics, has used increasingly hostile language against the North in recent days, calling it the most tyrannical regime on the planet and steadfastly avoiding interactions with North Korean delegates at the Games.・・>

<・・今回の件は、北朝鮮に対する最大限の制裁と圧力を求めてきた米国と韓国の間に隔たりを作ることになるだろう。

オリンピックのために韓国を訪れていたマイク・ペンス副大統領は最近、北朝鮮に対して攻撃的な言動を見せ、北朝鮮代表団との対話を断固として避けた・・>

 

しかし、韓国内でこのようなことを指摘する声が「あまりにも」少ないのは・・なせしょうか。わかるような、わからないような。

 

 

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