文在寅大統領とベトナム

少し前のことですが、文在寅大統領がベトナムを訪問しました。あの時、韓国軍によるベトナムでの虐殺などを謝罪すべきだという主張もありましたが、文大統領は公式謝罪まではしませんでした。2017年11月には、ベトナムに「心に借りがある」という表現を使ったことがあります。

この件以外にも、たまーに韓国内で聞こえてくる「ベトナムに謝罪すべきだ」という意見の裏について、ちょっとだけ私見を書いてみます。

また、本気で謝罪すべきだと考えている人たちも(多分)いるだろうし、「例外なく全員がこうだ」という意味で書いたものではないと、前提にしたいと思います。

 

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韓国軍がベトナムでやったことは、数々の資料が残っており、隠すことのできない罪です。それに謝罪するのは私も賛成です。

しかし、韓国で「謝罪謝罪」としている人たちの本音を考えてみると、下手に同意できないから困ったものです。

 

一言で、韓国がベトナムに謝るべきだとする主張は、「米軍の手先になってごめんなさい」です。言い換えれば、「保守右派がひどいことをやってごめんなさい」です。

文在寅大統領の自叙伝「文在寅の『運命』」という本には、こういう内容があります。「米国の敗北と越南の敗亡は真実の勝利だ。それを見て私は喜悦を感じた」。聞くどころ、132か133ページだそうです。

韓国では当時米軍が支援していた方を越南、もう片方を越盟と言います。

http://v.media.daum.net/v/20171115201200505

 

この意見は韓国の左派思想家たちに共通する認識ですが、この件で注目すべきは、「米国の敗北」を喜ぶ人は多くても、なぜか「越盟の勝利」を喜ぶ人はそういないということです。なぜか?韓国、詳しくは朴正煕政権が米国側に参戦していたからです。

すなわち、彼らがいけないと思っているのは米国の味方になったこと、すなわち朴正煕の存在であり、それらを「悪」にするためにベトナムに謝罪すべきだと主張しているだけです。

ベトナムで悪いことをしたから謝罪しようと思っているわけではありません。

もっと簡単に言うと、ベトナムに謝罪しようと主張している韓国の一部の人たちは、「私が」謝るべきだとはちっとも思っていません。

「保守右派が米国の犬になって悪いことをしました。ごめんなさい」。

それを言え、と主張しているだけです。

 

彼らは「戦争が嫌いだ!平和が好きだ!」としながら、北朝鮮に「朝鮮戦争を謝れ」とは言いません。それと似たような心理です。それだと、彼らの属した側(彼らの「ウリ」)が謝ることになるからです。

 

 

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