韓国左派政権と北朝鮮の言う「平和」とは

昨日、北朝鮮の朝鮮労働党が、総会で今日(21日)から核実験と大陸間弾道ミサイルの試験発射を中止し、北部の核実験場も廃棄するとを決定し、これからは経済政策に集中すると発表しました。

これが「肯定的な結果」に繋がるなら、それはそれでとてもいいことです。

肯定的な結果とはなんでしょうか。日米の言う「具体的に検証できる方法での完全な非核化」となり北朝鮮の核の危険性が無くなること、北朝鮮が周辺各国との対話路線を選び、例えば日本との拉致被害者問題にも素直に応じること、北朝鮮が経済政策に専念し、住民たちの苦しい状態が改善されること、それは肯定的な結果だといえましょう。

しかし、どうもそうは思えません。

 

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まず、北朝鮮が総会で採択した「決定書(声明書みたいなもの)」の題を見る必要があります。それは、「経済建設と核武力建設の並進路線の偉大な勝利を宣布するにおいて」です。経済建設と核武力を共に開発する政策を進めてきたけど、北朝鮮が偉大な勝利を収めたから、これからは核武力よりは少し後れている経済建設だけに集中するというのです。

「勝利」というのは、単なる北朝鮮住民たちへの言い訳だと見ることもできます(住民というよりは「軍部」を気にしているでしょうけど)。しかし、勝利というからには戦利品があるはずです。彼らの言う勝利の戦利品は、なんでしょうか。

昔から何も変わっていません。在韓米軍撤収の土台作りです。今回の北朝鮮の宣言により、韓国は首脳会談で停戦協定を終戦協定に、そして同時に平和協定に変えることが容易になりました。平和協定はには基本的に「不可侵」が入ることになります。北朝鮮は「韓国を侵略しないと協定結んだのに、在韓米軍はなんで韓国にいるの?」と、攻勢を強めるでしょう。

ソウル経済によると、大統領府関係者は早くも「金委員長が非核化の意志を公に明らかにしたからには、核を放棄しても北朝鮮の体制は守られると彼を安心させる必要がある」としています。例え在韓米軍撤収の話が無くても、まずは南北の境界線となる非武装地帯(DMZ)周辺から重火器を撤収することになるだろうというのです。大統領府関係者がこんなことを考えている時点で、すでに北朝鮮は「勝利」の対価の半分は得られたといえましょう。

 

同じ記事によると、

<・・北朝鮮の労働新聞が1990年9月3日の記事を介して統一のための平和的環境を整えるために、まず、南北不可侵宣言を採択しなければならないと主張しながら、武力(兵力)を10万人まで段階的に削減して、韓国での米軍と核兵器撤収を主張したことが、このような懸念(韓国の戦争抑止力弱化)の根拠だ。すでに米軍の戦術核は韓国から撤退しており、金委員長は、今回の首脳会談の際、在韓米軍の撤収を主張しないことが知られているが、その代わりに朝鮮半島での米軍の戦略兵器の配置を減らすか、または撤収を要求する可能性は常に存在している。

したがって、今回の南北首脳会談が実効性のある合意を導出するためには、不可侵合意を裏付ける北朝鮮の実質的な実践約束と、韓国と在韓米軍の戦争抑止力を維持するために北側の容認を得てなければならないと見られる・・>

http://v.media.daum.net/v/20180421074034514?rcmd=rn

北朝鮮もバカではありません。急に米軍撤収を言い出すはずはありません。ただ、段階的にそうなるように仕掛けてくることでしょう。韓国が北朝鮮相手に「米軍による抑止力」の容認を得るのは難しいでしょう。つか、容認が必要だとしている時点でおかしいですが。

 

最後に、北朝鮮がいう非核化とは「核戦争を起こすきっかけ(米軍)の撤収」であること、そして左派が考えている平和協定は、在韓米軍撤収の根拠となっていることを考えると、

選挙が終わり、なんたら「会談」という騒ぎが収まる頃、特に2020年国会議員選挙が終わってからは、韓国では米軍撤収の議論が本格化しているはずでしょう。

北朝鮮の今回の宣言で、韓国左派が望んでいる米軍撤収のシナリオは大いに進んだことになります。

 

 

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