法統

本ブログがいままで書いてきたことの中には、他のメディアにもそこそこ広がった(認められた、と思えば嬉しいものですが)事案がいくつかあります。

「反日教」という表現、憲法前文、正統性、臨時政府史観(併合時代は違法)などです。憲法前文を年度別に並べたり、「正統戦隊ワカランジャー」というフレーズを使ったりしましたが、もう懐かしい記録です。

「単一民族による5千年の統治」を言い出した臨時政府。その正統性(legitimacy、統治の根拠・名分など)のこともあって、ほぼ毎年、韓国では「いつ建国したのか」で喧嘩が起きます。もう本ブログの読者の方々には「またか」なネタの一つでしょう。

 

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もうすぐ発売となる(宣伝)「朝鮮半島統一後に日本に起こること」でも論じていますが、韓国の右派(保守派)は「大韓民国という国家で民族正統性を受け継いだ」という立場です。だから建国は1948年でいいとします。左派(進歩派、改革派)は「民族正統性は民族国家でなければ継承できない。大韓民国は失敗作だ」という本音を隠し、「大韓民国の建国を語るなら、1919年だ」としています。1919年から始まったものの、ちゃんと継承できたとは言ってないからな、というのです。これは、ある意味では1948年の総選挙(韓国の建立)そのものを否定している史観でもあります。なぜなら、彼らの頭の中にある「1919年からの大韓民国」は、1948年の総選挙で分裂(分断)されたからです。

1919年3月1日は31運動が起こった日であり、臨時政府はその日に政府樹立したことになっています。これは、併合時代は違法だった(真の政府は別にあった)とする臨時政府史観の核心でもあります。

 

この件でまた喧嘩になったみたいでして・・文在寅氏が1919年建国を指示していることもあって、「共に民主党(与党)は憲法前文に3・1運動で建立された大韓民国臨時政府の法統を継承すると明示している点を挙げ、1919年建国と見なければならないという点を強調している」、とのことです。

https://news.v.daum.net/v/20180815070656711

 

さて、例の憲法前文、また見てみましょう。

1987年12月29日、9次改憲(現在もこれです)

「悠久の歴史と伝統に輝く私たち大韓国民は3.1運動で建立された大韓民国臨時政府の法統と不義に抵抗した4.19民主理念を継承し、祖国の民主改革と平和的統一の使命に立脚して正義・人道と同胞愛により民族の団結を強固にし、すべての社会的弊習と不義を打破し、自律と調和をもとに自由民主的基本秩序をより強固なものして政治·経済·社会·文化のすべての領域において各人の機会を均等にし、能力を最高度に発揮するようにして、自由と権利に伴う責任と義務を果たすようにし、内には国民生活の均等な向上を期し、外には恒久的な世界平和と人類共栄に貢献することで、私たちと私たちの子孫の安全と自由と幸福を永遠に確保することを約束しながら、1948年7月12日に制定され、8回に渡って改正された憲法を今、国会の議決を経て、国民投票によって改正する」

 

ちなみに「法統」という言葉の意味は、こうです。「仏法を受け継ぐ」という意味もありますが、そちらは仏教用語となります。

「高麗大学韓国語大辞典」・・「正統性などを正しく受け継ぐ。またはそれに準ずる系統や伝統」

 

「標準国語大辞典」・・「法の系統、伝統など」

 

ただ、この1919年・1948年論争は、李明博政権までは左右でもハッキリしない内容でした。保守右派といっても、李承晩氏は1919年を建国と見ていました。1948年建国は「国家主義」の朴正煕氏の頃から出てきたけど、あの時は大して話題にならなかったし、左派の盧武鉉氏の公式演説で光復62年(1948年から数える)としていました。

本格的に左右で喧嘩になったのは李明博・朴槿恵氏の頃です。喧嘩ネタが必要だっただけ、と思えなくもないですが、どうでしょう。

 

どのみち、大事なのは、右派も左派も無く、韓国が臨時政府から生まれたことに異論はない、という点です。そう、韓国は抗日組織を母体にしている、反日から生まれた国です。

北朝鮮の場合は金日成のロイヤルファミリーを「白頭血統」とします。白頭山での抗日戦歴を強調する呼び方です。金日成と一緒に戦ったことが、朝鮮労働党で出世できた「貴族」たちの血統となります。

どちらも反日を正統性とする南と北が、いまお互いに「平和」を論じています。さて、何が生まれるのでしょうか。

 

 

 

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