カード大乱について

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マンションのことに続いて、今日はクレジットカードのことです。本エントリーで扱うのは2003年のことで、いわゆる「カード大乱」と呼ばれる惨事(?)です。

「うちの子、まだ10代ですけどね。友だちと一緒にいるときに自分の財布を開いて、その財布にクレジットカードが少ないと、それを『恥ずかしい』ことだと言うのですよ。だから、使わないカードでいいから何枚かくれ、と」、「私たち大人が、幼い子たちに、クレジットカードに対する奇妙な幻想を植えつけてしまったのではないでしょうか。経済力が全くない青少年たちにまで、クレジットカードを無作為に発行しまくったから。カード大乱が来たのは、当然の結果かもしれませんね」。

これは、毎日新聞(韓国)2003年11月25日、「カード大乱。百万人の信用が揺らぐ」という記事に載っている、ある市民のインタビューです。

 

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90年代末~2000年代初頭から、韓国ではいたる所でクレジットカードを発給しました。本当に「いたる」ところです。なにせ、人が集まる場所にテーブルだけおいて、「〇〇カード発給」と適当に書いてある、見た目はフリーマーケットの店みたいなものが、韓国中のどこにもありました。クレジットカード発給の申請を受けるだけではなく、審査までそこで終わります。五分もかかりません。トイレットペーパーやおもちゃ、インスタントラーメンなどが記念品としてもらえます。サインしてしばらくすると、家にカードが届きます。これを「道ばた発給(길거리발급)といいます。

親子が来たら、親だけでなく子のカードも作ります。親の同意無しに未成年者に発給したカードによる取り引きは無効(カード使用者に債務は存在しないが、そのカードで購入した物品は返品すべき)だと裁判結果が出たのが、確か2002年12月でした。

 

人が増えるともちろんカード社からしてもいいことではありますが、こんなふうに無差別にカードを発給すると、その『副作用』はどうするのか?

カード会社は、お金を調達するために、CP(Commercial Paper、短期で資金を調達するための無担保約束手形)や社債などを市場に出し、資金を集めます。そのプロセスを続けるためには、とにかくカードを使った人たちがちゃんと信用を守る(後で請求に応じる)必要があります。守らないなら、カード社が相応の損をしてしまう恐れがあるのです。そうなると、社債など売れなくなるでしょう。会社が破綻します。

なのに、審査も無しにクレカをばらまくとは、これがカード社に何の得があったのでしょうか。実は、「ちゃんと返せない」こそが、韓国のカード社たちの狙いでした。

 

まだIMF救済から立ち直ってなかった頃、トイレットペーパーやインスタントラーメンとともに慣れないクレカを手に入れた大勢の韓国人は、真っ先にキャッシュサービスにハマりました。

そもそも審査と呼べるほどの過程を経ていないので、どんなクレカでも、ある程度の金額は無条件で引き出すことができました。もちろん、キャッシュサービスは利率(キャッシュサービスの手数料)も高いし、決まった期限内に返さないといけません。それでも、韓国人はキャッシュサービスを愛用しました。これこそが、カード社の狙いでした。キャッシュサービスの高い手数料や利率、そして、なんと『延滞料』を、自社の金づるとして楽しんでいたのです。

韓国屈指の財閥グループLG系列の「LGカード」という会社の大邱支店の場合、2003年基準で、月売上高の65%以上がキャッシュサービス手数料でした。同じく毎日新聞の記事(先と同記事)によると、「他のカード会社も事情は大して変わらない」、とのことでして。

 

返済能力を無しにキャッシュサービスを受けた人たちは、別のカード会社から作った別のカードでキャッシュサービスを受けて、前の会社の分を返しました。いわゆる「回して防ぐ」の登場です。

カード社たちは「これぞWIN・WIN」と喜びました。

しかし、そのせいで自殺、破産するなどカード関連の借金が返せなくなる人が増え、結局はLGカードが社債市場から「危険」とされ、資金を調達できず、破綻してしまいました。

そこから連鎖して、カード社、銀行、そして「回して防ぐ」ができなくなった人たちは、超大ダメージを喰らいます。2004年には、経済活動参加人口の5分の1である、約500万人が「信用不良者(延滞により金融取引の制限を受ける人)」となりました。

その後、ありがたいことに政府が借金を「なかったこと」にしたりしましたが・・カードによる借金が全て消えたわけでもなく、それから全国民に「信用等級」というランク付けが出来たことで、それから借金する人たちは金利が高いところ(闇金など)を利用するしかなくなりました。2018年家計負債1500兆ウォン達成(?)の功臣でもあるわけです。

今思えば、会社も人も政府も、クレカがどんなものなのかを、知らないでいたのではないか・・そんな気もします。

 

 

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