イデオロギーとユートピア

ブログ表示に何か不具合があった場合、リロード、またはここをクリックしてください

 

以下、保守系のネットメディア「未来韓国」に、韓国国家戦略フォーラムというシンクタンクのカン・リャン研究委員が投稿した内容です。いつもの「文在寅政府を批判する」ものですが、中にカール・マンハイム氏の主張が韓国にそのまま現れているとする部分があって、興味深かったです。

スーパー長いので、その部分だけ紹介します。内容として目新しいことはありませんが、まるで1929年に書かれた「イデオロギーとユートピア」という本が、預言書のように思えます。

 

(ここから「続きを読む」の後になります)

<・・(※文政府に影響を与えている考え方の一つに、)カール・マンハイム(Karl Mannheim)の歴史哲学に対する、韓国左派勢力なりの社会変革方式がある。

マンハイムは、彼の著書「イデオロギーとユートピア」で、政治的掌握力は「誰が先に、自分自身の理念綱領を大衆の政治的正統性の上に『社会規範』(Social Norm)化できるかにかかっている」と強調する。

特に、彼は、「宣伝や扇動がうまい左派は、社会に大きな問題が発生した場合、その事案にいくつかの他の政治的、理念的意味を付与し、その一つの社会的問題と社会全体の関連性を意図的に拡大し、大きな大衆の関心を触発させる」と述べている。

カール・マンハイムは、このように大衆の触発された興味の上に、再び自分たちが望む政治的、理念的内容を被らせて、大衆がその事案の本質を忘れたり、完全に把握できないように理性が昏睡状態になるように誘導し、ただ興奮する多数の大衆から、自分たちが欲しがる政策の「民主的正統性(Democratic Legitimacy)」を奪い取るという。

結局、左派は、このような結果を繰り返し学習させることで、「その事案」を社会規範化し、今後、誰もこの問題について議論したり、挑戦できないようにする、特別な才能を持っているとカール・マンハイムは説明している。

 

振り返ってみると、ろうそくデモのスタート時点となった「ヒョスン、ミソン事件」は、訓練中の米軍装甲車による不幸な交通事故であり、「狂牛病波動」は、米国産輸入牛肉に関連する輸入食材に関連する事案であり、大勢の子供と乗客が命を落とした「セウォル号事件」は、不正腐敗と関連した海上交通事故であった。

このすべての事件、事故において、デモを率いた左派の最終的な主張は、「米軍撤収」と「政権打倒」だった。今はこれらすべての事案が社会規範化し、誰もこの問題について新たな意見を提示したり挑戦できないようにされた。もし左派が主張する論理にそのまま従わなければ、それは反社会的であり、違法なものになってしまう、何がなんだかわからない状況になってしまった・・>

http://www.futurekorea.co.kr/news/articleView.html?idxno=125721

 

簡単に言うと、「社会で、ある事案に関心が集まる→扇動する→いつのまにかその事案は本質とはあまり関係ない流れになっている→とりあえず大勢の人がそう言っているから民主的な決定だとする→社会規範とする→異論は許さない」・・の流れを先に手に入れる存在が、政治を掌握できるというのです。そして、韓国の左派はそれがうまい、と。これは個人的な意見ですが、扇動「する」だけではこうはならないでしょう。扇動「される」ほうにも問題があるとし、「扇動する/される」とすべきかもしれません。

特に、本文には反日に関する内容はありませんが、この「扇動する/される→規範化する」がもっとも強く、そして扇動する側と扇動される側が共に望んでいる(「望んでいる」というか、「楽しんでいる」と思えて仕方がないときだってあります)現象が、反日思想ではないでしょうか。

 

ちなみに、寄稿文の中で唯一「日本」が言及されているのは、「近代韓国人の類型を5つに分けた場合、『小中華主義の衛正斥邪派(※朱子学擁護派のこと)』『ソ連・社会主義派』『親日・開化派』『親米・キリスト教及び自由主義派』『血族的民族主義派』になる」という部分です。小中華・ソ連は曖昧で感情的になりやすく、親日・親米は論理的で、2つが衝突していつも理念的にも政治的にも混乱が訪れるものの、民族主義はそれらすべてを包容しようとする、という内容です。

 

 

 

文在寅政権の末路』の重版が決まりました!本当にありがとうございます!!!

 著書関連のお知らせ ♨

本ブログの拙書のリンク(基本アマゾンリンクになります)は、アフィではありません。目次など紹介のつもりで載せていますので、よかったらお読みください。

・新刊「文在寅政権の末路」が、発売中(2019年12月27日発売)です!

文在寅政権の現状は何なのか、どこへ向かっているのか、文政権から見た場合、それはそう悪くない末路ではないのか、しかし、大韓民国という立場から見た場合は、どうなのか。あくまで「私」という微力な一人の観点ではあるものの、日本の皆さんに紹介したいと思っている文在寅政権関連の話を、自分自身に率直に書きました。

・「今、韓国で起こっていること 「反日批判」の裏側に迫る」が発売中(2019年8月2日)です!

韓国側からも「反日」を批判する声が上がってきます。それは、反日を批判しているから「親日」なのか?それとも反日の一部にすぎないのか?なんでこのタイミングで反日批判が増えたのか。もう少し裏側に迫ってみます。

・他にも韓国の反日思想に対する考察をまとめたシリーズがございます。それぞれ、重点を置いた部分が違います。今までのシンシアリーの拙著については、書籍紹介ページをご覧ください。

・シンシアリーはツイッターをやっています。他のSNSはいまのところやっていません。ほとんどが更新報告ですが、たまに旅行先の写真をツイートする時もあります。よかったらチェックしてみてください。https://twitter.com/sincereleeblog