近代、近代性、近代主義

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今月、韓国で「憲兵」という言葉が消えました。日帝残滓である憲兵ではなく、「軍事警察」にするというのです。

ですが、民間では「日帝残滓の殲滅に成功した!」としていましたが、いざ国防部などの公式発表、ブリーフィングなどでは、「憲兵という言葉が日本で先に使われたし、植民地時代の憲兵はイメージも悪く、憲兵と書くとどんな仕事をするのか不明瞭であるため、公式名称を軍事警察に変えた」としました。妙に、ニュアンスが違います。

それもそのはず、「警察」も日本で作られた言葉であるため、日帝残滓がどうとかと公式で言うことはできません。

 

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韓国では、漢字に由来した言葉を「漢字語(ハンジャオ)」と言います。例えば、「ソルミョンハダ」の場合、ソルミョンは漢字「説明」で、ハダは「~する」というもっとも基本的な動詞です。だから「ソルミョンハダ(説明する)」は漢字語になります。漢字に「する」を付けるだけで漢字語になるわけだから、その数はかなり多いです。

辞典によって差はあるでしょうけど、国語(韓国語)辞典には50万語前後の言葉が載っており、その55%程度が漢字語だと言われています。例えば「標準国語大辞典」2016年基準で、国語(韓国語)においての漢字語の比率は約57%です。

 

言論人出身の作家コ・ジョンソク氏の『感染された言語』という本によると、その漢字後の半分以上は、日本で作られた言葉です。ただその「読み」を韓国語にしただけの。コ・ジョンソク氏は著書で多くの漢字語を並べながら「これが全部、実は日本で作られた言葉です」としながら、韓国語から日本の影響を取り除くのは不可能だと指摘し、韓国語から日本語、特に日本由来の漢字語の影響を完全に取り除くなら、韓国人は『あっ』や『おっ』しか言えなくなるだろう、と書いています。このように日本語や外国語の影響を強く受けたことを「感染」と言うなら、「私には、その感染されたままの言語でもとても愛おしい」とも。

 

外交官からうどん屋に変身した変わった経歴を持つ元外交官シン・サンモク氏もまた、「日本にとって、前近代と近代を最も明確に区分する境界線の一つは、接辞型漢字語を活用した、概念拡張言語体系の登場であろう。そして、韓国語は、その洗礼を受けて近代化した。そこから目をそらして、日本語残滓とか清算とか言いだすのは、いったい何を否定して何を肯定したいのか、私にはわからない。日本残滓を清算するためには、韓国を前近代まで巻き戻す必要がある」と主張しています。

シン氏が言う接辞型漢字語というのは、~化、~式、~的、~性、~型、~観、~度などのことです。例えば「modern」を「近代」とするなら、「modernity」を「近代『性』」、「modernism」を「近代『主義』」とするなどの、接辞型の漢字語を発明したのは日本であり、そのおかげで、文学から科学まで様々な概念を訳することができるようになったのです。同じく漢字を使っていた朝鮮半島や中国も、その発明に助けられたのに、いまになって日帝残滓がどうとか言っても意味がないだろう、と。

「訳」しないと、大勢の人に伝えることが出来ません。もちろん、その『人』たちが、字が読めないなら意味がありません。素晴らしい訳、ちゃんと読める民。その繋がりこそが、日本の近代化の成功を支えたことは、言うまでもないでしょう。

 

 

 

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