菅総理、文大統領に返信・・「戦略的利益と基本的価値を共有」はスルーか

文大統領が菅総理の就任お祝いで送った書簡、菅総理も文大統領に返信したことが分かりました。ですが、あくまで韓国側の記事を読んだだけのことですが、『基本的価値の共有』と『戦略的利益を共有』に関しては、スルーしていることも分かりました。文大統領は日韓関係を『もっとも近い友人』『基本的価値と戦略的利益を共有する』と表現して書簡を送りましたが、菅総理の書簡には『重要な隣国』だけでした。「近い友人」を「重要な隣国」と返したなら、「基本的価値・戦略的利益の共有」には何も反応しなかったことになります。

基本的価値とは自由民主主義や市場経済などで、戦略的利益とは対北朝鮮などの地政学的な価値となります。これらの表現が何故重要なのかというと、これこそ『安倍政権の対韓外交を継承する』という意味でもあるからです。以下、聯合ニュースの記事から部分引用してみます。

 

<文在寅大統領と菅義偉総理が、初メッセージとして就任お祝い書簡と返信を交換したことは、いったん、肯定的に評価される。これにより、韓日首脳が菅内閣発足を契機に電話通話する時期にも関心が集まっている。21日、大統領府によると、菅総理は、文大統領が16日送ったお祝い書簡の返信を19日送ってきた。菅総理は、返書で文大統領のお祝い書簡への感謝を表わした後、韓日両国が重要な隣国であることを強調したと、カン・ミンソク大統領府報道官は伝えた。菅総理はまた、「難しい問題を克服して、未来志向の韓日両国関係を構築していくことを期待する」と述べた。

 

彼が言及した「難しい問題」は、日本側が韓日葛藤の重要な懸案として挙げる韓国最高裁の日帝強制動員賠償判決だと解釈される。先に文大統領も菅総理の就任当日のお祝いの書簡で「菅総理の在任期間中、韓日関係の発展のために一緒に努力していこう」と菅内閣発足を契機とした韓日関係改善の意志を示した。

大統領府は当時、「基本的価値と戦略的利益を共有するだけでなく、地理的・文化的に最も近い友人である日本政府と、いつでも向かい合って会話して疎通する準備ができている」と、文大統領の立場を明らかにした・・>

 

 

韓国側は「肯定的だ」としていますが、個人的に、返事が来て当然のことだと思います。それに、繰り返しになりますが、『基本的価値・戦略的利益を共有』という部分に対する反応が無いのが、やはり重要ではないでしょうか。これは、今までの日本政府の立場をそのまま維持したことになるからです。言い換えれば、『何の変化も見当たらない』です。

2015年、日本外務省のHPにある韓国説明項目から「基本的価値の共有」が消えたのは有名な話で、それから2018年安倍総理の演説から「戦略的利益を共有」と「もっとも重要な隣国」が消えました(そのあと、『もっとも』は復活せず、「重要な隣国」は復活しました)。2020年7月には日本の防衛白書に『北朝鮮の日本への核攻撃能力』が初めて明記され、同時に『韓国軍と自衛隊との幅広い防衛協力』が初めて削除されました。これらの表現から考えると、菅総理の書簡は『安倍政権を継承する』ものであることが、わかります。菅総理としては「優先順位」は決して高くないでしょうけど、文大統領との形式的な電話通話なら、あるかもしれません。でも、結局は、「改善」ではなく「現状固定化」が進むのではないでしょうか。

 

 

 

 

<「反日」異常事態>発売中です!ありがとうございます!

拙著のご紹介

以下、拙著の題の部分はアマゾンリンク(アソシエイト)になります。リンクされたページで電子書籍版もお選びいただけます。

・現在の最新刊は<「反日」異常事態(2020年9月2日発売)>です。いわゆるK防疫として表出された、韓国の反日思想の本性である『卑日(日本を見下す)』とその虚しさについて主に考察しました。本ブログの「反日 異常事態」紹介エントリーもぜひお読みください!

・<高文脈文化 日本の行間>は、私が日本で暮らしながら感じた『日本語』に関する本です。

・<なぜ韓国人は借りたお金を返さないのか>は、韓国社会の「借りたお金を返さない」心理と日韓関係の現状の類似点を考察した本となります。

他のシンシアリーの拙著については、書籍紹介ページをご覧ください。ありがとうございます。

・シンシアリーはツイッターをやっています。他のSNSはいまのところやっていません。ほとんどが更新報告ですが、たまに旅行先の写真をツイートする時もあります。よかったらチェックしてみてください