韓国への金正恩氏の言葉、「申し訳ない(죄송)」ではなく「悪い(미안)」だった

昨日、「北朝鮮が異例のの謝罪をしてきた」と、大きなニュースになりました。日本でも紹介されており、昨日の19時~20時あたりだったと思いますが、NHKで「(韓国大統領府の発表として)非常に申し訳なく思っている」になっていました。ですが、これ、ニュアンスが全然違います。情報としても、半分だけです。

私の心が曇っているだけの、こじつけかもしれません。しかし、「金正恩氏が示したのは、『非常に申し訳なく思っている』ではなく、最低限の表現にすぎないこと、これは本ブログならではの『情報を補う形』の指摘になれるかもしれません。以下、「『異例のこと』という点は間違いではない」、「それでもお詫びを表明したのは事実」という点を全て認めたうえで、少し綴りたいとおもいます。

 

昨日、朝鮮労働党統一前線部から、韓国側に(例の漁業指導員射殺の件で)電信が届きました。その中には金正恩氏の言葉を伝える内容も含まれており、韓国側は『金正恩が謝罪した』と大騒ぎになりました。

国情院は『金正恩は射殺を知らなかった(多分)』、与党代表は『北朝鮮の最高指導者は明らかに変化してくれた』、などなど、特に与党・政府側は大いに鼓舞されていました。ネットの世論は『納得できない』というのが主流でしたが、それでも一部では、『日本と違い、ちゃんと謝罪してくれた』とするニュアンスの意見も、目に付きました。

一部、「『こんな最高指導者はいなかった!』・・出来損ないの謝罪に北朝鮮を褒めまくった与党(韓国経済の記事の題)」など、批判的な記事もあるにはありましたが、マスコミ記事も概ね好意的に受け止める雰囲気でした。

 

 

ですが、全文が公開されたので少し読んでみたところ、金正恩氏の言葉は「(文在寅大統領と南側の人たちに)とても未安に思う」だったことが分かりました。思いますでもなく『思う』であり、未安+思うでは、少なくともある集団を代表しての、ちゃんとした謝罪表現にはなれません。韓国語の「謝罪」表現はいろいろありますが、一般的なものには、以下のとおりです。

まず、「罪悚(ジェソン、죄송)」。罪という字が入っているだけあって、一般的な表現の中では深くお詫びする意味になります。日本語に訳すると『申し訳ない』などになります。日本語と同じく、「~します」としたり、「~と思っております」としたりすると、ちゃんとした謝罪表現になります。ちなみに、「謝罪(사죄)」も罪悚と同じレベルです。自分で「罪」の字を使うのは、やはり影響力は大きいと言えます。

機械翻訳でリンゴになることで有名(?)な「謝過(サグァ사과)する」というのもあります。林檎(サグァ)と発音が同じです。これもまた過や謝の字からもわかるように、自分の過ちを認め、謝る表現です。でも、罪悚や謝罪よりは軽い表現になります。「謝過をお捧げます」などとすると、さらにちゃんとした表現になります。

 

一般的に使う表現の中でもっとも軽いのが、「未安(ミアン、미안)」です。これは、日本語にすると「ごめん」または「悪い」になります。個人的に、~しますを付けて「未安します」にすると、日本語の「ごめんなさい」と同程度になるのではないか、と思っています。スーパーで隣の人と肩やカゴが少しぶつかると「あ、ごめんなさい」と言いますよね。それと同程度です。

親が子に、など、立場が上の人間が下の人に謝るときには、基本的に「未安する」「未安なことをしたな」とします。日本語にすると「ごめんな」、「悪いことをしたと思う」あたりになるでしょう(※韓国語では、謝罪の時でも上の人が下の人に「~ます、~です」はあまり使いません)。

電信に書いてあった金正恩氏の言葉は、『とても悪いと思っている(대단히 미안하게 생각한다)』です。ソース記事はハンギョレ新聞です。

 

それに、お詫びだけが書いてあったわけではありません。電信は今回の件を「不祥事」としながら、<・・私たち(※朝鮮労働党統一前線部)は、貴側(※韓国側)の軍部が、どのような証拠に基づいて、私たちに不法侵入者の取り締まりと取り締まりの過程の解明すら要求せず、一方的憶測だけで、蛮行、それ相応の対価など、不敬極まりなく対決的な色彩が強い語彙を選んで使ったのか、大いに遺憾を示さずにはいられない・・>としています。これは、韓国軍が『蛮行』と話したことに対する、明らかな遺憾表明です。この部分は、ほとんどマスコミで取り上げていません(全文を載せている記事以外は)。

 

 

繰り返しになりますが、これでもお詫びはお詫び。金正恩氏なりに謝罪したと見ることもできます。そういう意見もアリだと思います。でも、いままで日本が韓国に対して行ってきた謝罪表現を考えてみると、そしてそれらが全て『無効』にされてしまったことを考えてみると、今回の韓国側の反応は、極端な虚脱感しか、残るものがありません。

 

 

 

 

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