慰安婦問題の国際司法裁判所(ICJ)回付の件、日本側は「意図が分からないのでまだ何とも言えない」としており、パッとしない反応です。ただ、韓国政府は『もっと話を聞いてみないといけない』『慎重にすすめるべき問題』としました。ニュアンスによっては、『じゃ、やはり進めるのか』とも取れますが、なんとも、微妙です(文大統領の残りの任期を考えると、特にそうです)。
そんな中、聯合ニュースが、韓国政府としてはそう簡単には応じられないだろう、という分析を記事にしました。国際司法裁判所で扱うことになった場合、日本は『(韓国の言う)強制徴用』問題なども、国際法違反案件として持ち出す可能性があり、その流れによっては、1965年基本条約の請求権問題まで裁判の内容に含まれる可能性があるからです。以下、聯合ニュースの記事から部分引用してみます。
<<政府が日本軍慰安婦問題と関連し、国際司法裁判所(ICJ)提訴を検討するという立場を打ち出し、背景が注目される。これまで、いくつかの専門家や日本の政界などでICJ提訴に言及したことがあるが、政府次元で公に検討方針を明らかにしなかったからである。
チェ・ヨンサム外交部スポークスマンは16日の定例ブリーフィングで、慰安婦問題に対するICJ提訴の可能性についての質問を受けて、「慰安婦の立場をもう少し聴取してみようと思う。ICJ提訴問題は慎重に検討していくだろう」と述べた。慰安婦被害者であるイ・ヨンスさんがこの日午前の記者会見で「国際法で日本の罪を明らかにしてほしい」とし「日本が過ちを悟って反省するようにICJの判断を受けてほしい」と訴えたことに対する、政府の回答であるわけだ。
「追加聴取」と「慎重に」という条件を付けたものの、外交部スポークスマンが公式ブリーフィングで「ICJ提訴検討」を明らかにしたのは異例だ。外交部はこれまで、日本の政界などで「ICJ提訴」の話を取り出すことに対する立場を聞いても、「真正性のある日本の謝罪が先」というふうに答えてきたのに、雰囲気が変わったのだ。
これはまず、直接の当事者であるイ・ヨンスさんがICJ提訴に言及したからには、無視することはできないという判断によるものと思われる。また、人類の普遍的価値である人権に反する慰安婦問題は、韓国が国際世論で絶対的に有利であるため、ICJ提訴にもあえて防御的な立場を取る必要がないという考えも敷かれていると思われる。
日本政府が日本軍慰安婦被害者に慰謝料を支払うように求める韓国の裁判所の判決に「国際法違反」と強く反発しながらも、日本の自民党が要求するICJ提訴に対して言及を避けてきたのも、このような点が考慮されたものと思われる。ICJの慰安婦問題が扱われ、裁判の過程が公開されると、日本を向けた国際社会の冷たい視線に耐えなければならない可能性があるからである。
茂木敏充 日本外相が同日イ・ヨンスさんのICJ付託発言について「どのような意図で、どんな考えで発言したのか、私は知らないので、コメントを控えたい」と回答したのも同じ脈絡だ。
ICJの慰安婦問題を扱うには、韓日政府が先に合意しなければならない。韓国は日本とは異なり、ICJの強制管轄権を受け入れていない。これは日本がICJに提訴しても韓国が応じなければ、裁判が成立しないことを意味するが、韓国が提訴する時も同様に適用され、裁判のためには、相手の同意が必須だ。
現在では、日本政府はともかくして、韓国も結果を保証することはできないICJ提訴は決して簡単に選択できるものではないという分析が多い。一方、慰安婦判決と強制徴用賠償判決の韓日間の立場の違いがはっきりしている状況で「中立地帯」であるICJで決着をつけるのが、最後の解決策として浮上する可能性もある。
その場合、日本は強制徴用賠償判決も国際法違反だという立場であるため、その問題まで一緒にICJに扱おうとする可能性がある。状況によっては、ICJで1965年に締結された韓日請求権協定と日本の過去の植民地支配と関連した判断まで決まる可能性があるわけだ。
イ・ウォンドク国民大日本学科教授は、「ICJ提訴は、理論、平和的に紛争を解決する手段になれるが、韓日関係が悪化した今は、そのための適切なタイミングではないと思われる」とし「もう一つの韓日本間の紛争拡散要因になるのではないか、よく考えなければならない」と述べた>>
聯合ニュースは韓国政府(外交部)の「慎重に進める」を「進める」のほうをメインで受け止めていますが、「慎重に」をメインにすると、どうも微妙です。
韓国のことですから、文在寅大統領がどんな発言をするのかがもっとも重要でしょう。文大統領が「やろう」と言えば、誰が何を言おうとやります。彼が何をどう言うのかで、急展開するか、『そんな話もある』程度でしばらく渋滞するのかが決まるでしょう。
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