韓国憲法裁判所、「事実摘示名誉毀損(事実を公表しても名誉毀損になる)」に合憲決定・・日本と韓国の法律上の差など

昨日ツイッターに書いた内容ですが、思ったより注目されたようで、ブログ版も投稿します。2月19日のエントリー「韓国、ネットに『懲罰的損害賠償制度』・・メディア以外の個人ネットユーザーにも適用の恐れ」とも繋がる(かもしれない)話ですので、まだの方は過去エントリーもお読みください。

 

韓国の憲法裁判所で、『事実摘示名誉毀損』が合憲だという決定がありました。簡単に言うと、「事実を事実通りに書いても(述べても)、公共の利益に合致するものでないと、名誉毀損が成立する」というものです。韓国では名誉毀損による告訴告発が多く、この事実摘示名誉毀損に関する合憲・違憲議論も数年前から続いてきました。京郷新聞によりますと、憲法裁判所でも5:4の接戦だったようです。

<<・・刑法307条1項は、「公然の事実を摘示して人の名誉を毀損した者は、2年以下の懲役または禁錮又は500万ウォン以下の罰金に処する」と規定している。ただし、同法310条は、事実摘示名誉毀損行為が「真実(※嘘ではなく本当の事実)として、ただ公共の利益に関するものであるときは、処罰しない」との例外を置いている・・

・・(※結果的に合憲となった、という内容の後に)違憲だとする4人の裁判官は、表現の自由は中核的基本権であるため、最小限だけ制限が行われなければならないという点、国・公職者が事実摘示名誉毀損罪の刑事罰主体になった場合、国民の監視と批判が萎縮するしかない点、本当の事実の摘示して損傷されるの名誉とは、『虚名(名ばかりの名誉)』にすぎないという点などを「一部違憲」の根拠として提示した(※が、一歩届かなかった)・・>>

 

 

この事実摘示名誉毀損は、日本にもあります。しかし、韓国とは違って、ほぼ話題になりません。その理由は、乱発や悪用を牽制できるようになっているからです。ここからは2018年12月6日、「法律新聞」からの引用となります。

<<・・例えば性的暴行の被害者などは、自分が加害者から性的暴行を受けたという事実を周囲に知らせるだけでも、加害者の名誉を毀損した疑いで処罰される恐れがある。この時、処罰が免れるのは、本当の内容だというだけでは足りない。「ただ公共の利益に関するもの」という点を認められなければならない。性的暴行の被害を周囲に知らせ保護を受けてたくても、被害事実を知らせるだけで、犯罪構成要件に該当する可能性がある・・

・・(※ユン・ヘソン刑事政策研究院研究委員のレポートによると)、韓国と日本には事実摘示名誉毀損罪の規定がある。米国やドイツは処罰規定を置かず、概ね民事的な方法で規律している。特に米国の場合、事実摘示名誉毀損の問題は、ほとんど民事的な方法によって解決されている。いくつかの州では刑事罰の規定を置いているが、実際に適用される事例はほとんどないことが分かった。刑事問題化されているごく少数の場合でも、虚偽の事実を摘示した場合のみで、本当の事実を適したものは免責された。ドイツでも、名誉毀損罪は摘示された事実が本当(真実)であることを立証できなかったか、または虚偽である場合にだけ成立する。本当の事実を摘示した場合には、名誉毀損罪は成立しない。

 

一方、日本は韓国のように、事実摘示名誉毀損罪があり、法定刑も比較的重い。しかし、公共性がある場合は、本当のこと(※『真実』)なのかどうかを判断し、真実であると証明されれば処罰しない、『違法性阻却事由』システム(※法律上では違法とされる行為であるが、その違法性を否定する事由があるばあい、処罰しないこと。例えば正当防衛など)を適用している。

ユン研究委員は「日本はまた、名誉毀損罪を親告罪と規定して、公訴が提起されないかぎり、(※摘示された事実を)公共が理解しているものだと見て、犯罪の成立が否定される。公訴が提起されてこそ初めて、公共性と、本当の事実かどうかを判断し、真実であれば処罰しない構造を示している」と説明した。韓国はこれとは異なり、反意思不罰罪と規定している(※反意思不罰罪は、公訴が無くても処罰できます。被害者が加害者を処罰しないでくださいと明確に意思表明をした場合のみ、処罰しません)・・>>

そもそも、『名誉』というものについての考え方が、他国とは違うのかもしれません。

 

 

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