イ・ウヨン氏『エイミースタンレー教授、慰安婦になる重要な経路についての討論をお願いします』

イ・ウヨン氏が寄稿した文のなかで、元慰安婦の証言を間違えた部分があるとのことです。証言の引用に問題があるのではなく、キム・グンジャという人が話した内容を、ムン・オクチュという人が話した内容だと、証言ではなく証言「者」を間違えた、とのことです。本ブログでもイ・ウヨン氏の寄稿文はいくつか紹介しましたし、内容は似ていますが、ムン・オクチュ氏の証言に関する話は無かった(と記憶しています)ので、多分、別のところだと思われます。これは、確かにイ・ウヨン氏のミスであり、ご本人も認めています。もちろん、元慰安婦という範囲内で証言者を間違えたものだから、寄稿文の内容や趣旨に問題があるわけではありません。

ですが、その件で、妙なことが起きました。米国のエイミースタンリーという女性教授が、この寄稿文を批判するツイートを10個以上も投稿しましたが、それらの批判の中に寄稿文の内容に関する批判は無く、『証言者を間違えた!』という内容ばかりだった、というのです。さすがにイウヨン氏も呆れたのか、メディアウォッチのコラムでこの件を紹介しています。訳してみます。

 

 

<<米国ノースウェスタン大学のエイミースタンレー教授は、私が日本のジェイプレス(JBpress)とジャパンフォワード(JapanForward)に寄稿した文を置いて、「対応する価値もない文」とツイッター(Twitter)に10を超える記事を書いた。理性よりも感性が進んだ幼稚な姿だ。

私の文章の要旨は、1)売春婦や慰安婦の売春宿及び慰安所との関係は契約である。 2)慰安婦の処遇は、売春婦よりも良好であった。 3)官憲による慰安婦強制連行は根拠がない。 4)慰安婦の多くは親によって売られた娘や戦争以前から売春婦として働いていた人だった。

1)と2)は、ラムザイヤー教授の主張を紹介し、彼が正しいと主張したものであり、3)と4)は、これまで私が何度も言ってきた話を繰り返したものだ。

スタンレー教授は、私が4)番、その中でも、当時は親が娘を売ることが多かったという事実を書きながら、昔の慰安婦ムンオ・クジュに言及したことを指摘した。「業者よりも自分を売った父親が憎い」としてムン・オクジュを挙げた私の間違いを指摘したものである。そのとおりだ。これムン。オクジュではなく、キム・グンジャの証言の中に含まれている内容だ。韓国に寄稿を出した直後に、知人がすでに指摘してくれた。しかし、私はあえてこれを訂正しなかった。理由がある。寄稿文で該当部分を引用してみる。

 

・・朝鮮人あっせん業者が、良い仕事を紹介するとし(就職詐欺)、女性を誘拐して売り渡すことがあった。この時、女性は自分が慰安婦として働くことになるという事実を知らないまま慰安所に行ったものである。この場合には、契約が不要で、高額の前借金が支給されなかっただろう。しかし、これにはリスクがあった。まず、朝鮮で就職詐欺を含む誘拐は、戦争以前から警察の取り締まり対象だった。

次に、女性が現地に到着した後も問題になることがあった。慰安所を利用して、管理を担当する部隊は、軍慰安婦本人たちがこれからやる仕事の内容について認知しているかどうかを確認した。したがって、誘拐による軍慰安婦の募集は、親による、事実上の人身売買を伴う場合より少なかったと言える。

 

後者の場合には、募集業者が慰安所経営者に代わって親に与えたお金は、親には娘を売った対価であるが、募集業者や経営者にとっては前借金になる。イ・ヨンフン前ソウル大教授の「反日種族主義」によると、募集業者と親のこれらの取引は、人身売買という違法と、戸主制下の正当な権利行使及び職業斡旋という合法の間の、境界に位置していた。その結果、一方では、すでに戦争以前から人身売買が横行し、時には社会的問題となったが、一方では、そのような疑いで調査を受けた人がほとんど無罪処分される状況が起こった。

当時の状況を考慮すると、募集業者と取引する親は、娘がどこに行って何をするようになるのか、知っていたと見るべきだ。たとえ、前借金を受ける明示的契約がなかったといっても、親が知っていたならば、これはラムザイヤー教授が言う契約に相違ない。米国の批判は、これらの事実を知らずにいる。ラムザイヤー教授が従軍慰安婦として大金を稼いだと紹介した昔の慰安婦ムン・オクジュが「業者より私を売った親がずっと憎い」と言ったという事実も、これらの状況から理解することができる・・

 

問題の言及は、最後の文である。この文からムン・オクジュをキム・グンジャに変えるとしても、最初からこの文を削除しても、私が主張する内容は1%も変わらない。このようなことを「蛇足(※蛇の足だから、『無くても大して変わらないもの』という意味)」と言う。この記事は、もし学術論文だったら、編集者は、この文を削除するよう要求したかもしれないし、私は容易に応じたであろう。

スタンレー教授は、蛇の足を掴んで(※日本語にすると『重箱の隅をつつく』)私を誹謗した。『本体』には手もつけずに、だ。当時、人身売買横行しており、それが慰安婦になる重要な経路だったという肝心の部分には、何も言わない。日本の官憲による強制連行は言うまでもなく、修業詐欺と言うより人身売買、つまり親が合意する、少なくとも自分の娘がこれから何をするようになるかをよく知っている状況で行われた取り引きが、朝鮮女性が慰安婦になる重要な経路だったとする私の主張に対して、スタンレー教授は全く言及していない。当時、朝鮮の事情や慰安婦について知らないからであろう。

 

私の文章で重要なのは「ムン・オクジュ」か「キム・グンジャ」かではなく、慰安婦問題において重要なことは、何が慰安婦になる重要な経路、きっかけだったのかだ。これは慰安婦の本質、つまり「性奴隷」か「性労働者」かを規定するポイントの一つとなる。ところが、スタンレー教授は、この問題に立ち向かう代わりに、「修正主義学者が生存者の証言を混同したり、誤読する理由は、被害者のことを気にしていないからだ」と、「宣言」してしまった。

私たちが今議論しなければならないことは、「強制連行」など慰安婦の 『証言』が果たして客観的資料や妥当な論理に裏打ちされるが、慰安婦になるきっかけや経路は「強制連行」、「誘拐」、「就職詐欺」、 「人身売買」、「元売春婦の転職」のどれだったのか、何が重要だった何が副次的であるか、という問題だ。私は私の寄稿文で、これについて語った。スタンレー教授は、これについては全く何も言わない。

経済学徒でありながら経済史の研究者である私を含めて、歴史学者たちは警戒しなければならない。私たちが書いているのは、「宣言」ではなく、「実証」と「論理」の領域である。スタンレー教授のように簡単に「宣言」を選択するか、私のように「実証と論理」のための最小限の試みを選択するか、それは、成熟した読者と他の研究者の判断を任せたい。もしスタンレー教授が私の指摘に対して回答するなら、まだ自分に必要な研究者としての訓練を、彼女が選んだものと見てもよい>>

 

修正はしたほうがよかったのでは・・な気もします。でも、確かに、そこで「ムン・オクチュが『さよなら、すべてのエヴァンゲリオン』と言ったことからも状況がわかる」としたならともかく、同じ元慰安婦の証言を、証言者を間違えたわけだから、根幹が変わるとは思えません。

とりあえず、蛇の足に食らいつく・・日本語にすると「重箱の隅をつつく」なニュアンスですが、ツイッターを10回以上も書くなら、もっと別に出来ることがあったでしょうに。いや、無いからこそ蛇の足に食らいつくしかなかったのでしょうか。

 

 

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