続く『公論化』・・今度は白馬事件(スマラン慰安所事件)で攻防戦

論文の「ひとり歩き」が続いています。今度は、韓国のソウル大教授がインドネシアでオランダ人女性が、なぜかラムザイヤー教授の論文を批判しながら慰安婦にされたという「白馬事件(スマラン慰安書事件)」を持ち出しました。論文は朝鮮での慰安婦「契約」のことでしたが、なんでインドネシア、オランダ人を持ち出したのかは分かりません。その件で、キム・ビョンホン国史研究所所長が反論を投稿しました。またメディアウォッチです。

 

<<3月9日、朝鮮日報32面にはチュ・ギョンチョル ソウル大教授が書いた「自発的売春?日本は占領地で、オランダの女性も連れて行った」というタイトルのコラムが掲載された。タイトルだけ見ても、チュ教授の主張は、太平洋戦争時多くの女性が日本軍によって連行されて性奴隷生活をしたため、「自発的売春」という言葉は、正しくないというものだと分かる。しかし、筆者は、彼が果たして慰安婦問題を一日でも悩んでからこの記事を書いたのか疑わざるを得ない。事実関係や前後の文脈が全く合わないからである。

 

まず、「慰安婦被害者法(※現在韓国の法)」に記載している「日本軍慰安婦被害者」の定義から見てみましょう。<日本軍慰安婦問題の基準になるからである。「日本軍慰安婦被害者とは、日帝によって強制的に動員されて性的虐待を受け、慰安婦としての生活を余儀なくされた被害者をいう」。慰安婦被害者法」第2条第1項・定義>

 

チュ教授は「太平洋戦争当時、いわゆる慰安婦に徴発された犠牲者の中には韓国、中国、フィリピンなどアジアの女性のほか、欧州の女性もいた」としながら、その事例にオランダの女性ヤンラフ – オヘルン(Jan Ruff-O’Herne )を取り上げた。

以下、『 』は、チュ教授の書いた内容を引用したという意味です。

1944年2月、日本軍当局者とインドネシア警察が、ジャワ中部地域の「敵性国の女性収容所」を訪問し、18〜28歳の女性のリストを要求した。これらの数日後に再び現れ指名された女性たちに1時間以内に荷物をまとめて車に乗るよう命じた

チュ教授はオヘルンを「徴発」した張本人が「日本軍当局者とインドネシア警察」だとした。そして続く文で「軍人たちが空中に銃を撃って制止した」とした情況からすると、彼が言った「日本軍当局者」は、すぐに日本軍であることがわかる。もしそうなら、「日本軍とインドネシア警察」が果たして軍人と警察に間違いないのか、疑わざるをえない。理由は次の行跡からである。

徴発された女性たちは、スマラン(Semarang)市近郊にある植民地管理所の建物に連行され、契約書に署名することを要求された。当時これらの署名を拒否することができる状況ではなかったし、何よりも契約書が日本語で書かれていて理解することもできなかったという。契約内容は、性労働を強要するものであった

これらはセイウンソウ、フタバソウ、ヒノマル、ショウコウクラブなど4ヶ所の慰安所に送られた。本格的に営業が始まると、軍人と民間人の「顧客」たちは、予約してからここを訪問したが、民間人は3ギルダー、兵士は1.5ギルダーを支払い、この額のうち30%が慰安婦の女性のものになった。慰安婦の女性は、このお金で食べ物を買うのほかに、自分のお金を払うことで休み時間を得ることができた

提示された文のとおりならば、日本軍とインドネシア警察は、まちがいなく慰安所店主だ。公的業務を遂行している軍人と警察が慰安婦契約書を直接作成し、彼女らを慰安所に送ることはできないからである。そして、チュ教授は、「日本軍当局者とインドネシア警察」と主張した根拠となる彼らの身元を確認することができる客観的な根拠を提示してほしい。

さらに、オランダの女性が営業を開始した4つの慰安所は、民間人の顧客が中心だったうえに、兵士たちに50%を割引してやったという状況からして、それらは日本軍慰安所ではなく、軍部隊の近くにある一般的な売春業所であることが明らかである。なぜなら、日本軍慰安所であれば、民間人が出入りできなかったし、料金も円で表示されていたからだ。

 

日本の医師が訪れてきて検診したが、この過程で、一部の女性は、医師にレイプされたと証言した(この医師は、前後に自殺した)

日本軍が管理‧監督する日本軍慰安所であれば、「日本の医師」ではなく「日本軍の軍医」が検診する。また、日本軍の軍医が検診対象の女性を強姦した場合、それ自体だけで重罪行為である。さらに戦時は平時より重く加重処罰される。何よりも、チュ教授は「医師は前後に自殺した」と付け加え、まるでレイプの罪悪感で自殺したように書いた。チュ教授は、この医師が軍医なのかどうか、そして自殺した理由は何なのか、根拠を明らかにすべきであろう。

 

一部の高齢の女性は、酒に酔った人や性病があると思われる人たちを、他の若い女性たちに押し付けて、苦労させたという非難を受けた

日本軍慰安所の規定では、酒に酔った兵士は慰安所を利用することができない。また、慰安婦が性病にかかる場合、完治するまで隔離して兵士を相手できないようにし、完治前に営業した場合は営業許可を取り消した。酒に酔った人が利用し、性病かかった慰安婦が営業を続けたということは、日本軍慰安所ではありえないことである。

 

スマランの慰安所はオープンしてから後2ヶ月で急に閉鎖された。兵士たちはやってきて、ここの女性に強制的に連れて行かれたのか、自分の意志で来たのかを尋ねたという証言を見れば、おそらく問題があると判断した軍の上層部が、急いで閉鎖を決定したと思われる。以後36人のオランダの女性慰安婦は家族のもとに帰り、戦況の変化に応じて複数の収容所を転々し終戦を迎えた

ここで、「兵士たち訪ねてきて、ここの女性に強制的に連れてこられたのか自分の意志で来たのかを聞いた」の内容こそ、当時、日本軍慰安所の管理実像を正確に知らせる文である。当時、日本軍は慰安婦に対して身元を徹底的に確認したからである。この記事通りなら、先に出てきた「日本軍当局者とインドネシア警察」は、公務を実行する軍人や警察ではない。なぜなら、日本軍と警察なら、彼らの行跡はに必ず文書に保管されるし、また、関係者に依頼する必要もなく、関連機関に照会するだけで、前後の事情をいくらでも知ることができるからである。むしろ、軍人や警察ではなく、民間業者による重大な違法行為があったため、軍が閉鎖を決定したと見るのが合理的だ。

併せて、36人のオランダ慰安婦が家族のもとに戻ったとしておいて、なぜ「いくつかの収容所を転々した」というのか、記載されたいくつかの収容所とは具体的にどのような収容所であったか、関連する証拠を提示してほしい。

 

その時代状況で、親族の抑圧を避けるために、あるいは借金に追われ、日本軍を追いかけた人がいるとしてみよう。そんな気の毒な事情に追い込まれた人を連れてきて、非人間的な性奴隷制度を運営したことに対して免罪符を与えるため、犠牲者を「自発的売春婦」と呼ぶのは、学問研究の基礎がどうとか言う前に、人間として道理ではない

当時、慰安所をはじめとする国内外の売春店に流入した女性たちの事情を見ると、養子として売られた場合、就業詐欺に騙された場合、犯罪集団の誘拐、とりあえず上京した場合など、実に多様である。しかし、明らかなことは、日本軍を追いかけて行ったり、日本軍に強制的に連行されたと客観的証明された場合、またはそのような関係者の証言は、1件もないという点である。1件でもある場合は、提示してほしい。

 

「非人間的な性奴隷制度」という表現も、実像を知らずに書いたものである。奴隷の辞書的な意味は、「人間としての基本的な権利や自由を奪われ、自分の意思や行動を主張できず、使役されている人」である。次に、性奴隷は「性的欲求を満たすために奴隷のように扱われる者」だ。しかし、日本軍は決められた料金を出して慰安所を利用しなければならず、料金を払わなければ利用することができなかった。自分が支払うお金だけ決められた時間内でのみ慰安婦を利用することができてたのに、これのどこが日本軍の性奴隷だというのか?

 

ラムザイヤー教授の場合、資料の正確な検討なしに偏向的な結論を引き出すという批判を免れるのは難しいだろう。慰安婦問題については、伝統的な観点と修正主義的な観点の間で論争が進行中で、それぞれの主張を支持する多くのデータがある。ラムザイヤー教授は、このような事情を無視してソースも不確実な事例の一、二件を引用し、この複雑で悲劇的な事件についてきちんと理論的整理をするといい出したのだ

慰安婦問題は、伝統的な視点と修正主義の観点で分割する前に、まず、歴史的事実か否かを優先すべきである。いわゆる「日本軍慰安婦被害者」は、日本軍に強制的に動員されたこともなく、日本軍の性奴隷でもなかったし、日本軍によって慰安所生活を強いられたわけでもなかった。つまり、先に提示した「慰安婦被害者法」第2条1項に合致する慰安婦被害者は1人もいないという意味だ。チュ教授は、ラムザイヤー教授を批判する前に、日本軍慰安婦問題に対する最小限の素養でも満たしているのか、自分自身を振り返って見て欲しい>>

 

しかし、このように積極的に討論を繰り広げる学者の「数」が少ないこともまた驚きです。「慰安婦は性奴隷ではなかった」と主張する学者の数が少ないのは、分かっています。でも、「性奴隷だった」とする学者の数も、本当に少ないですね。署名とかではなく、実際にこうして討論に参加する(書いた内容が資料に符合するか、その解釈が同意できるものかどうかは別にしてでも)人は、10人にもならないような。

 

 

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