韓国の裁判所が、慰安婦(賠償)判決を、国際法違反だと認めました。
もっと具体的には、本ブログでも紹介しましたが、「訴訟費用の推尋(回収)」件において、他国に強制執行することは国際法違反、主権免除の原則に違反するものであり、日本政府が払う費用は無い、としたものです。しかも、その決定文の中で、本案(賠償金判決そのもの)に対しても「明らかに国際法違反だ」という点を強調しています。
これは裁判所が職権で出したもので、前の裁判そのものが無くなるわけではありません。ただ、「国際法違反」と認めたからには、これからの執行手続きそのものがウヤムヤになる可能性もあります。ちょうど明日にも似たような裁判があるので、どんな影響を及ぼすか、注目されます。韓国でも、裁判所が自らの判決を国際法違反だと認めるのは前例がない、とのことです。以下、中央日報の記事から引用してみます。
<<日本軍慰安婦被害者が日本政府を相手に初めて損害賠償訴訟で勝訴した事件と関連し、同じ裁判所が「強制執行は、国際法違反」という正反対の決定を下したことが、20日、確認された。2017年9月にキム・ミョンス最高裁判所長官の就任以来、日帝強占期の過去史訴訟で原告勝訴の判決を相次いで下した司法の流れに歯止めをかける旨の決定が出てきたのだ。
法曹界によると、ソウル中央地裁民事34部は先月29日、故ベ・チュンフイさんなど12人が日本政府を相手にした損害賠償勝訴について、「(韓国政府の)国庫による訴訟救助の推尋決定」をくだした。「国の訴訟救助(※国が訴訟費用を支援すること)で進行した今回の訴訟で、被告である日本政府が負担する費用はないという点を確認する」という内容だった。裁判所は、日本側にも公示送達でこのような決定を通知した。
裁判所は「本案訴訟は、日本政府の国家免除(特定国家は他の国の司法判断に拘束されないとする国際法の原則)を認めず原告勝訴の判決を確定した」とし「しかし、外国の強制執行は、その国の主権と権威に損傷を与える恐れがあり、慎重なアプローチが必要だ」と指摘した。続いて「この件の訴訟費用を強制執行すると、国際法に違反する結果を招くことがある」と述べた・・
・・今回の決定は、表面的には、訴訟費用を誰が、どのように負担するのかについての裁判所の決定だ。民事判決の通常の手続きとする。
しかし、決定内容を見ると、裁判所は「外国政府に対する強制執行の違法性」を詳細に列挙した。本案判決(※訴訟費用ではなく賠償金の方)が主な根拠とした国際条約・判例も、強制執行をしてはいけない根拠として引用し、事実上、本案判決に反論する内容を含めている。
裁判所は「外国政府の財産に対する強制執行は、現代文明国家間の国家的威信と関連があるもので、これを強行すれば、私たち司法の信頼を阻害するなど、重大な結果に至る恐れがある」とし「今回の事件は、記録に示されたすべてのデータを見ても、国連(UN)国家免除条約に基づく外国政府の強制執行の要件を満たしていない」と述べた。 「日本政府の財産を強制執行すると、憲法上の国家安全保障、秩序の維持、公共福利と矛盾する結果につながるだろう」とも憂いた。
裁判所は、国際法上「以前と矛盾する行為をすることができない」という禁反言(estoppel)の原則を取り上げ、「日本政府の財産からこの事件の訴訟費用の回収を決定することは、国際法に違反する結果をもたらす」と「条約法に関するウィーン条約によると、いずれの国も、司法判決など国内の事情で、国際条約の不履行を正当化してはいけないとされている」と指摘した。 「極端的に、条約が国内的に違憲で無効だとされても、特別な事情がない限り、大韓民国は条約を遵守する義務がある」とある。「確定判決による権利も信義則に基づいて履行されなければならないが、判決に基づく執行が権利濫用となる場合には、許可しないという最高裁の判例がある」とも述べた・・
・・裁判所は、「国際司法裁判所(ICJ)は、ほぼすべての平和条約と戦後処理慣行から、国の間で総額精算をする場合、犠牲者一人一人に対する賠償は必須規範ではないと判断した」とし、「ICJは戦時に他の国の領土で武装軍によって行われた不法行為に基づく損害について国家免除を認めた」とし、前の裁判所とは反対の視点を明らかにした・・>>
他にも裁判所は、「国際司法裁判所の判例」などを根拠にしており、「文大統領も慰安婦合意を政府間の公式合意だと認めた」、「日韓請求権協定(基本条約)」という点も指摘しています。
何か続報があったら、追記致します。
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