ダムナティオ・メモリアエ

ローマでは、反逆者とされる人の記録(像など)そのものを抹殺することがありました。それをDamnatio Memoriae、「記憶ごと破壊する」と言います。朝鮮日報が、2021年の韓国を「レベルが古代レベル」とする記事を載せました。『歴史を立て直すには歴史を消さないといけないのか』という題です。引用しています。

 

<<京畿道抱川市が、全斗煥(チョン・ドゥファン)政権の時43番国道に設置された「護國路」の石碑を撤去すると決定した。親・与党市民団体は、チョン元大統領の直筆が入っている石碑を「全斗煥功徳碑」と呼びながら、撤去を要求してきた。この議論を見ると、今日の大韓民国のレベルは、数千年前の古代と大差ない。エジプトのファラオやローマの皇帝は、気に入らない前任者の記念碑・建物・像・彫刻などを無くしてしまう「記録抹殺の刑」を下したりした。ラテン語でダムナティオ・メモリアエ(Damnatio Memoriae)、「記憶の死」という意味である。

「忘れません」「覚え続ける」のスローガンを口癖のように叫ぶ民主党政権になるたびに、記録抹殺が行われる事実は逆説的である。朴正煕元大統領の光化門ハングル扁額は、盧武鉉政権の時、2006年に撤去された。現政権発足後、顕忠祠、忠義祠、万人義冢などにある朴元大統領の扁額を撤去しなければならないという声が高まった。朴元大統領に言及した国会「竣工記」、前元大統領の国立大田顕忠院の扁額は、昨年、姿を消した。顕忠院朝鮮戦争有功者墓地は、毎年「親日破墓」暴動で疲れ果てる。安益泰が作曲した国歌はもちろん、ソウル大の校歌、陸軍の歌、歌曲「母の心」などにも親日論議があるから、別のものに変えろという。このような要求は、偉人の標準影幀(※祭祀などに使う、国家公認の標準肖像画)、貨幣の図案まですべての分野を網羅する。

 

記録抹殺の費用も少なくない。コンピュータで寄せ集めた光化門の扁額は2億ウォン、国会竣工記を覆っているLEDモニター3億5000万ウォン、「安重根書体」の大田顕忠院扁額は1000万ウォン、新・陸軍軍歌は2500万ウォンかかった。「過去の歴史清算」を掲げた再造山下(※「国を新しく作りなおす」という意味)事業で、お金を稼ぐ人たちは別にいるという懸念がするが、枝葉的なことかもしれない。果たして歴史と記録を抹殺しなければ、歴史を立て直すことはできないのだろうか、との本質的問いを抱く。北朝鮮は、過去、黄長燁・張成沢はもちろんのこと、最近はムン・ジェイン大統領さえ、自分たちの公式写真集から完全に消去した。統一ができたとしても、そんな記録だけで完全な北朝鮮史を書くことができるだろうかと、歴史学者たちは恐れている。

 

光復50周年だった1995年8月15日、光化門の朝鮮総督府庁舎を撤去すると、「すっきりした」という国民も多かった。しかし、エルサレム「嘆きの壁」のように、恥辱を覚えるモニュメントとして残したらどうだったろうか。今は、その場所に日本の指揮部があったという事実を知らない若者も多い。大韓民国樹立の後、1世代以上、政府庁舎だったという事実も知らない。記録と記憶を破壊して、当代人の快感を一時的に満足させることはできるだろう。しかし、一度消えた空間の記憶をよみがえらせることは容易ではない。今後50年、100年後、後世が恥辱と苦難の歴史を、現場と物証の無い教科書だけで学ぶことになるだろう。「記憶の死」の後に到来する忘却の未来が恐ろしい>>

 

 

いつものことではありますが、こんな話が「『政権批判』に偏りすぎる」のは残念です。本当は左派も右派も大差ないでしょうに。この件がもっとも露骨に現れるのは、実は右派(または左派)弾圧ではなく、反日です。記憶の死というか、『記録の死』こそが今の慰安婦問題の核心であることも、その一部であります。

ある意味、拙著『恥韓の根源』に書いた、「正しい(本当は『ウリにとって正しい』なだけですが)記憶だけを残す」に似ていると言えるでしょう。自分側からして『正しい』こと以外を抹殺し、同意しない人を排除していきます。いずれ、その正しさもどきは、『韓国人らしさ』という言葉となり、韓国人たる存在の定義として機能するようになります。その正しい記憶以外を主張する人は、韓国人らしくないとされ、情緒面、社会面、そして、まだ部分的とはいえ法律面(不当な裁判など)で、韓国人たる範囲から排除されます。結果、『韓国人』の範囲の中には、韓国の正しさに同意する人だけが残ることになります。『韓国の正しさに反対する韓国人は一人もいない』という笑えない結果になるわけです。韓国が日本に対してそれをやっていて、右派は左派に対してそれをやっていて、左派は右派に対してそれをやっていて、私は他人に対して、ロマンは不倫に対して、それをやっている。韓国の今日この頃です。メモリアエというか、『揉めり合え(モメリアエ)』しか残らないでしょう。

 

 

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