韓国の弁護士『2012年(2018年確定)最高裁判決は、民族感情により越権行為をしてしまった』

旧朝鮮半島出身労働者たちの個人賠償問題。日本政府の資産リスト提出などで、またもや(7日の)却下判決とは逆の判決がありましたし、もはや、「同じ案件でも、裁判を誰が担当するかで結果が真逆になる」が当たり前のようになってしまいました。前にも同じ趣旨を書きましたが、こんな状況だと、判決の内容より、「どんな判決が出てももう信用できない」という結論にしかならないでしょう。

ただ、あの(7日の)却下判決は、韓国内の法律関係者たちにとって、ある種の「いまなら言える」な雰囲気を作ってくれたのではないか、そんな気はします。本ブログでもいくつか紹介しましたが、国際法学者や裁判所の関係者たちが、実名で、匿名で、却下判決を支持する声を出すようになったからです。今日は、現役の弁護士が書いた、『2012年の最高裁判決(2018年確定)は、事実上の越権行為をしてしまった』という観点の寄稿文を紹介したいと思います。

この寄稿文の特徴は、韓国側の主張としては珍しく、法理的な側面『だけ』を強調している点です。引用部分にはありませんが、この弁護士は、最高裁判決が「内容的に正しくない(いわゆる、『正義ではない』)」とは言っていません。「私も韓国人だからこれはいいと思った」などとも書いています。しかし、裁判は『法』の領域で行うべきものであり、その観点からみて、民族感情による裁判所の越権行為でしかなかった、そういう内容です。

 

寄稿文は、大まかに2つの側面を指摘しています。韓国では、却下判決に対して『なんで裁判所が植民地支配(併合)の違法・合法まで論ずるのか』と『国際法ではなく国内法で判断すべきだろうが』の2つの点を特に強く批判していますが、筆者の弁護士は、『違法・合法を判断の基準にしたのは2012年(確定は2018年)個人賠償を認めた最高裁判決のほうだ』、『条約が関わっている以上、国際法を考えないわけにはいかない』と反論しています。以下、スカイデイリーという寄稿文をメインとするサイト、イ・ドンホ弁護士の寄稿文から引用してみます。<<>>が引用部分となります。

 

<<・・(※2015年までは、日本でも韓国でも旧朝鮮半島出身労働者問題はいつも原告が負けたとしながら)それは、日本の判決でも、韓国高等裁判所の判決でも、時効を理由に敗訴したものだった。そもそも植民地支配の不法性は、実際に敗訴の理由にはならなかった。最高裁は、そこで事実上の越権をしてしまった。敗訴の理由でもなかった韓日協定(※基本条約)の解釈問題を、最高裁が自分で判断してしまったのだ。韓日協定は植民地支配の賠償を請求するための交渉ではなく、財政及び民事的債権及び債務関係を政治的合意によって解決するためのものだったので、反人道的な不法行為や植民地支配と直結した不法行為による損害賠償請求権はまだ生きていて、大韓民国政府の外交的保護権も放棄されていない見たのだ。

結論だけを国民的観点から見れば、すっきりしただろう。しかし、法律家の観点から見ると、非常に残念な部分だ。この複雑極まりない事案の判断がわずか21行にすぎず、いくら読んでみても、論証ではなく結論だけが書いてあったからだ。そのためか、主審を務めたキム・ヌンファン前最高裁判事も、「独立運動をする気持ちで判決を書いた」とし、民族的感情が介入したことを否定しなかった。この判決から、韓日協定の解釈の問題が本格的な争点になるしかなくなったのだ・・

・・キム・ミョンス最高裁長官が就任した後、2018年10月に最高裁全員合議体は、圧倒的な多数意見で、2012年の最高裁判決を再確認した。判決は、韓日協定の締結経緯、その後の補償経緯、韓日協定の内容等を長文にわたって緻密に論証している。それ自体は韓日関係のための良いテキストだとは思うが、非常に残念な部分がある。憲法により国内法と同一の効力を有する国際条約である韓日協定が、国内法的な法解釈によって、実際には実定法すら超えた『植民統治は違法だ』とする民族感情によって、無視されてしまったからだ。何よりも大きな問題は、韓日協定第3条に、協定の解釈に関する両国間の紛争は、まず外交経路を通じて解決し、それから仲裁を経るとなっているが、この手続すらも無視してしまった点である。

今回の下級審の判決(※7日の却下判決)は、請求権協定の解釈に関して、最高裁判所の少数意見、すなわち、既に日韓協定で解決されて訴訟として再請求することができないという意見を堅持しながらも、最高裁の多数意見に不足していた国際法の論理を新たに追加したものである・・>>

 

高等裁判所までは『基本条約の違法・合法性議論』は判決理由にも入ってないのに、最高裁判所が国際条約の解釈を勝手に行ってしまった。裁判所判決は強制執行まで行くから、判決が国際条約に明記されている手続きを破棄するものである。これは明らかに最高裁の越権行為であり、民族感情によるものでしかない。なのに、なんで却下判決を出した判事が叩かれているのか。もともとこの件を言い出したのは最高裁ではなかったのか。まとめると、そんな内容です。

 

あとはエピローグのようなものですが、もう少し引用して、そのまま終わりにします。

<<・・日本は、莫大な財政を投入し、韓国に残された、いわゆる「敵産(※国内の敵国の財産)」の請求権を完全に放棄してまで韓日協定を締結し、履行してきた。それが、なんと50年が経ってからひっくり返るっていうなら、韓日関係は破綻するしかないだろう。だから、政府と与党は2018年の最高裁判決の後にすぐ日本に外交的解決を提案する必要があったのに、むしろ判決を口実に反日扇動に火を付け、今回も下級審判決を激しく攻撃している。しかし最高裁判決以降、私たちに何が残ったのか。筆者が見るには、日本から無視されるばかりで、むしろ、私たちが日本との関係改善に首ったけの、みすぼらしい格好になった・・>>。

 

 

 

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