一つ前のエントリーで紹介した、文化体育観光部の「衰退無能」掲示物。今日は、その件で「内容は間違ってないけど、もう栄光の時代を開いたわけだからそんなことは書くべきじゃない」とする主張を紹介します。ファイナンシャルニュースやMBNなどのメディアも「~~韓国の成長を肯定的に評価したものだ。『しかし』、政府掲示物にこんな内容を載せるのは~~」という書き方をしているので似たようなニュアンスになっていますが、特に強烈なのが国民日報でした。以下、国民日報から引用してみます。<<~>>が引用部分となります。
<<・・(※李在明知事の「解放軍、占領軍」発言について)純度、清潔、正義。良い言葉だ。しかし不純なものが一切無い清らかな国、100%正義の歴史というものが、現実に存在するのだろうか。想像の中でないと不可能なものを現実で見つけようとするのは潔癖症だ。そんなファンタジー歴史観が、以前の特定の時期には、時代精神だったかもしれないが、現在の世渡りには役立つはずがない。変わってきた現実に適合しないなら、考えを変えるべきだ。
去る8日、政府の政策ポータル「大韓民国政策ブリーフィング」に掲載されたカードニュースが、SNS上で人々の話題になった。 「衰退する日本、先進国格上げ大韓民国」「日本は国力の低下を続け、韓国国力は飛躍的に成長」とするものだった。政府公式サイトの投稿にしては、顔がかゆい(※照れくさ過ぎでむしろ恥ずかしい)し不適切だという指摘が多く、後で日本関連表現が大幅に削除された。
とにかく、原文の内容自体が間違っているとは思えない。日本がパッとせず、韓国は先進国になったのは事実だ。そうなら、もうそれでいいだろう。汚辱の歴史を乗り越え、栄光の時代を開いたわけだから、過去の清算と新たな出発に執着する必要はないだろう>>
いつものこと、『解放軍・占領軍』のことでは「ファンタジー歴史観は意味が無い」としながら、結局は『反日』というファンタジー歴史観に囚われたまま・・という展開です。でも、少し社会心理的な見方をしてみます。
実はこれ、東南アジアの国を見下す表現が出たときにも、似たような反応があります。「もう韓国が豊かだから、そんなこと言ってはならない」と。韓国人が考えている『無礼』というのがどんなものなのか、よく分かるくだりでもあります。
もう少しひねくれた見方をしますと、最初から言わなかったならまだ分かりますが、「私たちは豊かだからそんなことを言うべきでない」となると、相手への追撃というか、さらに相手を見下すことになってしまいます。でも、そこまでは誰も気にしません。理由は簡単です。「なぜなら、言っていること自体は事実だから」です。
個人的に、このような現象を、韓国でよく耳にする「持ってるふり(있는 척)」の現れではないだろうか、と思っています。ある程度は豊かなふりをしろ、という意味です。「持ってなくても持っているふり(없어도 있는 척)」とも言います。持ってなくても持っているふりをする、すなわち「豊かな人の余裕」を示すことで、自分の体面(面子)を維持できるというのです。「必要以上に高い車に拘る人が多い」「食堂などで、なぜか一人でグループ分全額を払おうとする人が多い」「海外旅行の回数がある種の品格だと思う人が多い」などの現象が、すべてこの「持ってるふり」だとする見方もできます。相手にごちそうしたいわけでもなく、車に興味があるわけでもない。ただ、そうすることで自分の格を上げることができる、と。
でも、そんなことをする人に限って、実は自分自身が『持っている人』ではないと分かっていたりします。何かあれば、すぐ『私のような庶民に何が出来るというのだ』と泣き叫びますから。デジタルタイムズというネットメディアが、最近の韓国のワクチン騒ぎについて、こういう分析を載せました。『持っているふり、偉いふり、知っているふり』の3つが原因である、というのです。ワクチン確保できてないのに持っているふりをし、なにがあっても偉そうにするだけで、専門的知識も無い人が知っているふりをするから、こうなるしかない、と。
韓国社会のいわゆる「卑日」は、『韓国の問題の原因は、朴槿恵ではなかった』という当たり前のことが明らかになりながら、急激に強くなりました。朴槿恵を弾劾したから何かが変わったはずだ、その証明が必要だった頃のことです。政府だけでなく、人々の精神世界そのものに。
その大きな原動力になったのが、K防疫です。でも、結局は「持っているふり」でした。偉いふりと知っているふりはともかくして。今回の『言ってることは間違いないけど、もう光栄の時代に入ったからそんなこと言うべきでない』というのも、結局は「持っているふり」にすぎないのでしょう。
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