韓国での会話、日本での会話

今日は、おかげさまで9月2日に発売される「日本語の行間~韓国人による日韓比較論~」の一部を紹介したいと思います。日本と韓国で感じた「会話」の差について、です。

もちろん「すべての人、全ての場面」でのことではありませんが、自分なりの一般論として、韓国での会話は、多くが「マウント合戦」でした。少しでも長く話そうとするし、相手の話を切ろうとします。しかも、話す内容が、強いて言うなら「訓戒(フンギェ)」っぽいものばかりです。叱って正す、教育する、そんなニュアンスです。だからといって、なにか重要なアドバイスがあるわけでもなく・・私の上司でもない人が、一方的に上司を演じながら、私を教育している、そんな感覚になってしまいます。

 

訓戒は、基本的に、上の人が下の人に行います。下の人は、上の人の話を切ってはいけません。それは下剋上です。だから韓国側の文章には「戒める」ニュアンスで書かれたものが多く、そのために文章や段落、または記事の字数を引き伸ばします。誰かを戒める文章を書く側が、その戒めの相手、または読者そのものを、「教育している」構図にするためです。これは、意図的というよりは、社会的心理が反映されたある種の処世術でもありましょう。そう書かないと、相手からバカにされる、という。

2019年、韓国で25万部以上の大ヒット(韓国は日本より市場が小さいので、日本でいえばミリオンセラー級です)を記録した『あなたが正しい』という本には、『親が子に言うのは99%が子を見下しているから』、『たとえ親でも、あなたの境界を破ってくるなら、切り捨ててしまえ』という衝撃的な内容が、心理カウンセリングとして書いてあります。職場の人からの忠告も、どうせ見下されるだけだから、受けるな、そして忠告なんかするな、というのです。私はこんな主張にはどうしても同意できませんが、まわりの全ての会話がそうなっているから、そもそも言うな、聞くなというとんでもないカウンセリングが成立するわけです。

朝鮮半島では、昔から『下のものを教育させる』という意味で、「訓」の字を使ってきました。まだ学校というものが出来る前には、読み書きなどを教える人を「訓長(フンジャン)」と言いました。朝鮮の王「世宗(セジョン)」がハングルを作ったときにも、最初は「訓民正音(フンミンジョンウム)」と言いました。その目的な「漢字が分からない愚民たちは言いたいことがあっても書くことができないので、哀れに思い新しい字を作った」となっています。この考えが、「訓」の認識として今でも残っていると言えるでしょう。もう少し面白い事例だと、テコンVがあります。皆さん、韓国の劇場用ロボットアニメ「ロボットテコンV(ブイ)」というものをご存知でしょうか。40代、50代ぐらいの韓国人なら誰もが知っている、国民的なヒットを飛ばしたアニメ映画です。そのロボットのパイロットの名前が、キム・フン(金 訓)です。悪党に、正義を『分からせて』やるという意味です。

最近も、社会で一般的に上の立場の人が下の人を叱ることを、フンギェ(訓戒)するとよく言います。逆に、下のものが何か意見を出すと、「お前に何の権利があって私を訓戒するのだ」と、喧嘩になりがちです。『訓』は、いろいろ知っている人が、知らない人に教えるもの、教えて・あ・げ・る・ものだからです。

日本での会話には、そんなものがありませんでした。知っている人からも、知らない人からも。高齢者の方からも、学生さんたちからも。これは、相手を尊重する心、いわば「対等な存在」として見ているからではないだろうか・・と。

ちなみに、日本に来てから「頭下げる(軽くお辞儀する)率」が格段に増えました。私がすみませんと言いながら頭を下げることもありますが、相手がすみませんと言いながら頭を下げられるから、私もします。大して長く話したわけでもないのに「長く話して申し訳ございませんでした」と相手が頭る(略)から、、私もついします。特に初対面の方となら3~4回はするような・・

 

今日は、午後の更新はありません。夕方あたりにまた更新致します(・∀・)ノ

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