韓国裁判所、北朝鮮の「主権免除」研究・・北朝鮮に対する賠償請求を防ぐためか

日本に対しては「主権免除の対象ではない」として慰安婦賠償判決などを出した韓国裁判所(この件も裁判ごとに内容が異なり、その後の別の裁判では賠償を認めませんでした)。しかし、北朝鮮の主権免除を認めるための研究を始めたことが分かりました。1審で、北朝鮮(金正恩委員長)に対する賠償請求が認められたためです。

韓国の憲法解釈的に、北朝鮮は違法団体になっています。この場合、主権免除(この場合は裁判権免除、すなわち韓国の裁判権が及ばないという意味になります)の対象にはなりません。でも、もし北朝鮮を、国家ではないにせよ、主権の持つ団体として認めた場合、裁判権免除も適用できるのではないか、そんな趣旨です。また、時期的に、似たような内容の裁判が日本でも予定されていることも気になります。

ソース記事は、「北朝鮮を主権免除という名目で守るため」と露骨に書いているわけではありません。ただ、「南北の特殊な関係を考える必要がある」「現政府は北朝鮮を『平和統一の協力者』と認めている」など、そういうニュアンスは明らかに出ています(私の心が曇っているだけかもしれません)。以下、ソウル経済の記事、引用します。<<>>が引用部分になります。

 

<<(※韓国の)裁判所に金正恩北朝鮮国務委員長と北朝鮮政府を相手にした損害賠償請求訴訟が相次ぎ、司法が「北朝鮮の裁判権免除」と関連した研究に着手した。憲法上「反国家団体」とされる北朝鮮の権利を、他の国と同じように見ることができるかが研究の中核となる・・・・裁判権免除とは、主権を持った国は他の国の裁判権に服従しないという国際慣習法原則である。主権免除とも呼ばれる。

裁判所が今回の研究に着手した理由は、昨年7月7日、挑戦戦争当時に北朝鮮軍の捕虜となり強制労働された参戦軍人が、金正恩委員長を相手に損害賠償請求で勝訴判決を受けた件が決定的だ。当時、ソウル中央地方裁判所裁判所は「金委員長と北朝鮮政府は被告にそれぞれ2,100万ウォンを支給せよ」と原告勝訴判決を出した。この判決は、被告側(※北朝鮮)の控訴がなく、同月23日確定した。法曹界では、これは、北朝鮮に私たちの裁判所の裁判権を認めて損害賠償を命令した最初の判決だと評価した。この判決後、金総書記と北朝鮮政府を相手にした追加民事訴訟が全国で相次いだ・・

・・北朝鮮政権の法的地位に関しては、法学者の間でも意見が分かれた。領土条項である憲法3条よると、北朝鮮は私たちの領土の中の「自由民主主義体制の転覆を狙う反国家団体」と規定されて、原則的に「主権を持った外国」とすることができない。一方、現政府などは、平和統一条項とされる憲法4条に重きを置き、北朝鮮の世襲政権も「祖国平和統一のための対話・協力の同伴者」とみなす。1991年、南北が国連に同時加入したことをめぐり、国際社会が北朝鮮を間接承認したという見方もある・・

・・北朝鮮の裁判権免除にするかどうかは、隣国である日本でも最近、論議になっている。共同通信によると、在日朝鮮人北送事業の一環として北朝鮮に渡り、日本に脱北した5人が、北朝鮮政府を相手に提起した5億円規模の損害賠償請求訴訟の最初の裁判が、今年10月14日に開かれる。原告らは、北朝鮮が地上の楽園という宣伝を信じて北送事業に参加したが、日本出身という理由で、人権を抑圧されたと主張している。また、日本政府が、外交関係を樹立していない北朝鮮を国家として承認していない点を挙げ、北朝鮮は主権免除対象ではないと指摘している。

裁判所行政処の関係者は「裁判所の外の専門家の意見も聞いてみようという趣旨の研究だ」と「まだ結果が出ていない状態で、これを具体的にどのように活用するかは決まっていない」と説明した>>

 

もし、この研究が「北朝鮮も主権免除の対象だよ」という結論を出し、裁判所がその結果を引用するようになると・・連邦制統一を願う人たちにはかなりの吉報になるでしょうね。連邦制統一というのは、主権を持つ『政府』と『政府』の統一のことですから。

しかし、繰り返しになりますが、露骨に書いてあるわけでもないのに、読んでいると「あ、北朝鮮を守るために適当な資料を用意させる気か」と思ってしまうのは、なぜでしょうか。これが日頃の行いというものでしょうか。

 

 

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