韓国与党では、李在明(イ・ジェミョン)京畿道知事が競選(大統領候補を決めるための党内選挙)で圧勝を続けています。片や保守野党『国民の力』ですが、絶賛崩壊中です。政党支持率では与党『共に民主党』より少し高かったりしますが、問題は、内部の騒ぎです。
以下、韓国保守野党の有力候補二人の現状をちょっとお伝えします。まず、検察総長出身の尹錫悦(ユン・ソクヨル)氏。大統領選挙に出馬すると宣言しましたが、そのときは国民の力に入党するかどうかハッキリしませんでした。でも、思ったほど支持率が上がらず、いつのまにか国民の力に入党しました。言い換えれば、国民の力内部の『ユン派』は、急造された勢力にすぎません。ただでさえ各種世論調査で李知事に負けていますが、さらに問題なのは、同じく国民の力の大統領候補(競選のライバル)、洪準杓(ホン・ジュンピョ)議員の存在です。尹氏と洪氏は、毎日のように対立しています。
洪議員は、日本に入国する際に「私は韓国最大野党の代表だぞ」としながら指紋採取を拒否し、それを自慢気に話す人です。洪議員は、絵に描いたような『非朴(朴槿恵氏と対立する)派』議員です。朴槿恵氏を強く非難していましたが、いざ朴槿恵氏がいなくなると党をコントロールできず、それからの選挙でボロ負け、国民の力からしばらく離れていました(事実上、スネて出ていった)。再び帰ってきてからあまり経っていません。なんだかんだで『親朴』議員たちが党内に大勢残っているので、洪氏を快く思うはずはありません。
左派、『共に民主党』の人たちは、競選で負けても、党を離れることはできません。そういう構造になっていて、市民団体も基本的には『党』で支持者を決めます。これは、運動圏(活動家)組織の特徴がそのまま現れているとも言われています。李知事が『文大統領継承宣言』をしておいたのもそのためです。競選で誰が勝っても、負けた人が党を離れることはありません。李知事支持者たちの票も、それ以外の候補支持者たちの票も、ある程度の離脱はあるかもしれませんが、結局は『共に民主党大統領候補(多分、李知事)』に入ることになります。
ですが、保守派は違います。朴槿恵氏のときに『親朴』と『非朴』があまりにもはっきり分かれたこともあるし、弾劾の影響も大きく、『◯◯を継承する』と言えるほどのリーダーもいません。尹前総長も洪議員も、競選で負けると、ほぼ間違いなく、国民の力から出ていって独自で出馬するでしょう。保守派の票も分散されます。
そんな中、尹前総長がまだ検察総長だった頃、未来統合党(現・国民の力)のキム・ウン議員に告発状を渡しながら、『与党側の政治家(誰なのかは特定されていません)を告発してくれ』と頼んだという報道がありました。
与党側の複数の政治家(一部の報道では、記者なども含まれているとも)に対する告発状を、現職A検事から作ってもらい、『告発人』の部分は空欄にして、それをキム・ウン議員に渡し、『未来統合党(以下、国民の力とします)名義で告発してくれ』と頼み、党内でもその案件が議論されたというのです。実際に告発まで行ったかどうかはちゃんと書いてありません。
キム・ウン氏は国民の力所属の人だから、キム・ウン氏が党の法律支援機構に告発状を提出したなら、問題はありません。しかし、党の人でもない、しかも検察総長が『代理告発』をキム・ウン議員に請託したなら、完全に『オワタ』案件です。
尹前総長側は全面否認し、党代表も「そんな案件は無かった」としましたが、キム・ウン議員は2日にコメントを出し、「告発状、渡したような(※曖昧)」「当時、議員室には数多くの情報提供があって、情報提供として受けた資料は、当然のことながら、党の法律支援団に渡した」としました。具体的には言ってないけど、『何かを党の法律支援団に渡した』のは認めたわけです(ハンギョレ新聞より)。この件で、洪議員は「恥知らず」「国民に頭下げて告白せよ」「尹氏の黙示的指示があってこその問題だ」とし、尹氏を強く非難しました。この件の結果がどうなろうと、保守派分裂はもう決定です。
少なくとも『今』の時点では、次の大統領は李在明氏です。そうしか思えません。韓国の政治集団が分裂でセルフ崩壊するのは珍しいわけではありませんが、なんだかんだで、保守派にとって朴槿恵氏の存在って大きかったんだな・・とも。
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