韓国紙「いくら選挙が近いからって、『日本に勝った』という嘘はやめよう」

本ブログでも紹介した「日本に勝った政府として歴史に記録されるだろう」「日本に勝ったからグクポン(無批判な愛国心)に陶酔してもいいじゃないか」という与党代表の発言について、『毎日経済』紙が論評を載せました。

日本に勝ったというのは嘘だ。台湾に負けないように気をつけろ。いくら選挙シーズンに使えるネタが無いからって、そんなフェイクニュースを流すな、というのです。以下、毎日経済です<<>>が引用部分になります。ウンクタッドという言葉が出てきますが、UNCTAD(United Nations Conference on Trade and Development)のことです。

 

<<ユン・ホジュン共に民主党院内代表が8日、院内代表演説で「韓国が解放後75年ぶりに日本を超えた」と宣言した。それとともに、文在寅政府は大韓民国を先進国にした政府として歴史に記録されるだろうともした。1ヶ月前、TBS交通放送のキム・オジュンが「韓国が日本を超えた」とした放送と一脈相通じる(※度の過ぎた親政府発言で問題になっている放送人です。TBS交通放送はソウル市が国営しています)。

大統領選挙シーズンが近づいてきて、与党陣営では「韓国は日本を追い越した」をこれからもスローガンとして使うだろう。文在寅政府がそんなすごすぎる成果を出したから、政権再創出に力をください、と。じゃ、韓国経済が日本を超えたのは本当か、その根拠は何なのか、また、文在寅政府が韓国を先進国に押し上げたという主張は何だったのか、正確な検証が必要であろう・・

 

・・ユン院内代表が「日本超えた」「韓国は先進国」とする根拠が何なのか演説を辿ってみると、2018年の購買力(PPP)基準の1人当たりの国民所得が日本を上回ったからだそうだ。最高裁強制徴用判決後、2019年の貿易規制の衝突が起き、文統領が「もう二度と日本に負けない」と誓ったが、それが達成できたというのだ。購買力基準で、2014年にすでに中国の国内総生産(GDP)が世界1位になった。今、世界が中国経済が世界1位だと認めているのだろうか。昨年末、米国のGDPは20.5兆ドル、中国は13.6兆ドルだ。中国が350年ぶりに米国を超えたと騒げば、人々は『あなた大丈夫ですか』と言うだろう。

 

今度は大韓民国が先進国になったという話だが、その自慢の根拠はなんだろう。数ヶ月前(7月4日)、ウンクタッドUNCTAD)が1964年に設立以来、初めて韓国を発展途上国から先進国グループに昇格させたことがその根拠だ。発表後、文大統領は国務会議を主宰し、「国連加盟国の全会一致の合意により、韓国は名実共に先進国であることを国際的に認められるようになった」と自慢した。ウンクタッドは、発展途上国グループの国際機関であり、先・後進国を判断できるような権威のあるところではない。

ウンクタッドが韓国を先進国グループにのせる前、すでに先進国に分類した国の面々を見ると、トルコ、キプロス、ローマ教皇庁、マルタ、サンマリノのようなところが含まれている。じゃ、韓国がトルコにも劣っているというのか。それだけの機構なのだ。こんな資料を韓国の大統領、与党院内代表が誇るとなると、国際社会は「どれだけ自負心が足りない国なんだ」と思おうだろう。外交部が、レベルの低い自慢をしないように前に止めるべきだった。ウンクタッドが韓国を先進国に分類したと強調するのは、ただの劣等感だ・・

 

・・ユン院内代表が、韓国が日本に勝ったとするもう一つの根拠は、スイスIMDが発表した国家競争力が、韓国は今年23位、日本の31位だったことだ。李明博大統領のときにも、韓国の国家競争力が23位に、日本は26位だった。2010年に李明博がG20会議をソウルで開催し、国家競争力で日本を追い越したと誇ってもおかしくなかっただろうが、そうはしなかった。韓国のトータル国力が日本の3分の1水準だとよく知っていたからだ・・

・・この記事の主題である韓国経済と日本経済の実力差により焦点を合わせてみましょう。最も重要な尺度であるGDPは韓国1兆6200億ドル(世界12位)、日本の4兆9700億ドル(世界3位)である。正確に1対3である。経済力を計算するとき、外貨準備高、技術力、大企業の数を集中的に見る。外貨準備高は、韓国4024億ドル、日本の1兆2593億ドルである。国の債券は、韓国が1000億ドル、日本は純債権額約3兆ドルで、27年間世界1位だ。日本は積み上げたものが多く、真の大金持ちだ。フォーチュン500企業の数は、日本の53社、韓国14社である。

韓日間の圧倒的な差はノーベル賞受賞者の分野である。日本は28人の受賞者を保有し、世界6位であり、科学の分野のノーベル賞だけで24人だ。建築界のノーベル賞であるフリーカーツ賞はアメリカ人が8人で最も多く、日本が7人で2位・・

 

・・日本に追いつく前に、台湾に追いつかれる心配をしたほうがいいだろう。結論として、韓国が日本を超えたということは、ツバメを1羽見たからって「もう春が来た」と騒ぐようなものだ。国内が大変なのは見て見ぬ振りをしながら。いくら大統領選挙シーズンに使えるものが無かったとは言え、与党院内代表が日本を追い越したとするとは、ギャグか、妄言や偽ニュースの何かとしか思えない>>

 

「いくら選挙が近いからって」という指摘は、そのとおりです。総選挙で『選挙は日韓戦』を利用して勝利したから、その日韓戦の『結果』として、『韓国が日本に勝った』をハッピーな続編として使いたいのでしょう。

でも、ソース記事には少し指摘したい部分がありますが、韓国が日本に勝ったとしているのは『1人あたり』PPPです。国家PPPで見ると日本が韓国よりずっと上です(中国1位、米国2位、インド3位、日本4位)。文章をこう変えると、もっと説得力を増すでしょう。「1人あたりPPPだけを見て、『ルクセンブルク(1位)が米国(7位)を追い越した!』と騒ぐと、人々は『何の話をしているんですか、それは』と言うだろう」。これ、ひょっとして与党代表も間違えているかもしれませんが・・

 

それに、前にも書いたことがありますが、PPPという概念はビッグマック指数の拡張版みたいなもので、そこまでメインにはなれていません(ネタとしては面白いですが)。また、共に民主党が「2019年に文大統領が『負けない』と言った」を「2018年データを根拠にして判断する」のも、すでに時系列が破綻していると言えましょう。

最後に、文脈からして多分皮肉だとは思いますが、「トルコより劣っているというのか」などの表現、本当にこういうの多すぎで嫌になります。

 

※今日、更新1回休みます。次の更新は夕方あたりになります※

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