去年、北朝鮮軍の銃撃で亡くなった海洋水産部の公務員Aさん。そのまま射殺・燃やしたという北朝鮮側の反応も問題でしたが、何で海に飛び込んだのか(または何かの理由で海に落ちたのか)、韓国政府の対応がヌルすぎないか、などなども話題になりました。特に、韓国政府は「『越北(自分の意志で北朝鮮側に渡った)』して、撃たれた」と主張し、遺族側はそれ以外の理由で(例えば、漂流して)撃たれたと主張していました。
実際に何があったのかは未だ分かりませんが、遺族側は、「射殺された経緯に関する情報だけでも公開してくれ」と訴訟を起こしました。それから7ヶ月がすぎ、やっと裁判が始まりました。以下、ソウル経済の記事から引用します。それぞれの記事、<<~>>が引用部分となります。
<<昨年9月、西海で北朝鮮軍の銃撃で死亡した海洋水産部職員の遺族が、経緯を教えてくれと政府を相手に出した情報公開請求の最初の裁判が、9月20日に開かれる。遺族側が行政訴訟を提起してから7ヶ月ぶりだ。「越北というレッテル貼りだけしないで、国が何をしたのか教えてほしい」という遺族の要求に、大統領府は「情報が公開される場合、韓半島の平和増進、軍警戒態勢など国益を著しく侵害する恐れがある」と対立していることが確認された・・(ソウル経済、8月18日)>>
すでにこの時点で、ゆっくり起き上がって窓の外を見つめながら「あ、やっぱりこのパターンか」とつぶやきたくなりますが・・その裁判、22日が初めての弁論期日でした。そして、前からこの件を追っていたソウル経済は、なんと韓国政府が裁判所に出した意見書を入手し、記事にしました。もう少し詳しく見てみましょう。
<<・・政府は、被害者の失踪座標に関する情報さえも確保していないことが確認された。北朝鮮軍が被害者をどの海域で発見したのかも正確に知らない状況で「越北」論議を呼んだわけだ。1年間、被害者はまだ行方不明者とされており、死亡者の身分にもなれていない。 8日、ソウル経済が入手した訴訟意見書によると、大統領府国家安全保障室長と国防部長官、海洋警察庁長側は16日、公務員射殺の件に関する情報公開請求1審裁判部に、「秘密審理(※当事者すら参加せず、裁判所だけが非公開で情報を観覧する審理)だとしても、提出できない資料がある」と主張した。政府は、特に「2020年9月22日午後3時30分頃、北朝鮮軍が行方不明公務員を発見した座標」について、「そもそも情報が存在しない」と答えた。
政府側は、「国防部長官が裁判所の訴訟指揮に基づき、所管部門の情報非公開閲覧・審査のための協力を要請したが、行方不明者の座標に関する情報を個別に保持していないと確認された」とし、「国防部長官は、北朝鮮軍が行方不明公務員を発見した概略的な位置を推定し、遺族に公開しただけだ」と説明した。続いて「国防部長官もまた、行方不明公務員を発見した座標の情報を持っていない」と付け加えた・・
・・捜査当局が捜査結果を発表するときも、遺族の情報公開請求を拒否するときも、いままでずっと、最初の裁判が開かれた中でも、「座標情報そのものを確保していなかった」とは言ってなかった。国防部は昨年11月6日、遺族がソ・ウク国防部長官と面談した際にも、「行方不明公務員発見位置は~~だと判断しているが、正確な座標は、軍事機密保護法に基づいて特定して公開することができない」と述べた。そもそも具体的な座標も知らなかったにも関わらず、まるで機密だから公開できないように主張してきたのだ・・(ソウル経済、9月18日)>>
他にも、政府はまた、傍受した北朝鮮軍の通信録音ファイルなどに関しても、軍事機密保護法上の2級機密だから提出できない、としているそうです。ただ、遺族側の話だと、2級機密は、公開を要求した人にすぐに公開できるという裁判所の判例がある、とのことでして。最初の記事にあった「情報が公開される場合、韓半島の平和増進、軍警戒態勢など国益を著しく侵害する恐れがある」、これが全てでしょう。文政府にとっては。「失踪者のままだ」を「北朝鮮軍は韓国民を射殺していない」と同じ意味にするためにも。しかし、「国益」って、これもなかなか便利な言葉ですね。
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