文在寅大統領が朝鮮半島にあったとされる伽倻(ガヤ)国の歴史に強い興味を示したことで、韓国では伽倻史に関する研究が急激に進みました。でも、率直に言ってこれといって進展はありません。該当地域の古墳群を世界遺産に申請したことは進展と言えますが、その過程で日本書紀の任那日本府の記録を引用したことで、問題になったりしました(過去エントリー)。
その過去エントリーにて、「知名度の側面で日本の資料に依存するしかない、またはそもそも韓国側に相応の資料が無いのではないか」という趣旨を書きましたが、どうやら、アタリだったようです。韓国の国立中央博物館が、去年10月の特別展示(伽倻史)で日本書紀からパクったことで怒られ、今度は常設展示で中国の東北工程からパクったことが明らかになり、さらに怒られています。「東北工程」とは、中国東北部の歴史研究を進めるための中国の国家政策の一つです。高句麗が中国の歴史にされているなどの内容があって、韓国はかなり警戒しています。
昨日のエントリーとは別のことになりますが、去年、韓国の国立中央博物館でも似たような騒ぎがありました。伽倻史関連で特別展示を行いましたが、その年代表などが、日本書紀によるものでした。参考した文献を「日本書紀」ではなく「書紀」に表記したりした、とも。以下、2020年10月19日のファイナンシャルニュースから引用します。
<<ムン・ジェイン政府が100大国政課題として推進した「伽倻史復元」の一環として、国立中央博物館で開催された「伽倻の剣と弦」の展示が、「任那日本府」を認める日本の植民史観に沿ったもので、論議に包まれでいる。国会文化体育観光委員会所属ベ・ヒョンジン国民の力議員は19日、中央博物館を対象とした国政監査質疑で、植民史観論議を提起した。展示に使われた年表の内容の大半が、日本の文献史学界で任那日本府説の主要な根拠となった「日本書紀」の内容を反映した問題が提起されたのだ。さらに、年表には日本書紀からの反映を隠すために、日本書記ではなく、「書紀」と名前まで隠していたという説明である・・>>
今度は、つい最近のこと。国立中央博物の常設展示、中国側の遺物関連の映像コンテンツが、中国の東北工程に沿ったものだと明らかになりました。中央日報から引用してみます。<<・・問題になった映像は、国立中央博物館の常設展示館、中国遺物展示館の入り口にあるもので、中国の歴史を映像で表現した約6分の作品である。今年3月から先月15日まで展示されていた。映像に含まれている地図には、中国『魏』の領域を、当時の百済である忠清道までと表記した。また、中国『漢』の領域は、漢江以北地域まで、『明』は満州地域まで支配した表記にするなど、中国の東北工程の論理と類似している」という批判が提起された・・>>
『諸侯国だったから別にいいじゃないか』と言ってしまえばそれだけの話しですが(それはそれで、歴史の一部ですから)、そんな考え方が許されないのが韓国の「精神世界の歴史」です。ソース記事によると、「博物館には専門人力が90人もいたが、誰も間違いを指摘できなかった」とのことです。なんで、彼らは、問題を指摘しなかったのでしょうか。日本や中国の歴史資料に合わせたものしか展示できなかったのでしょうか。全員『親日』だから、でしょうか。
繰り返しになりますが、結論は同じです。『韓国には、相応の資料が無い』からです。無理して捻じ曲げて『韓国凄い』とするエセ歴史解釈ならあるけど、さすがに国立中央博物館には出せなかったのでしょう。修正するとしても、結局は別のところからまた引用するしかないでしょう。そう、『精神世界の歴史』に頼りすぎた結果でもあります。いざ資料が必要になったときに、『あれ?おかしいな、なんで無いのだろう』ということになります。
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