KOTRA(Korea Trade-Investment Promotion Agency、大韓貿易投資振興公社)の北京及び上海貿易館長出身、キム・サンチョル中央大教授の寄稿文を一つ紹介します。最後の部分、韓国のCPTPP加入理由を『中国が加入しようとするから、それに合わせようとしているのではないか』としていますが、この件で『日本』以外を出して批判しているのは、韓国側の記事としてはかなり異例です。以下、寄稿文中心のネットメディア「スカイデイリー」です。<<~>>が引用部分となります。
<<・・グローバル秩序、経済において中国の影響力が大きくなると、(※韓国は)露骨に中国の顔色を気にするようになった。その背景には、中国の経済はもちろん、政治にまで依存度が高くなったのが原因であろう。特に、現政府に入ってからは、執権勢力が理念的に中国に著しく偏向されていることがよくわかる。運動圏(活動家)出身が政権の核心に布陣し、彼らは、自分たちがハマっていた冷戦時代の理論と思想に縛られたままである。しかも、同じく中国に傾いた知識人や経済人が実勢として浮上し、中国側に立つように促す寸劇まで行われている。
問題は、これらがバランス感覚を失っており、二分法的に、現実に対する診断を歪曲させている点である。米国に対しては、伝統的友好国という概念に懐疑論を刺激し、日本とは、より離れる結果をもたらしている。彼らは、これが「米国と中国の間で国益を最大化するための妙手だ」と抗弁するかもしれないが、果たして本当にそうなのか怪しいかぎりだ。むしろ、韓国の地位や利益が大きく揺れているではないか。
中国と近づきすぎたか、お互いに似てしまう不思議な現象まで現れている。中国の社会主義が、私たちの内部に浸透している。(※韓国も中国も)経済において弱者の味方をするといい、市場の機能を無視して国家の介入を増やす傾向にある。コロナ19防疫過程で国家の統制力が一層強化されている点もそうだ。企業に対する規制を拡大し、投資意欲を萎縮させる。不動産市場に対する政府の人為的干渉が拡大され、市場の健全性が大きく損なわれている。さらには、土地公概念まで議題になってきた・・
・・彼らは、不動産政策の失敗を「市場の失敗」とみなすことで、正当性を主張している。所得や資産の不平等を資本主義の極端な弊害だと断定し、根本的な体制転換がなければ、これを根本的に解決できないとするのも、社会主義の認識に基づいている主張だ。最近議論が拡散している無作為で一方的なバラマキ式ポピュリズムの理論的背景が、そこにある。今では、基本所得という発想まで聞こえてくるようになった。
市場経済あるいは資本主義の矛盾を是正するとしつつ、韓国と中国政府がやっている政策路線は本当に似ている。両国政権が直面している政治的環境と無関係ではないようだ。乗りたくなる話しだろうが、その分、代価が大きいことも知っておくべきだ。不平等を深化させ、景気を下降させる結果になる公算が大きい。どんな国も、そのような実験で成功した前例が、まだ無いのだ・・・・台湾がCPTPPに加入しようとすると、中国も申請書を出した。米国も(加入を)肯定的に検討中だ。新規加入は、加盟国全体の同意が必要であり、反対の意思を示す日本やオーストラリアの立場が変わらない限り、中国の加入は不確実である。8年間も『検討中』としていた韓国政府が急にCPTPP加入すると言い出したのも、ひょっとすると、こんなことでまで中国を足並みをそろえるためではないのか。そう言われたところで反論できないだろう・・>>
CPTPP関連でいくつかエントリーを書きながら、韓国側の『中国と協力して(日本を説得する)』という主張が、もっとも不思議でした。この期に及んでそんなことを言うか、と。CPTPPは数日前から複数の記事が出ていますが、その中で、方向性はズレますが、『CPTPPでも中国と歩調を合わせるつもりか』という指摘が入っているのは、この記事だけでした(あくまで私がチェックした中では、ですが)。日本が反対しているから問題だ、という内容は全ての記事に共通していましたが。
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