韓国、尿素水不足による混乱が広がる・・頼みの綱「産業用の転用」は、不可能だと判明

昨日、中国とオーストラリアの外交葛藤(石炭)の影響もあって、韓国が尿素水不足で大騒ぎになっていることをお伝えしました。まだ未読の方は、過去エントリーからお読みください

昨日までは、もっとも現実的な方法として、「産業用尿素水を車両用に転用する」ことで対処する案が報じられました。しかし、産業界は、産業用を車両用に転用するのは、品質の差により、不可能だと主張しています。韓国では尿素水の急激な値上げ、買い占めはもちろんのこと、盗難まで相次いでいます。特に、韓国の物流に絶対的な影響を及ぼす釜山港あたりで、騒ぎが大きくなっているとも。あと、昨日のエントリーで『どうせ低減装置OFFにして走るのではな』というコメントが結構ありましたが、本当にそういう案も提起されているとのころです。以下、各記事、<<>>が引用部分となります。

 

<<・・尿素水の品薄騒ぎにより、韓国経済の血脈である物流が止まる恐れが大きくなっている中、政府がこれといった対策を見つけられずにいる。政府は、尿素水の需給難解消のため、「産業用尿素水の車両用への転換」、「ロシア・インドネシアなど輸入先の多様化」、「中国に輸出制限を緩和してくれるよう要請」、SCR(排出ガス低減装置)義務装着の一時解除などの対策を推進している。この中で、産業用尿素水の車両用転換が最も現実的な提案として取り上げられている。

環境部はこのための技術検討作業にも着手した。産業用尿素水の不純物水準が、車両に適用してもよいのか、また車両用尿素水と同じぐらいの排ガス低減効果が出せるかを判断するための手続きだ。環境部はこの技術の検討に10日前後の時間がかかると予想し、最終結論は今月15日以降に出る予定だ(※記事にもよりますが、韓国の尿素水在庫は1ヶ月分だと言われています)。しかし、産業界では「不純物問題のせいで、産業用尿素水を車両用に転換することは不可能だ」という主張が提起されている。

車両用尿素水は、産業用、農業用に比べて、品質基準が厳しい。業界によると、現代自動車・起亜など自動車メーカーに不凍液などの石油化学物質を納品する専門会社が、最近、尿素水(を産業用を車両用に)転換実験を行ったが、2日後に「不可能だ」と結論を出したという。ある関係者は、「政府の方案に沿って実験をしてみたが、どうしてもスペックを合わせることができない」とし「尿素水メーカーとしても、不純物をできるだけ減らした尿素を使って車両用尿素水を作っていたのに、産業用尿素水で車両用を作れって出来るわけがない。そういう研究先例もない」と話した・・

尿素水無しでも運行できるように、SCRの設定を変更、またはSCRを中止させる案も出ている。汚染物質排出規制権限を持っている環境部は、「不可」の立場を明らかにしている。SCR設定を変更して既存の車両に適用すること自体が、短期間では不可能だ。既存のSCRの制御ロジックを変更するソフトウェアを開発するだけで数ヶ月はかかるかもしれない。ロシア、インドネシアなど輸入先の多様化も、当面の需給不安を解消するには力不足という指摘だ。把握・導入交渉を繰り広げるには、少なくとも3ヶ月以上かかる。インドネシアは、中国に続き輸出制限措置をかけた状態だ。政府は現在、両国のほか、オーストラリア、モンゴル、ベトナムなどにまで輸入先拡大対象を広げたと伝えられた・・(韓国経済>>

 

特に、釜山港では危機感が広がっている、とのことです。韓国のコンテナ物流の75%が釜山港から行われていますが、その釜山港の貨物トラックの60%は尿素水を使うCSR装備車両である、とのことでして。ここからはニュース1です。<<中国発尿素水品薄事態が全国的に広がっている中、国内最大の港湾である釜山港が、コロナパンデミック事態以後、再び物流危機に瀕している。果てしなく上がる価格、どうしても尿素水が手に入らない状況が続き、業界は、早ければ来週から港湾運営に支障が生じると見通している。

韓国の輸出入コンテナ物流量の75%を処理する釜山港でトレーラーの貨物運搬が中断されれば、輸出入産業全般に大きな打撃を与えることになる。尿素水は、ディーゼル車両から出る排出ガスを浄化してくれる溶液で、2015年から義務的に取り付しなければならない排出ガス低減装置に入る必需品だ。釜山港ターミナル運営会社などによると、釜山港の貨物を輸送する貨物車1万2000台のうち、60%の7200台程度が尿素水を使用する車両だが、市販ガソリンスタンドで尿素水を購入するのはますます難しくなっている・・>>

 

ほぼ中国『だけ』に頼っていたのも問題ですが、政府関係者に尿素水に詳しい人はいなかったのでしょうか。韓国政府は、「産業用尿素水は、トラックの排ガス低減装置のための尿素水とは、品質が違う」ことすらも分かってなかった、ということでしょうか。そこが気になります。

 

 

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