米国国務省朝鮮部長(北朝鮮問題などの総括)、同日本部長、同アジア太平洋担当首席国務次官補を歴任したエヴァンズ・リヴィア氏が、主に終戦宣言について中央日報とインタビューしました。
リヴィア氏は金正日氏が生きていた頃から直接会って話すなど、朝鮮半島問題に長く関わってきた人物です。韓国語、日本語を上手に話すと聞いたことがあります。一言で、彼は韓国政府の終戦宣言主張をこう話しました。『希望的思考に支配されている』。以下、中央日報より引用してみます。<<~>>が引用部分となります。
<<・・米国務省の弁護士が終戦宣言文案を法律的に検討をしているという話まで出てくるほど、韓国政府当局者たちが伝える文在寅(ムン・ジェイン)大統領の朝鮮戦争終戦宣言提案に対する米国の反応は、かなり肯定的だ。しかし、ワシントンの東アジア太平洋専門家たちが伝える米国政府の気流は、全く違う。
ジェイク・サリバン米ホワイトハウス国家安保補佐官は先月26日(現地時間)終戦宣言について「私たちは(※韓国と)各段階の正確な順序や時期、条件について多少異なる観点を持っている」と両国間の異見を示唆した。ワシントンの朝鮮半島の専門家の話は、これよりも直説的だ。エヴァンス・リヴィア元国務省アジア太平洋担当首席次官補は、先月28日のインタビューで「米国の立場は常に(終戦宣言は)北朝鮮や他の国と対話の中で考慮し議論しなければならないとするもので、非核化の流れの中で進めなければならないということ」と言った。
彼は「終戦宣言は、『ひょっとすると北朝鮮が非核化について考えてみるかもしれない』という理由で北朝鮮に一方的に与える贈り物ではない」とし、「北朝鮮が真剣に非核化手続きを始めるなら、検討してみることもできるというのが、米国のスタンスだ」と説明した。リヴィア元次官補は特に、「韓国政府は、自らの情熱に囚われている」とし「希望的思考(wishful thinking)が支配していると思う」と述べた。
Q:国側が終戦宣言提案に強く反対しない理由について/A:「バイデンは同盟強化と協力を外交政策全面に掲げた。同盟である韓国の大統領が提案したものを、公開的に反論してその体面を削り落とさないようにしているのだ」。Q:米朝間の膠着状態に打開策はあるのか/A:「韓国政府の切迫感(desperation)を理解していないわけではない。しかし、米国と北朝鮮は互いに膠着状態に陥った。私は現在を「安定的な膠着状態」と呼ぶ。弾道ミサイル(ICBM)や核実験を再開したり、中国を刺激しない限り、このまま持続できるという意味だ」。
Q:北朝鮮が「レッドライン」を超える可能性はあるのか/A:「ICBM試験の発射や核挑発をすれば、バイデン政権は北朝鮮がびっくりするほど対応するだろう。国内の政治的理由でそうするしかない。北朝鮮は米国をよく知っていると思っているようだが、何も知らないでいる。そんなときには、何が起きるか分からない。2017年の状況が繰り返されるかもしれない・・>>
ビクター・チャ氏など他の専門家たちの意見も載っていますが、「終戦宣言すれば、在韓米軍撤収に関する議論につながる」、「韓国だけでなく、米国内でも『なんで在韓米軍が駐屯するのか』という主張が提起されるだろう」、「『核保有国北朝鮮』と合法的な関係を持つ結果になる」、「終戦宣言により、政策そのもの、韓米同盟そのものに変化が起きることになる」、「金正恩に外交的勝利を与えるわけにはいかない」など、どれも『文案を検討している』雰囲気とは言えないものばかりでした。ビクターチャ氏は、『平和が嫌だという人はだれもいない。平和と距離があるのは(終戦宣言しない米国ではなく)北朝鮮のほうだ』と話した、とのことでして。ソース記事にはありませんが、米国側には、「終戦宣言すると、北朝鮮の人権問題に肯定的変化が期待できるのか」という疑問を提起する人たちも大勢います。同じ考えだと見てもいいでしょう。
で、結局、頭の中でいつもの「ファンクラブ」「クラブケーキ」などの単語が現れては消え、現れては消えますが・・肯定も否定も、『支配されている』ようになると終わりです。だいたい、この状況で『すでに文案検討に入った』と言える自身の根拠は何だったのでしょうか。支配されているから、でしょうか。
昨日、日本が終戦宣言で『時期尚早』と話したことで、韓国側のメディアが怒りに震えている(多分)姿をお伝えしましたが、こうして見てみると、米国側も日本と同じ考えで、『時期尚早』はものすごく的確で、紳士的な表現だったことがわかります。韓国とは違って、日米は事前にちゃんと調整していたのでしょう。その的確さが分からないのも、また『支配されている』からでしょう。
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