語彙(?)の話・・「有事」を「ことがある」と訳する全国紙

本題と離れていて、しかもレナの写真があるわけでもないので、いつもの100倍はご注意ください。土曜日だし、読み物だと思ってかるーく読み飛ばしてください。

事変や戦争などが起きた場合、韓国ではユサという単語を使います。ユ(有)サ(事)で、日本語の有事のことです。使い方も似ていて、主にユサシ(有事の時、日本で言う『有事の際』)と言います。

「有事」を知らない人がいるとしても、有事時(ユサシ)という言葉は、韓国で暮らした人なら普通に聞いたことがあるでしょう。いわば、日本と同じ意味として、韓国でも普通に使う言葉です。いつからあったかは不確かですが、中国では「有事」を相応の意味で使うことはないと聞きます(※不確かな情報ですみません)。多分、日本語からそのまま朝鮮半島に輸入された言葉ではないでしょうか。

 

ですが、韓国の大手全国紙が、安倍元総理の発言に出てくる「有事」を、「ことがある」と訳しました。題では「事が有る」、本文では( )を使って「(戦争などの)事が有る場合は」としています。韓国で、「ことがある(일이 있다、볼일있다)」という表現は、もちろんシチュエーションにもよりますが、日本語にすると「用事がある」「野暮用がある」などの意味になります。

日本語で言う「なにかあったのか?」と同じ趣旨の表現になることもあります。普通の会話なら、「なにか思わしくないことが起きる」という意味で、「なにかのことがあったか?(무슨 일 있어?)」と言います。でも、これを国家間の非常事態関連で使うことは、そうありません。以下、昨日テレビでも大きく報道された安倍元総理の発言ですが、某大手全国紙の記事を引用してみます。

<<安倍晋三元日本首相が、「台湾に(戦争のような)事が有るというのは、日本にも事が有るということで、日米同盟にも事が有るということだ」と話し、中国が台湾を侵攻すれば日米が共同対応に出る可能性を示唆した。中国側が強く反発している。フジテレビによると、安倍元首相は1日、台湾国策研究院が主催した集会で、画像講演を通じて「日本と台湾はこれから直面するであろう環境に緊張する必要がある」とし「空で、海で中国はあらゆる種類の 軍事的挑発を続けると予測しなければならない」と話した。 続いて「習近平中国国家主席は決して間違った判断をしてはならない。 日本と台湾は繰り返し(中国に)『間違った道を行ってはいけない』と言う必要がある」と付け加えた・・>>

ちなみに、直後に中国側は猛反発、またその直後に(3日)米国のブリンケン長官が「台湾への侵攻は重大な結果を招くだろう」と、安倍元総理を手伝うような発言をしました。安倍総理は、「台湾有事は日本有事であり~」と話しました。韓国語に訳するなら、「台湾で有事の状況が発生すると、それは日本の有事時でもある」にすればいいでしょう。

他のメディアは、意訳として「台湾が侵攻を受けると、日本が侵攻されたのと同じだ」と訳しています。これは無難な訳で、すくなくとも、「有事」が何の意味なのかは知っているということでしょう。しかし、一部のメディアは「有事(戦争など国家の大きな事変が発生したこと)」と、説明を付けていました。

 

ああ、「語彙」って、本当にモノを美しくもするし、その逆にもするものだな、と思いました。私も漢字にはそう長けている人間ではありませんが、「有事」を「事が有る」と訳したり、説明を付けたり。数十年前から、普通にあった言葉なのに。十分「自国の言葉」として定着し、機能している言葉で、しかも他には代替できる単語もそう無いのに、なんでこうなってしまったのか。日本由来だから、でしょうか。それとも、単に漢字が怖いだけでしょうか。

 

 

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