詳しくは後述しますが、本件、『最初から非公開前提の資料だった可能性』もあります。そこも念頭に置いてください。
韓国政府はいつも「透明性」を主張しています。政府に対する、詳しくは「官」に対する国民の不信が強いのが理由です。しかし、もう少し視野を広くしてみると、「韓国という社会そのものが、『私は騙されている』という緊張感のなかを生きないといけない」ので、透明性という言葉が『効く』のも一つの理由です。
福島の処理水に関しても韓国はいつも透明性を強調します。日本はもっと透明性をもって資料を公開せよ、と。まるで、「日本側が資料を公開していない」というニュアンスです。3日のオンライン面談会でも、そうでした。日本側は『処理水放流は韓国側に問題を及ぼさない』という内容の報告書を説明しましたが、韓国側の反応はあいかわらずでした。以下、各紙、<<~>>が引用部分となります。
<<・・福島汚染(※処理)水を海水で希釈して海洋放流しても、人と環境への影響はごくわずかだと報告書は明らかにした。また、福島第一原発沖合10㎞の範囲で三重水素の濃度と拡散状況を分析した結果、海洋放流で三重水素濃度が高まる海域は福島第一原発から2~3㎞内の範囲に過ぎないとも評価した 。
これに対して韓国政府は、「日本側が海洋放出を前提に報告書を発表したうえに、海洋放出が人と環境に及ぼす影響の不確実性についても懸念を表した」とし「東京電力が出した報告書の主な仮定と方法論上の疑問点を提起し、日本側に追加的な資料を要求した」と説明した。 韓国政府側は「国民の健康と安全を最優先に福島問題に積極的に対処する」と付け加えた・・(ソウル新聞)>>。
ですが、国内では、逆に韓国政府が「日本からもらった資料は公開できない」としています。大手の記事はありませんでしたが、「時事ジャーナル・E」というネットメディアから引用してみます。ちなみに、ソース記事は「政府が日本との関係を重視して資料を公開しないでいる」というニュアンスですが、本ブログの引用意図は、逆となります。
<<原子力安全委員会に対し、日本から受けた福島汚染(※以下、『処理』)水関連資料を公開してくれという情報公開請求棄却された。請求人は、日本の自体評価と国際原子力機関(IAEA)の検証から、韓国に到達する被害の検証が除外される可能性があるとし、韓国が自体評価を進めるべきだとした。5日、法曹界によると、原安委は去る1日、民主社会のための弁護士集会(民弁)ソン・ギホ弁護士が提起した情報公開請求を棄却した。
公開が拒絶された文書は、原安委が去る4月に日本原子力規制委員会に要請し、8月に受けとった書類で、福島処理水の排出に関する包括的な情報を含んでいると推定される。原安委は棄却決定文で「現在、韓日両国政府(韓国原安委及び日本原子力規制委員会)間で一連の交渉が継続的に進行中だ」とし、「福島処理水問題は国民の安全、健康など国益と直結という事案で両国の意見交換内容が公開される場合、日本政府の協力不応や回答遅延などを招くおそれがあり、韓国政府の選択余地を制限させる可能性が高い」と明らかにした。
続いて「事案の重大性、公開による波及効果などを勘案する際、『公開される場合、国家の重大な利益を著しく損なう恐れがあると認められる情報』に該当し、非公開が妥当だ」と非公開理由を説明した。非公開決定にソン弁護士は「国民の安全と直結する情報の場合、速やかに公開するのが国際法の原則だ」とし「放射能処理水放出が既定事実化され具体化されているのに、原安委はなんで資料を隠しているのか」と批判した・・>>
繰り返しになりますが、最初から非公開前提だった可能性もあります(もしそうなら、『非公開資料だけからダメです』と言ってしまえばそれで済んだ気もしますが・・)。でも、ちょっとひねくれた見方を書いてみたいと思います。4月のエントリーと、5月のエントリーで紹介し、拙著『文在寅政権最後の暴走』にも引用したことがありますが、韓国政府は、『処理水は問題ない』とする趣旨の資料を次々と隠蔽・削除してきました。書いた本人が「詳しくは言えないが、内容には問題ない」としているのに、何故か論文が撤回されたり、日本大使館側がリンクした韓国政府機関の資料のURLを急に変更したり、韓国政府の各省庁が協力して組織したタスクフォースの報告書すらも「一部の意見」として無視しています。それらはすべて、「処理水が韓国に及ぼす問題は無い」とするものでした。
ソース記事は、「韓国政府が日韓関係を気にして資料を公開しないでいる(資料には日本に不利なことが書いてある)」というニュアンスですが、韓国側の日頃の行いの問題か、それとも私の日頃の曇り具合の問題か、どうしても私には「韓国政府は嘘がバレるのを気にして資料を公開できない(韓国に不利な内容が書いてある)」としか思えません。
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