韓国、今度は「医療用酸素」大乱が警告される・・すべてのインフラは「人」から始まり「人」で終わる

ちょっと別の側面から、韓国の医療システム問題を見てみたいと思います(本件は新型コロナに限られるものでもありませんが)。

新型コロナにより重症患者が増え、医療用酸素の需要が高くなっています。普通、需要が高まったからメーカー側は相応の利益を上げることもできるはずですが、韓国の場合は逆です。なぜなら、生産すればするほど赤字なので、赤字が急増、耐えられなくなるからです。そんな中、当局はメーカー側に保険報酬の引き下げを通知しました。

昨日あたりから一部のメディアが記事にしていますが、随分前から医療用酸素を作る会社が相次いで閉業、最近の重症患者急増まで重なり、このままだと「医療用酸素大乱」になる、とのことでして。「国民のためだ」としながら保険適用しておいて、メーカー側に一方的な負担を強要したのが、主な理由であります。以下、各紙、<<>>が引用部分となります。

 

<<最近、コロナ19の治療に不可欠な医療用酸素生産を放棄する企業が増えている。需要は増えているのに、低い保険酬價(※この場合、メーカー側が政府から受け取る金額、以下、報酬とします)が原因で、売れば売るほど赤字が大きくなって廃業が続出しているわけだ・・・・韓国医療用高圧ガス協会によると、2015年末基準の医療用酸素メーカーは全国に144社あった。しかし、現在は95社だけが残っている。49社が赤字に耐えられず、営業許可を返却したのだ。

医療用酸素は、製品の特性上、長距離配送が難しい。生産企業の廃業が続くと、供給空白が発生する可能性がある。チャン・セフン韓国医療用高圧ガス協会長は、「コロナ19の拡散で、インドやパキスタン、米国、ロシアでも医療用酸素供給不足で死亡者が発生する事例は多い。現在の新型コロナ拡散傾向であれば、韓国も医療用酸素不足事態から自由にはなれない」と話した。

20年前に策定された安い保険報酬が、慢性赤字の原因だと指摘される。医療用酸素は政府が策定した保険報酬(10リットル当たり10ウォン)以内で販売しなければならない。 2001年に策定された後、凍結状態だ。日本は、私たちの保険報酬より最大25倍ほど高い。気体酸素(小型容器)の場合、国内では10リットル当たり10ウォンだが、日本は247.6ウォン(23.6円)だ。さらに大きな問題は、保健福祉部が来年1月1日から保険数価を10%引き下げることにした点だ。協会関係者は、「何度も訴えたが、政府は無反応で一貫している。保険報酬がさらに下がれば、残っている企業さえも廃業するしかない」と話した・・(国民日報>>

 

<<・・保険報酬が非現実的に低いせいで、大企業は作ってなく、100%中小企業が担当している。コロナ19患者治療に使われる気体酸素(小型容器)の場合、日本は10リットル当たり韓国(10ウォン)の25倍水準だ。日本産業医療ガス協会(JIMGA)は2年周期で日本厚生省と供給単価協議を通じ、価格を徐々に引き上げてきた。チャン・セフン韓国医療用高圧ガス協会長は、「手術・応急患者に主に使う大型酸素の場合、55~60㎏容器で6000ウォンで、原価(3万ウォン)の5分の1水準だ」とし「これまで赤字に耐えてきたら、コロナ19事態以後、全国生活治療センターで需要が高まり、今はもう耐えられる水準ではない」と訴えた・・(韓国経済>>

 

市場を掌握した財閥企業が「いい製品を安く売るいい会社ですよ」を演出するため、協力会社に一方的な犠牲を強要するパターンと同じです。「重要なものだから、医療保険適用し、患者の負担金を安くするのは当然です!」としながら、裏ではメーカー側を苦しめているわけです。一つ前のエントリーで、「病床があればいいってもんじゃない。医療スタッフが足りない」という話を紹介しましたが・・『人が働いているからこそ、すべてのインフラに意味がある』こと。韓国政府はそこを見逃している気がします。

似たような話が、選別診療所(新型コロナの検査をするところ)関連でも聞こえてきます。昨日あたりから、ネットの一角で『選別診療所で検査を受けることができなくなった。新型コロナ感染者数を隠蔽するための陰謀だ』というコメントが目につくようになりました。いつもより数時間は早く受付を終了した、とかなんとか。でも実際は、「検査を受けに来る人が多すぎで、受付を早めに切り上げるしかなかった」とのことです。

 

 

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