先月のニュースですが、韓国、特にソウルの合計出生率が凄いことになっています。
ソウル市が直接出したデータですが、<<統計庁人口動向調査資料により、2000年から2020年までの20年間の人口動向結果を分析した結果によると、合計出生率は2000年1.28人から、2020年0.64人となり、20年前より半分に減少し、歴代最低値を記録した。ソウル出生児数は4万7445人で、2019年より6228人(11.6%)減少した。 2000年に比べると、8万5709人(64.3%)急減したことになる(ニューシース)>>、とのことでして。
2020年だから新型コロナの影響も受けているでしょうけど、いくらなんでも減りすぎ、な気がします。しかし、『改善できそうにないのは、記事にならない』という不思議な風潮はこの件でも同じで、このデータもあまり話題になりませんでした。ただ、一部の専門家は「『地獄庫』という言葉を知っているか」としながら、まずはそこからなんとかしたほうがいい、という意見を出しています。今日は、その地獄庫について紹介します。詳しくは後述しますが、庫じゃなく「考」かもしれません。漢字表記が無いので確かめる方法がありません。ただ、意味的には「庫」だと思い、本エントリーでは「庫」にしました。
最近は韓国でも普通の月払い(月ごとの家賃)制度が増えつつありますが、まとまった金を大家に預けて部屋や家を借りる「傳貰(ジョンセ)」制度も、まだまだ健在です。『最近は投資先もそう無いはずなのに、なんで大家は傳貰をやめないのだろう』と不思議に思われるかもしれませんが、前の入居者から預かった傳貰金(傳貰保証金と言います)をすでに使ってしまったので、それを返すには、新しい入居者から傳貰保証金をもらわないといけません。だから大家からしても、月払いに転換することが難しいわけです。もちろん、人によりますけど。
そういう事情もあって、傳貰がどんどん値上がりして(少なくとも値下げだけはできない)、去年9月、「パラサイト」に出てくるような地下部屋の傳貰金が、1千万円(以下、適当に、1円を10ウォンにします)を超えたという記事がありました。極端に言うと、1千万円の現金を持っている人でないと、パラサイトのような部屋にも住むことができないという意味です。9月10日の国民日報によると、「ソウルでは、住宅において脆弱施設とされる地下層の傳貰保証金も1千万円を超えた。これは、国土部が関連した取引価格を集計し始めた2011年以降、初めてのことだ」、とのことでして。
最近、「地獄庫」という言葉が流行っているそうです。韓国には「考試院」というものがあります。受験や国家試験などを準備するためにある施設ですが、家賃が安いので、いつからか安いアパートみたいな存在になりました。もちろん、狭く、施設も劣弱なので、住居脆弱施設に分類されます。その考試院すらも、一人用の部屋を半分に分けて二人に貸すなど、どんどん狭くなっていくので、「考」と同じ発音の「庫」を使って、地獄庫(ジオッコ)という言葉が出来たわけです。考試院だけでなく、家のリビングを10個の部屋に分けて(下のソース記事より)10人に貸したり、そんなケースも地獄庫と呼ぶ、らしいです。しかし、10等分とは、これはこれで簡単じゃなさそうですが、大したものですね。悪い意味で。
「地獄庫を、政治家たちは『不良住居』と呼ぶ」としながら、ハンギョレ新聞はこう書いています。今月12日の記事です。 <<・・2020年、関連団体ががある自治体で調査を行った結果、調査物件の78%が、実質的に違反(※建物の改造により、最低限の住居基準も満たしていない部屋を貸す行為、など)状態だった。いわゆる『不良住居』を当然のものだと考える市場、見て見ぬ振りをするコミュニティーの隙間から、住宅費に困っている人たちの選択肢は、不良住居だけだ。 オフィステルの中にも、最低限の住居基準すら適用されない対象が、罠のように張り巡らされている・・>>。
どこの国でも似たような問題はあると思いますが、やけに『地位』を強調する人が多く、また大勢の国民がそういう言葉を支持するから、でしょうか。この前の『ニート多すぎ』エントリーのときもそうでしたが、こんなデータに接する度、半端ない違和感と脱力感しかありません。しかし、この地獄庫問題が、出産率に影響を及ぼすだろうということだけは、容易に想像できます。ヘル朝鮮、土スプーン、地獄庫。次はなんでしょうか。高麗連邦(金日成氏が提案した南北制統一後の名)、とか?
※追記・・ツイッター及びコメント欄からの情報ですが、地下(ジハ)と屋根裏部屋(オクタプバン)と考試院(コシウォン)の頭文字で『ジオクコ』だそうです。意味的には地獄庫で合っているようで、本文はあえて修正していませんが、そこまでは気が付きませんでした。情報提供ありがとうございました。
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