『地獄庫』、担当政府機関の統計には集計されず・・『家じゃないから、集計しない』

16日にお伝えした地獄庫のこと、もう少し調べてみたので、追記のつもりで更新いたします。どうやら、集計対象にすらならない、とのことでして。地獄庫ってなんだ?な方は、過去エントリーを先にお読みください。

 

 まず、画像は、去年クリスマス、ソウル新聞の記事です。引用した部分はありませんが、色んな意味で印象的な写真なので、一応 URLだけリンクしておきます

いろいろ調べてみて驚いたのが、地獄庫率が思ったより高く、ソウルの「1人で住む青年世帯」の場合、37.2%は地獄庫(またはそれに準ずるもの)に住んでいる、とのことでして。2019年のデータです。ここでいう青年とは、20歳から34歳までのことです。34歳までなら、1人で住む人は結構多いのでは。

どっかにもっと詳しいデータもあると思いますがヒットしなかったので、去年4月29日の京郷新聞から、ソウル市が調べたデータを引用します。全数検査ではなく4000世帯に対する無作為検査ですが、1人世帯は33.3%、その中の40%が1人青年世帯、とのことでして。

どこをどう調べたかにもよりますが、とにかくソウルの全世帯が399万世帯だから、133万世帯ぐらいが1人世帯になるとして、その中の40%なら、33万世帯ぐらいになるのでしょうか。ちなみに、韓国全体で1人世帯は全世帯の約39%(急増中)。調査にもよりますが、その中の40%は無職だというデータもあります。じゃ、33万世帯の37.2%が地獄庫だとすると、大まかに12万世帯(12万人)。

ですが、さらに傑作なのは、「政府の統計にはこれらは集計対象にならない」とのことでして。統計庁はそこそこ集計していますが、この問題は、責任部署が「国土交通部」になります。その国土部の集計には、地獄庫の代表格である考試院や、これまたよく問題視されるビニールハウス(中で人が住んでいます)などの劣弱な住居は対象にならない、とのことです。理由は簡単で、「そんなの、家じゃないだろう!」です。家ですらないから、集計しない、とのことでして。

 

<<国土交通部が2年ごとに調査して発表する住居実態調査の「最低住居基準未達世帯」に、屋根裏部屋(オクタプバン、地獄庫の一つ)など53万世帯が抜けており、現実とかけ離れたことが分かった。2015年の統計庁の調査では、最低住居基準未達世帯は全国に156万752世帯(全体世帯数の8.2%)となっている。しかし、2016年国土の部住居実態調査では、103万世帯(全体世帯数の5.4%)に集計され、統計庁数値から約53万世帯、3分の1にあたる最低住居基準未達世帯が蒸発してしまったのだ。

国土部の調査結果が違う理由は、全数調査ではなく、住居実態調査で2万世帯を標本調査するからだ。実際、2012年の調査では、屋根裏部屋がソウルに全くないとの結果になっており、2014年の調査では1世帯だけだった。最近増えた考試院(コシウォン)や、ビニールハウスのような「家ではない家」は、住宅ではないという理由で、調査対象に入らないのも問題だ・・(2017年9月7日、ハンギョレ新聞>>

ハンギョレ新聞・・政治外交関連では本当に同意できる部分がありませんが、こういう分野では結構有能だな、と思うときがあります。左派なりの持論がある、といったところでしょうか。この件も、ハンギョレ新聞以外では記事にすらなっていません。

 

 

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