韓国紙「半導体において日米と手を組まないと、韓国の比較優位は一瞬で消える」

日本が(詳しくは日本と米国が)AIや半導体、先端技術などの『管理』を強化しつつある中、韓国側のメディアは、それらが『韓国に向けられる可能性』には一切言及していません。

本ブログにも何度か書いたことがありますが、私は『今の国際情勢の中、日本が対韓輸出管理厳格化を維持していることは、米国が何かの形で了解しているから』と見ています。そんな中、様々な『厳格化』の流れが韓国に向けられる可能性は、決して無視していいものではないでしょう。しかし、本当に誰も気づいていないのか、言ってはならない事情でもあるのか、韓国側でそんな趣旨を論ずる記事はありません(私が読んだ中には、ですが)。

ただ、表現は間接的ですが、そういう動きに韓国の半導体業界は緊張しているとし、『中国ではなく、日米側と手を組まないといけない。韓国の比較優位など、一瞬で消え去る恐れがある』と主張する記事がありました。理由は簡単で、中国から輸入してくるものは代替もできるけど、日米からのものは代替ができない、韓国の半導体は日米に頼るしかない状態だ、というのです。

読み方にもよりますが、最近圧倒的に流行っている『地位(位相)』を否定しているような、そんな内容でもあります。記事の趣旨は概ねこんなもので、ここで<~終~>にしてもいい気もしますが・・こういう内容ってデータが大事ですから、ここからは引用します。『ソウル経済』、16日の記事です。<<>>が引用部分となります。

 

<<去る10日、国内半導体業界は日本発ニュースに再び気をもむこととなった。日本の読売新聞が、日米両国が先端技術の輸出を制限する方案を検討中だと報道し、半導体や人工知能(AI)などの技術が含まれると予測したためだ。半導体サプライチェーンの再編が本格化しつつある状況で、米国が「私たちの側に立ちなさい」ともう一度圧迫してくるのではないかの懸念も提起される。

一部では、「韓国は、半導体など核心技術をもとに、米国中心のサプライチェーン再編に『私たちの声』を高くしよう」と話す人もいる。しかし、専門家たちは、半導体関連の装備や核心素材などは、米国と日本が掌握しているとし、韓国の『比較優位』はあっという間に消える可能性があると懸念する。韓国の貿易統計(2020年基準)を見ると、中国が2,413億ドルで米国(1,315億ドル)の2倍の水準だが、先端核心産業では米国や日本に相変わらず依存している。米国中心のサプライチェーン再編の流れに並ぶべきだという声に説得力がある理由だ。

16日、半導体業界によると、2020年基準で国内に輸入された半導体装備のうち、日本企業の割合が39.3%(30億2,000万ドル)で1位を占め、米国は21.9%(16億9,000万ドル)で2位を占めた。米国の装備企業は半導体装備の核心分野で高いシェアを誇る。安保有望技術センター(CSET)によると、米国企業は半導体蒸着関連装備の63.8%を占有している。エッチング(53.1%)、工程制御(71.2%)、機械研磨(67.5%)、イオン注入(90.4%)などで圧倒的なシェアを記録している。米国の半導体装備市場全体のシェアは41.7%に達し、日本のシェアは31.1%だ。一方、韓国のグローバル半導体装備市場シェアは2.2%に過ぎない。

国内半導体素材の輸入額も、日本と米国の比重が圧倒的だ。対外経済政策研究院によると、2020年基準の韓国の半導体素材輸入額は総92億2,400万ドル規模で、このうち日本(38.5%・35億5,000万ドル)と米国(11.3%・10億4,600万ドル)が全体の半分を占める。特にフレキシブルディスプレイ製造などに使用されるフルオリンポリイミドは、2020年基準輸入量の93.8%を日本に依存しており、半導体用ウエハに下絵を描くフォトレジストリー(86.5%)をはじめ、研磨剤(85.5%)、ダイボンドペースト(81.6%)、ブランクマスク(77.5%)なども日本依存度が圧倒的に高い・・>>

 

このあと、中国から輸入してくるものは、オーストラリアなどから代替できるけど、日米の先端記述はそうはいかない、という内容が続きます。ただ、韓国で作られた半導体やバッテリーは、中国にある韓国企業の工場との連帯などにより、すでに『物理的に』中国から離れることができなくなっています。半導体の場合(2021年、多分金額ベース)、4割近くが中国に頼っているという話もあります(中央日報系列の週刊誌、中央サンデー)。この『物理的』な側面を、なんとかできるのか。なんとかする気はあるのか。もしあるなら、『戦略的曖昧さ』という言葉のもと、タイミング完全に逃してないか、そんなところです。

最後に余談ですが、ソース記事のコメント欄、数はほとんどありませんが、中に印象的なものがありました。(記者に対して)『オマエよりずっと優秀な人材が奮闘しているから、黙っていろ』というのです。これ、韓国では定番の反論です。「ずっと学歴が高く有名な人が言っているから、それと同じことを言っている私が正しい」、と。ラムザイヤー教授のときに「ハーバード」に反応しすぎる人が多かったのも、そういう認識と無関係ではありません。

 

 

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