日米共同声明に、韓国政府が反対していた「CVID」明記・・韓国紙「米国が、韓国とは相談せず路線を変えた」

CVIDという単語を、北朝鮮(及び韓国政府)が『NG用語』にしているのは、前にもお伝えしました。いままでは米国も韓国も、CVIDという用語を避けていましたが、最近、米国がまたCVIDを使うようになった、というのが過去エントリーの大まかな内容でした。そのCVIDが、日米共同声明に登場しました。朝鮮日報はこの件で、『文在寅政府と相談せず、米国が路線を変更した』と分析しています。まず、朝鮮日報の記事を引用してみます。<<>>が引用部分となります。

 

<<ジョーバイデン米大統領と岸田文雄日本首相が、オンライン首脳会談で、日米ともに「核兵器非拡散条約(NPT)に関する米日共同声明」を通じて北核とすべての弾道ミサイルの廃棄を要求した。米日はこの声明で「私たちは国連安全保障理事会決議により、北朝鮮のすべての核兵器、その他の大量破壊兵器、すべての射程距離の弾道ミサイル及びそれに関連するプログラム及び設備の完全かつ検証可能であり、戻すことができない解体(CVID)を強力に決議する」と述べた。北朝鮮が核実験と大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射再開を検討すると発表した後、わずか1日で共同対応に乗り出したのだ。

これまで「朝鮮半島の完全な非核化」という曖昧な表現を使ってきたバイデン政権が、CVIDという強力な表現を公式使用したのは、大きな変化だ・・・・昨年4月末、対北朝鮮政策の検討を完了した後から最近まで、バイデン政権は文在寅政府と同じく「朝鮮半島の完全な非核化」という用語を使ってきた。「朝鮮半島の完全な非核化」は、米国が韓国に核傘を提供したり、戦略資産を配置してはならないという根拠として、北朝鮮が好む表現だ。北朝鮮に提案した「前提条件のない対話」を実現するために、バイデン政権が一部を譲歩したと解釈された。しかし、北朝鮮が20日、事実上核実験、ICBM発射再開を予告すると、米日首脳会談をきっかけに文在寅政府とは相談せず、CVID政策に復帰したと評価される・・>>

 

確かに、このスピードだと、相談もなにも無かったでしょうね。「時間」だけの問題でもないでしょうけど。CVIDというのは、単なる用語ではなく、路線の変更です。この点は間違いないでしょう。そこで、この話になるといつも気になる記事があります。ここからは邪推率が高くなるので、その点、ご理解願います。『文在寅政権最後の暴走』でもそこそこページを割り当てた記憶がありますが、例の『トレード』の話です。引用部分にも書いてありますが、昨年4月末、米政府は対北朝鮮政策の検討を完了し、韓国政府の要求をある程度受け入れました。米政府がCVIDではなく朝鮮半島の非核化という表現を使い続けたのも、その影響だと思われます。韓国政府の要求とは、基本的に「米国と北朝鮮が平和と繁栄のための新しい米朝関係を目指す」というシンガポール宣言の継承などです。ですが、それから1ヶ月後、毎日経済にこんな記事が載りました。

<<政府が、ジョー・バイデン米政府に韓日関係改善の努力を約束する代わりに、シンガポール宣言継承など、韓国が希望する対北政策をかなりの部分反映させたことが、17日に確認された。複数の外交情報筋によると、政府は昨年末、バイデン大統領が当選すると、大統領府国家安保室と外交部を中心に対米説得に乗り出した。核心は、前任のドナルド・トランプ政権で行われた米朝シンガポール宣言、段階的非核化戦略などをバイデン政権が受け入れるようにすることだった。

一方バイデン政権は、これに対する反対給付として「韓日関係の改善」を要求した。政府関係者は、「米国が望むのは同盟強化である。ここに集中してくれれば、対北政策では韓国の意思を最大限反映してくれるという立場だった」という。他の外交情報筋も、「昨年末、米国務省が『韓日関係を改善すると、対北政策では韓国が望むものを含めてやる』と韓国政府に話したと聞いている」と述べた。最近、対北政策の検討を終えたバイデン政権が、シンガポール宣言継承を取り上げ、私たちの政府が積極的に韓日関係改善の意志を示すようになったこと、それは二つの政府間の利害関係が一致した結果だというのだ・・>>

 

韓国政府はこの記事を否定しているため、本当かどうかは分かりません。でも、私はこの記事と、それから起きた韓国政府の『日本、会ってくれ うわあぁぁ』シリーズとは、何かのつながりがあると思っています。もちろん、北朝鮮のスタンスがもっとも大きな問題でしょうけど、『努力』のタイムリミットがもう切れたのではないか、と。ちなみに、もう一つ書き加えるなら・・そのタイムリミットの断行には、日本が日米韓共同記者会見を拒否したことが、かなり強く響いたのではないでしょうか。

 

 

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