毎年2回、ソル（旧暦元日）と秋夕（チュソク、旧暦お盆）になるとかならず賃金未払いニュースが大きく報道されます。
でも、去年秋夕あたりから相応の報道が少なくなり、今年はソル連休なのに、まだ全国規模のデータは公表されていません。自治体単位の記事だけです。集計に何か問題があったのか、『韓国』という言葉を使ってそんな内容を報じてはいけないのか、理由は分かりませんが邪推ばかり膨らみます。で、本ブログ独自にエントリーしてみました。
まず、韓国の賃金未払いですが、2016年基準で、賃金未払い労働者数32.5万人、1兆4286億ウォン。同年の日本の賃金未払いの労働者は3万5120人、未払い額の規模では127億2138万円で、100円を1110ウォン（ソース記事2019年9月10日の終値基準）の為替レートで換算すると、日本の約10倍になります（ニューシース）。2019年の記事が2016年のデータを引用していること自体、すでにこのときからデータの公表に何か問題があったかもしれませんが・・韓国日報の去年の記事によると、「2019年に約1兆7200億ウォンで最高値、2020年に約1兆6千億ウォン」とのことです。
特に、未登録移住労働者（違法滞在者、就労ビザ無しの労働者など）の場合、未払いの賃金を受け取るのはほぼ無理です。もちろん違法的に就労しているのが悪いですが、「せめて、賃金を受け取る手続きは必要ではないのか」と指摘されています。
担当政府機関の勤労労働庁の勤労監督員が、賃金未払いの件で労働者（外国人）から相談依頼を受け、相談に応じていました。すると、急に警察が来てその依頼人（労働者）を連行していきました。その会社の社長が、警察に『ここに未登録移住労働者がいます』と通報したのです。この場合、『被害救済』より『出国させる』が優先となるため、賃金はパーになる、とも（KBSより）。
大邱市のある未登録移住労働者A氏（スリランカ人）は、賃金を払ってくれと社長に抗議したら、暴行されました。社長はA氏を殴り倒し、賃金を諦めるとサインさせた後、警察を呼びました。暴行現場に来た警察は、社長ではなくA氏を連行、それで終わりでした。＜＜・・（A氏）「社長様が、ほうきの木で、こう、ここ、ここ、私、殴られました。ほうきで、私、ここも殴られました。私、とても怖いです。眠れないです。何も食べられないです」。社長は暴行現場に警察を呼びました。未登録滞在者だったAさんを通報したのです。Aさんは犯罪被害者だったのに、そのまま警察に連行されました・・（MBC）＞＞
そもそも、韓国では「賃金未払い」が、そこまで重い問題だと思われていません。2021年ソルの記事ですが、KBSが労務法人「労働と人権」とともに2020年の賃金滞納1,247件を分析した結果は、次のようです。＜＜・・1審裁判で事業主に実刑が宣告された場合は45件、全体の4％にとどまりました。それすらも、3件のうち1件は執行猶予であり、半分以上が罰金刑でした。平均罰金額は200万ウォンで、罰金刑が宣告された件の平均賃金滞納額が1500万ウォンであることに比べると、未払い賃金の13％水準に過ぎません。事業主が賃金を支払わなくても、罰金は数百万ウォンにとどまっているし、それに、未払い額が大きいほど、滞払額に対する罰金比率はむしろ低くなることが分かりました・・（KBS、去年2月8日）＞＞。
賃金未払いだけで13犯の社長に、「罰金刑を超えたことがない」という理由で減刑した（罰金を少なくした）判決もあったとか。KBSと一緒に本件を分析した労務法人の人は、「大韓民国は、賃金を支払う必要がない国だ、それが確認された気がします」と話しています。
曇りますね うわぁぁぁ
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