去年9月、金与正氏が「『挑発』は使うべきでない」と言ってから、韓国政府は一度も『挑発』を言わなくなった

昨日(30日)、ついに韓国政府の北朝鮮関連コメントに「糾弾」という言葉が出てきました。日米からは普通に出てくる言葉で、国連の糾弾共同声明にも日米共に参加したりしましたが、実は韓国政府が北朝鮮関連で「糾弾」を言ったのは、ずいぶん久しぶりのことです。最近相次いでいるミサイル発射においても、韓国政府が「糾弾」と言うのは初めです。

ただ、今回もやはり、『挑発』という単語は入っていませんでした。本ブログの読者の方々は、覚えておられましょう。韓国軍が無理矢理『韓国側に撃ったわけじゃないから挑発ではない』と説明したことを(1月5日の過去エントリー)。実は去年9月、北朝鮮の金与正氏が、まるで大人が子を教育するような論調で、『挑発という言葉は使うべきではない』と話したことがあります。それから韓国政府は、北朝鮮関連で挑発を言及したことがありません。記事を2つ引用してみます。各紙、<<>>が引用部分となります。

 

<<大統領府と政府(※統一部)は、北朝鮮の弾道ミサイル試験発射と関連して「糾弾する」という立場を明らかにした。しかし、金与正(キム・ヨジョン)労働党副部長が公開的に不快感を表わした「挑発」については、言及が無かった。統一部は30日今日午前、大統領駐在NSC緊急会議およびNSC常任委員会会議に基づき、「北朝鮮が中距離弾道ミサイル発射で朝鮮半島非核化および平和安定のための韓国と国際社会の努力を毀損し、朝鮮半島情勢の不安定を招くことについて糾弾する」と言った。

これに先立ち、大統領府は文在寅大統領駐在の下で国家安全保障会議(NSC)緊急会議を開催、外交的解決要求と国連安保理決議に対する挑戦だとし、これを糾弾するという立場を出した。ただし、大統領府と政府は、今回も北朝鮮の発射テストを「挑発」と規定していない。先に金与正副部長が公開要求した『二重基準撤回要求』を受け入れた結果だと思われる。二重基準撤回とは、北朝鮮の新武器テストを「挑発」ではなく「正当な国防力強化行為」だと認めてほしいという、無理のある主張だ。

金副部長は昨年9月の談話で、「公正性とお互いに対する尊重の姿勢が維持される時だけ初めて北南間の円滑な疎通も可能になるだろう」とし「私たちに向かって、むやみに『挑発』などという俗な評を下すべきではない」と明らかにしたことがある。金副部長の該当発言以後、与党・政府・大統領府は、事実上、『挑発』をタブーとしてきた・・(デイリアン>>

 

談話が発表されたのは去年9月15日です。なんと、その日の午後までは、文在寅大統領自ら『挑発』とちゃんと言ってました。でも、その日の夜、『叱られて(?)』、それから言わなくなりました。

<<・・文大統領は昨年9月15日、北のミサイル発射を『挑発』と規定する発言をした。当時、文大統領は「北朝鮮が昨日、巡航ミサイルを発射したのに続き、今日、弾道ミサイル2発を発射した」とし「今日、様々な種類のミサイル戦力発射試験の成功を通じて、私たちはいつでも北朝鮮の挑発に対応できる、十分な抑止力を備えていることを示した」と話した。同日、NSC(国家安全保障会議)常任委員会も、「NSC常任委員はまず情勢安定が非常に重大な時期に行われた北朝鮮のミサイル発射挑発に対して深い懸念を表明する」とし、「挑発」と表現した。

しかし、同日の夜、金与正・北朝鮮労働党副部長が朝鮮中央通信に公開した談話で、「南朝鮮の文在寅大統領が『私たちのミサイル戦力は北朝鮮の挑発を抑えるのに十分だ』という不適切な失言をした。非常に残念だ」と主張した後、文大統領とNSCは、挑発という表現を使わなくなった。これは南北関係梗塞局面を打開するための努力の一環として解釈されてきた(マネートゥデー>>

 

最後の談話の部分、デイリアンのように「私たちに向かって、むやみに『挑発』と言う俗な評を下し、北南間の言い争いを誘発すべきではない」まで入っていたら、もっと読みやすくなっていた気がします。内容は十分理解できますが。

でも、この「談話の後に言わなくなった」という話、実はオチがもう一つあります。27日のアジアトゥデイというネットメディアによると、「実は、談話の前にもほとんど言わなかった」そうです(笑)。2021年に文大統領が北朝鮮関連で『挑発』を言ったのは、9月15日1回だけ、とのことでして。そろそろ1回は言わないとマズいと思って気合い入れて言ったのに、即場で怒られて完全にやめた、といったところでしょうか。

 

 

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