4日と6日、韓国紙のワシントン特派員たちが、相次いで同じ趣旨の記事を書きました。日米関係が、特に安保においてさらにパワーアップしようとしている。韓米同盟は二流になった。韓米関係は根幹が揺らいでいるのに、なぜ危機意識すら無いのか、そんな趣旨です。目新しいテーマでもありませんが、現地の特派員が聞いた、日米関係、そして米韓関係の現状ということで、紹介したいと思います。まず、2月6日ソウル経済の記事からです。各紙、<<~>>が引用部分となります。
<<『アジアでさらにくっつく日米・・韓国はどこに(題)』。ジョー・バイデン米大統領が、春、クアッド首脳会議の出席のために日本を訪れる。ワシントン政治情報筋たちの間では、バイデン大統領が日本に到着する頃、米国と日本の鉄鋼関税交渉の妥結が有力視されると言われている。米国政治専門メディア「ポリティコ」は、「ホワイトハウスは具体的な妥結時点こそ言及しないでいるが、バイデン大統領は(日米鉄鋼)交渉の早い妥結を望んでいる」と伝えた。
バイデン大統領は日本とともに韓国にも訪れる可能性が高いが、米国と韓国の鉄鋼輸出クォーター制交渉は、始まってもいない。最近も通商当局は米国側に交渉開始を要請したが、キャサリン・タイ米国貿易代表部(USTR)代表は「世界的に供給過剰の懸念が大きい」と冷静に応えた。来る11月の中間選挙を控え、自国鉄鋼業界の反発を覚悟してまで日本との関税紛争を終わらせようとする米国が、韓国には違う基準を適用しているのだ。
鉄鋼関税紛争の終了は、新しい日米関係を自祝するセレモニーになるだろう。最近、日米関係を置いて、一部では1980年代「レーガン・中曽根」、2000年代「ブッシュ・小泉」時代が再び開かれるのではないかという観測まで出ている。ブルース・クリンナー ヘリテージ財団選任研究員は、「中国の権威主義に対抗する上で、日本がますます価値のあるパートナーになりつつある」と評価した。
米国の朝野では、バイデン政府がアジア地域で新たに構築する貿易秩序、インド太平洋経済フレームワーク(IPEF)の核心同盟国も、結局は日本になると見ている。同盟間のサプライチェーン構築、人権問題のある国家の輸出を制御する機能、東南アジアへのインフラ投資など、IPEFの主要な構成要素において、米国と日本の利害関係は堅固である・・
・・(※台湾問題に関して積極的な日本は)単純な右傾化などではない。台湾周辺の海上輸送路は、日本には生存の問題だ。台湾は日本の3番目に大きな輸出市場であり、日本海上貿易の40%以上が南シナ海を通過する。日本の立場では、台湾が中国に渡れば、領有権争い中の尖閣列島(中国名釣魚島)まで危険になることがある。 「自由で開かれたインド太平洋」という概念が日本で始まったのは、決して偶然ではないのだ。
このため、日米は安保協力において新たな時代を開こうとする。冨田浩司 米国駐在日本大使は最近、ポリティコとのインタビューで、「日本の指導者は、中国と北朝鮮を打撃できる弾道ミサイルや巡航ミサイルを配置する案まで考えている」と伝えた。これは、平和憲法に基づいた日本の専守防衛の原則が崩れる可能性があるという意味でもある。
問題は、このように変わていく日米関係の中で、韓米同盟がどのように存在感を維持するのかである。韓米同盟は歴史的に北朝鮮の脅威を防ぐことに焦点を当ててきたが、米国は今や対中牽制において韓国により積極的な役割を望んでいる・・・・韓米関係の根幹が根本的に揺れているのに、韓国政府にはまだ危機意識すら無い>>
4日には、文化日報のワシントン特派員も、ほぼ同じ趣旨の記事を載せました。 <<『米国で二流に転落した韓米同盟(題)』・・韓国政府・与党は、北朝鮮・中国の顔色ばかり気にしている・・・・反面、韓国の国家安全保障を支援している同盟米国には、「米軍が韓国に来ている理由は、米国の利益のためだ」と大声で叫ぶ。永遠の同盟などない。韓国の地政学的・経済的重要性が大きくても、米・中バランス外交がどうとかといいかげんな立場を堅持すれば、米国の忍耐も底をつくだろう。米国には、北朝鮮ミサイル問題を日本と先に議論するし、中国関連の問題で韓国の不参加を当然視する専門家たちが増えている。すでに不吉な前兆が見られているのだ。韓米同盟環が弱化したり消えたりすれば、2000年間韓国を属国と見なしてきた中国が、韓国をどう扱うだろうか>>
ちなみに、両紙ともに、別に保守系というわけでもありません。左派系でもありませんけど。内容は、「なにをいまさら」と言ってしまえばそれだけですが・・ある意味、『韓国はもう地位が高い。何もしなくていい』という最近の韓国のスタンスと、正面衝突しているようにも見えます。最近韓国が乱用している『地位』『国格』という単語と、ソース記事の『二流』を対比させてみると、なおさらです。
中華思想においての『地位』なら、たしかに今のほうが上かもしれませんけど。文在寅政府の「朝鮮半島平和プロセス」の設計者とも言われる、キム・ギジョン(金基正)国家安保戦略研究院長は、2021年、こう話しました。「韓国は、経済成長、軍事力の成長、誇りと民度の上昇、市民性に基礎した防疫の成功などで、米国にとって、国際社会でより活用価値の高い存在になった。日本は、米国が考える対中国包囲網の真ん中に進んて入ったのに対し、韓国は一歩下がったところに立つことを、米国から認められたと言える。日本と違って、韓国は自由に動く余地ができたのだ・・
・・米中対立が激化すればするほど、私たちの外交の柔軟性が重要になると思う。米国は、過去のように『在韓米軍撤収するぞ』などと、韓国を圧迫するようには動かない。そうするには、韓国があまりにも大きくなりすぎてしまった。韓国が米国にあまりにも多くの利益を提供できる国になってしまったのだ(2021年9月7日、ソウル新聞)」。さて、どうしたものでしょうか。それから7ヶ月後に「二流だ うわあぁぁ」と言われているわけですが。
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