『名声(地位)』だけ見て、『名誉』は見ていない社会

皆さん、お金に関する本を書いたときにブログにも紹介したことがありますが、「ゴンチャ」という言葉を覚えておられますか。単語の意味だけだと、無料、『ただ』の意味です。しかし、単に価格がゼロという意味ではなく、韓国社会ではこのゴンチャにこだわる人が多すぎで、しかも「努力無しに良い結果だけもとめる」「タダ乗りしようとする」などの意味として、研究する人にもよりますが、社会心理学のテーマにもなっています。

『恨(ハン)』や『情(ジョン)』の副作用、『ウリ』の副作用(集団利己主義)など、他の社会問題と同じく、このテーマも最近はタブー視されているのか、改善されていないのに、誰も何も言わなくなりました。でも、久しぶりに、ゴンチャ関連のコラムがあったので紹介します。最近、本ブログでよく取り上げている、『韓国は地位(まるで、身分)が高いから、何もしなくていい』というスタンスとも、一脈相通ずる部分があります。以下、保守系ネットメディア「ペン アンド マイク」から、コラムニスト・チュドンシク(現・全羅南道理事管)氏のコラムを引用します。<<>>が引用部分となります。

 

<<・・韓国では、ノブリス・オブリーゼ(noblesse oblige)という言葉が誤解されている。もともと、この概念は、自分がこの都市、この国の主人として、相応の責任を負うという意味であり、それだけの正当な代価を払うというものだ。つまり、『ゴンチャはない』という原則の実装である。しかし、私たちの国では、大金持ちまたは権力者が、そうでない人たちに、強制で「ただで寄付させる」論理として使われている。

結果は同じではないかと反論するかもしれないが、内容は正反対だ。西洋でのノブリス・オブリーゼが「ゴンチャなど無い」という精神の表現なら、韓国では「ゴンチャを強要することが『善』だ」という歪んだ論理になってしまったからだ。ゴンチャの心理学と最も距離がある価値は何だろうか。それは、『名誉』である。

ゴンチャを期待する心理は、本質的に、人のものをただでもらおうとする、奪おうとするマインドだ。私のものではないものを、卑劣で違法な手段で自分のものにしようとする心理だからだ。当然、韓国社会で最も目につかない価値も、まさに名誉である。

韓国社会で「名誉」という言葉が使われる事例を見ると分かる。韓国で名誉は、「名声」という言葉をそれっぽく見せるための使い方でしかない。事実上、韓国人は名誉という言葉から何の感じないと断言できる。言葉の本当の意味を全く理解していないのだ。ゴンチャを『善』とする心理には、名誉という概念が入る余地など無い。もともと朝鮮半島で名誉は珍しい価値だったが、左派思想の価値観が蔓延するようになってから、その傾向がさらに激しくなった。

端的な表現が「人が暮らす世の中だ」「人が先だ」(※日本で某党が使った『コンクリートから人へ』のように、人間中心の世の中にするという趣旨のフレーズです)というスローガンだ。人が重要だから、その人の価値や行為を評価しないで、何も問わず公平に分けあたえる『大同思想』の世界を作ろうという話だ。その結果、人のものをただでもらおうとする、奪おうとする人たちが、貴族になってしまった。貴族労組と呼ばれる人たちの横行が、そのような現象をよく表している。

中国の法治は、その出発からが、個人と個人、個人と集団が対等な関係の中で相互規律する契約の延長ではなく、支配者が被支配階級を効率的に管理する手段だった。特定の支配階級が、被支配階級に対する所有権を確実にし、他の集団はそこに手をつけないようにする概念に近い。法の支配(Rule of Law)ではなく、法による支配(Rule by Law)だったわけだ。「法の支配」がないため、個人の権利や人権という概念自体ができない。中国文明では対等な契約関係というのが成立できない。支配したり支配されたり、どちらか一つに過ぎない。

中国は21世紀の国際秩序では、成立不可能な大国意識に濡れて、「小国が大国に逆らってはいけない」などの詭弁を重ねる理由がここにある。しかも、個人さえ集団主義に慣れているため、自分は大きな国の人で、他の国の人々は小さな国の人にすぎないという考えが意識の底に敷かれている。韓国には、このような中国の影響が長く残っていた。韓国の近代化は、こうした中国の影響から脱皮するための闘争だった・・>>

 

最後、「っていた」「だった」は間違いではないかな・・と思いました。現在進行中、いや悪化中でしょう。中国のほうより、日本、日韓関係を見たほうが分かりやすいかもしれません。基本条約の破棄などは『(物質的、精神的に)もっともらうための』ものだし、拙著の題にもなっていますが『卑日』など、善悪論もどきによる上下関係の強要は、中華思想の強要そのものです。

社会にゴンチャ心理が広がっているのは、ゴンチャを『自分自身が待遇されている』と思っているからでもあります。なんと、ただでものがもらえる。私は凄い。まるで、なにもしなくても身分の低い人たちが全部やってくれた、両班(貴族)のようだ。そんなところです。そう、こういうところが(良からぬ意味での)名声、言い換えれば地位への欲求であり、そこに名誉はかけらもありません。

もちろん、部分的な見方にすぎないかもしれません。私の心が曇っているだけかもしれません。無料商法(?)を全否定するつもりもありません。怖いとは思いますけど。でも、この韓国社会の『ゴンチャ』心理、『名誉の反対側にある』心理は、今現在、韓国の内部だけでなく外交においても、そのまま現れています。これは、私のK(気)のせいでしょうか。

 

 

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