韓国の金富謙(キム・ブギョム)国務総理が、日韓関係改善のためにいくつかの象徴的措置が必要だ、と話しました。外国メディア記者たちとの懇談会での発言です。「この期に及んで首脳会談でもしようというのか?」と思って読んでみましたが、なんと、キム総理が持ち出した「象徴的措置」の事例が、2001年新大久保駅のホームから転落した人を助けようとしてもうひとりの日本人とともに犠牲になったイ・スヒョン氏と、北京オリンピックで日韓スピードスケート選同士の友情です。ソース記事はニューシースです。しかし、キム総理の発言は、その後、『政治家』の話に移り、「だから、政治家が両国関係を遠ざけてはならない」というのです。以下、引用してみます。<<~>>が引用部分になります。
<<金富謙総理は22日、韓日関係改善のために「お互いに対し、お互いを信頼できるような、両国国民がある程度は納得できるような、そんないくつかの象徴的措置が必要だ」と話した。金総理はこの日、ソウル中区韓国プレスセンターで開かれたソウル外信記者クラブ懇談会で、「かつて私たちはイ・スヒョン氏という韓国の一人の若者の犠牲を通じて、日本国民たちと韓国国民がどれだけ近づけたかをよく知っている」とし、このように言及した。また最近、北京冬季オリンピックのスピードスケート種目で注目されたイ・サンファ、小平選手の友情に言及しながら「日韓間の次の世代は、基本的に本当にお互いに信頼できる友達になることができるという姿を見せてくれた」と話した。
金総理は「私たち政治家たちも、このような国民の願いに答えなければならない」とし「政治家たちが自分たちの政治的な理由のために両国国民を遠ざけてはならない」と話した。また、「国会にいたとき、韓日議員連盟副幹事長、副会長などで10年近く過ごした」とし「両国間でどうしても絞り込むことができない問題もあるが、もっとお互いに近づくことができる問題もあると、よく知っている」と言った・・>>
イ・スヒョン氏の場合、その犠牲は尊いものだと、実に惜しまれることだと思っています。しかし、だからこそ、それを日韓関係だけに繋げようとする動きには拒否感があります。日韓関係よりまず、駅ホームから人が落ちないようにするための行動が論じられるべきでしょう。また、いつものことですが、同じく人を助けようとして亡くなったもうひとり(関根史郎さん)についての話は、何も出ていません。むしろその二人を一緒に取り上げたほうが、『協力』というイメージに合うのではないか、そんな気すらします。小平選手もそうです。友情があるのはとてもいいことです。でも、それを日韓関係がどうとかのために使わないでほしいと思います。
私は総理の懇談会での発言が、「ああ、これ、日韓関係において『韓流』を持ち出すのと同じだ」としか思いました。逆バージョンとして「韓国には日本文化ファンが多いから」というのもあります。そうやって『肯定的な点を探して、道具とする』ことで解決できる問題ではありません。戦後、両国関係の基本になった国家間の条約を壊し、いわば超えてはならない線を超えておいて、なにを言い出すのか、と。他人の家に勝手に入って、『スポーツ選手たちのように仲良くしましょう』といったところで、それが何になるのでしょうか。キム総理の発言は、むしろ、彼が事例として言い出した人たちを利用しようとしている、そう思えて仕方がありません。ありのままにしておけばいいものを、何もしてやれなかったのに、無理して持ち出して、利用しようとしている。そんなふうに見えてしまいます。
なぜ、そう見えてしまうのか。それは、(ソース記事だと)最初にキム総理が自ら言っています。『お互いを信頼する』。そう、それが問題の根源です。お互いを信頼するから友だちにもなれるし、人間の命の重さを信頼しているからこそ、他人のための犠牲もありえます。どんなことだろうと、人との関係に信頼を抜きにして語れることなどありません。国も人の集まりです。その中にいろんな人たちがいます。信頼無しで外交ができますか。だから私は日本のこのセリフが好きです。『国家間の約束を守れ』。
最後にいつもの告知ですが、アップデートした内容はありませんが、コメントの注意事項、未読の方はぜひお読みください。次の更新は、明日9時頃を考えております。最近、やっと更新時間が安定してきました。ホルホル。
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