韓国有力大統領候補「韓国ウォンはもうすぐハードカレンシーになる。だから国家負債は問題ではなく、家計負債の解決にもなる」

以下、韓国ではハードカレンシー(hard currency)のことを「基軸通貨」と言うので、引用部分などの基軸通貨はハードカレンシーに変えてあります。

韓国与党「共に民主党」の大統領候補である李在明(イジェミョン)氏が、韓国の国家負債問題(後述しますが、間接的には家計負債問題)は、もうすぐ韓国ウォンがハードカレンシーになる可能性が高いから、そこまで深刻な問題ではない、そういう趣旨の発言をしました。大統領候補によるテレビ討論番組で。遠回しな言い方ではありますが、要は、「だから私のバラマキに文句を言うな」ということです。韓国は、今年、ハードカレンシーを持っていない国の中では、国家負債の増加率が1位になると予測されています。また、もう随分前から言われている家計負債問題も、もはや「深刻と書いて平常と読む」状態になっています。

李候補は、韓国はいままで「国家が負うべき負債を、国民に負わせてきた」とし、ハードカレンシー国家になって債権をパパパっと発行できるようになれば、間接的に家計負債問題も解決できる、という趣旨を話しています。でも、「もうすぐハードカレンシー国家になれるよ!(なれるよ!)」ということで、国家債務、すなわちバラマキもそこまで心配する必要はないので、家計負債問題への対処にもなる、というわけです。どことなく、「ドルは基軸通貨だから、国家負債を増やしても破綻しない」を意識しての発言にも見えます。

 

個人的に、韓国政府が「国民の借金」を誘導してきたのは事実だと思っています。金大中政府からずっとそうですが、とにかく国民が借金してどこかに投資、いや「投機」をするように政策を進めます。代表的なものが、再開発など不動産投機です。そうやって経済を回してきました。たまには徳政令などをプレゼントし、ぎりぎりで借金できる余地を与えながら。最近は、この流れが若い人たちにまで来ていて、ヨンクル(魂を預けてでも借金する)投資というものが流行っています。

でも、だからといって「ハードカレンシーになるから大丈夫」というのは、あまりにも無責任すぎます。それに、結局は左派側のバラマキ政策を正当化させるためのものに過ぎないでしょうし。美しいバラマキにはトゲがあるものです。しかも、そのハードカレンシーのソースとなる報告書に、「すぐハードカレンシー国家になれる」とは書いてない、とのことでして。ここからは「ペン アンド マイク」から引用してみます。本ブログの読者の方々にはおなじみでしょうけど、韓国の保守右派系ネットメディアで、イ・ウヨン氏の寄稿文など、日本関連でも一般的な韓国メディアとは違う意見が載ったりします。<<~>>が引用部分になります。

 

<<李在明 共に民主党大統領候補が、韓国の国債比率が高いという他候補らの指摘に、「韓国はすぐにハードカレンシー通貨国になる可能性が高い」と話し、論議が起きている。李候補は21日、中央選挙管理委員会が主管する初の公式テレビ討論会で、国債発行に対する指摘が出ると、「我が国は、他の国、先進国に比べて国債比率は低く、半分にも及ばない」と反論した。尹錫悦(ユン・ソクヨル)候補はこの日、「じゃ、国債をいくら発行してもいいという意味か」と、(※李候補が考えている)国債の適正な規模を尋ねた。

李候補は「韓国国民の家計負債比率が高すぎる。世界で一番高い」とし「一方、国家負債比率は全世界で最も低いほうだ。他の国は110%を超えるが、韓国は50%にもならない。国家が負担すべきことを個人に負わせたからだ」と答えた。尹候補は「そんなこと聞いてません。いくらでも国債を発行していいと言うのですか?」と尋ねた。すると李候補は「私は『いくらでも』なんて言ってない。それは嘘だ」「GDP50~60%を越えれば、ハードカレンシー通貨国でないと多少厳しいだろう」、「韓国は、すぐにハードカレンシー通貨国になる可能性が非常に高い。それだけ経済力水準が高い」と主張した・・>>

 

あとで与党側は、「全経連(韓国経済人連合)が出した報告書がソースだ」としましたが、全経連側は、「その報告書は、韓国のウォンもIMFのSDR(特別引出権)に編入できる力があるとしたもので、ハードカレンシーの話ではない」と火消しに走りました。最近、中国「元」が、SDRに編入されました。中国が自国通貨の国際化を進めている一環だと言われています。そこで、韓国からも「じゃ、ウォンも」という報告書が出たわけです。最近、国中に溢れている『地位』という言葉とも、無関係ではないでしょう。

最近、尹候補が誤差範囲を超えてリードを広げ、私も「あ、これ尹候補の勝ちかな。左派が政権を守るためにもっと結束すると思ったが、大したことないな」と思いました。しかし、一昨日から、また「誤差範囲内の接戦」という調査結果が増えてきました(リードしているのは尹候補です)。候補単一化の噂のあった安哲秀(アン・チョルス)氏が、一人で完走する(単一化しない)と公言してしまったせいで、尹候補の支持率に影響を及ぼしたののではないか、そんな分析も出ています。支持率1桁の安候補が、何でここまで単一化を拒むのか、よく分かりません。単一化できれば余裕で勝てるという予測が多いですが。選挙は3月9日。結果はもうすぐ分かるでしょうけど、どちらも、油断できない状態です。

 

 

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