高校生がクラスメイトに「お前の爺さん、親日派だろう」と言っただけで、精神的被害300万ウォンが認められる

この最初の段落は、最後に書きました。本当は面白おかしく書いておしまいにするつもりでしたが、なんというか、ちょっと書いていたら何かムッとすることがありまして。詰め込みすぎで、何が言いたいのか全然分からない構成になりました。雑記のようなものだと思ってお読みください。ブログはいつも『長くならないように』と気をつけているつもりですが。機会があれば、もっとちゃんとまとめてみたいと思います。

数多くのバカゲタ案件を紹介してきましたが、今日は特に「あ、もうここまで来てるんだな」な内容です。2017年のことです。韓国、首都圏となる京畿道(キョンギド)という地域の某高等学校、1年生同じクラスのAくんとBくん。ある日、Bくんは、Aくんに「お前の爺さん、親日派だろう」と話しました。Aくんがいつも良い服を着ていたので、『お金持ち』というイメージから、親日派という言葉が出てきたと思われます(記事にそういう趣旨が書かれています)。以下、話を進める前に、私なりに考えている韓国社会の『背景』を書いておきたいと思います。この社会的認識について、AとBがそれぞれ、どれだけ重く受け止めいていたのか、それは分かりません。しかし、題にも書きましたが、民事裁判まで行った事案です。決して『気軽に触れてはならない』背景が存在するのは、間違いないでしょう。

韓国では、親日派というのは大金持ちで、独立運動家は貧しいという先入観があります。これは、韓国で既得権益を持つ勢力、いわば戦後~高度経済成長期に韓国の様々な分野で指導者として活躍した人たちを、まるごと『親日』というカテゴリーに封じ込むことができます。この前、「日本博士JOY」で有名なウェブトゥーン作家ユン・ソイン氏が、併合時代に成功した韓国人は、ただ当時を熱心に生きようとしただけではないのか。貧しかったというのは、そうでなかっただけではないのか。それに、独立運動家の子孫って今を生きている人たちなのに、親日勢力のせいで今でも貧しいというのはおかしい。そんな趣旨の文をフェイスブックなどに投稿し、国中から叩かれ、光復会から複数の訴を提起されました。光復会側の弁護士は、ユン氏を訴えたことを「トイレ掃除のような社会奉仕」と表現したりしました。

「スプーン階級論」などでも論じてきましたが、最近(でもないか?)の韓国の若い人たちの間では、必要なのは大金持ちに『なる』のではなく、大金持ちの子として『生まれる』ことだとする、なんというか、諦め、または嘆きのような感情が広がっています。私は、このスプーン階級論がここまで流行った理由は、単に社会の格差問題だけではないと見ています。そもそもスプーンというのは、詳しく語源は特定できませんが、大まかに二つの言葉から来たものだと思われます。一つは、韓国で最高のプレゼント、または権力の象徴とされていた、「金のスプーン」。

もう1つは、「銀のスプーンを口に加えて生まれる」というヨーロッパの諺。貴族の赤ちゃんは、乳母が直接ミルクを飲ませることは禁じられていました。だから、銀のスプーンにいったん出して、それから赤ちゃんに飲ませます。韓国では結構前から(私が幼かった頃からありました)、「金スプーンを口に加えて(または『身につけて』生まれた」と『身分を悔しがるのと似ている』という慣用句がありました。詳しくは分かりませんが、多分、金スプーンとヨーロッパの諺が、多少不確かな形で合体(?)したのではないか、と思われます。そう、スプーン階級論についてネットに溢れる書き込みも、給料少ないと嘆くものももちろんありますが、根本は『大金持ちの子で生まれたい』に集約されます。

これをどれだけ重く受け止めるのかは人それぞれでしょうけど、このネットの時代、高校生たちとて、ある程度は影響を受けていることでしょう。多分、言った方は軽い気持ちで言ったのかもしれませんが、「おじいちゃん、親日派だろう」と言われたAくんは、黙っていませんでした。AはBに対し、「言っていいことと悪いことがある」と怒り、Bは謝罪しました。しかし、謝罪したのに、それとも謝罪したからか、AとAのの両親は、Bを訴えました。ここからはちょっと引用してみます。<<~>>が引用部分になります。

 

<<・・3ヵ月後、この学校ではAの申告で自治委員会が開かれた。 AくんはBくんが虚偽の事実で自分の名誉を毀損しただけでなく、イギリスのサッカーリーグの試合結果を話しているうちにも自分の頬を叩いたり、トイレである部位に触れたりしたと主張した。だが、学校側は「Bはすでに謝罪した」とし、措は必要ないと判断した。すると、Aくんは翌年、両親とともに捜査機関を訪れ、Bくんは刑事裁判を受けることになった。裁判所は、殴った部分だけを認め、罰金50万ウォン、ただし宣告猶予判決をした。一定期間問題を起こさないと、宣告そのものが免れる制度だ。名誉を傷つけられたなどの部分では、無罪となった。

A側は、民事訴訟も進めた。Bの行為によって精神的被害を被ったとし、4000万ウォンの賠償を請求したのだ。事件が発生して4年が過ぎ、やっと訴訟の結論が出た。裁判所は、「親日派」発言について、Bの責任を一部認めた。判事はまず「B軍が「A軍の祖父が親日派」という趣旨の言葉をした事実は認められる」としながらも「名誉毀損に該当しない」と明らかにした。 「実際の親日行為をした」という意味というよりは、「A軍が毎日他の服を着てお金が多いようだ」という考えから一発言だったという判断からだ・・

・・担当のカン・ジンウ判事は、「Bの発言は、Aに対する『侮辱』に該当する」と判示した。特に、「35年間も日帝時代という痛い歴史を持つ韓国社会で、『親日派』という言葉は、単に特定の国家に対して友好的という意味を越え、相手をけいべつ的に表現したり、嘲笑する表現として使われることが、明らかである」と言った。カン判事は、Bとその親は、AとAの親に対し、暴力と侮辱による精神的損害額を支給しなければならないと判決した。A側が請求した精神と治療費などを受け入れず、合計300万ウォンと算定した(アジア経済、2月28日>>

 

韓国社会において、大人にとっても青少年にとっても、人間関係においても、法律においても、『日本』というものがどのような存在なのか。それが垣間見える、いやでも見えてくる、そんな事案ではないでしょうか。毎日のように『親日』という言葉を目に、耳にします。数十年前に亡くなった人のお墓に、『この人、親日です』とプレートを作って設置したりします。でも、それに対して、その亡くなった人の子孫すらも、文句を言う人はいません。事実上の連座制ではないのかという指摘にも、『親の罪で子を処罰すべきだと言っているのではない。ただ、子はその親の罪を認め、決して親に同調しない義務がある。例えば朴槿恵は、朴正煕の親日を擁護してはいけない』との主張が、全てを無力化させます(キムウォンウン氏の発言で、『時事今日、時事ON』とのインタビュー、2020年9月26日です)。

ちなみに、これは韓国が日本に対して要求している『謝罪』ともつながる内容です。韓国は、日本人が親や先祖の行いを完全に否定することを願っていますから。しかし、この理屈だと、『金正恩は金日成や金正日の間違いを庇護してはいけない』になりますが、案の定、そんな主張は聞いたことがありません。あ、この発言した人、光復会という独立有功者協会の会長ですが、それから2年経たずに数々の不正が明らかになって、辞任しました(プッ

※ 本エントリーにコメントをされる方、またはコメントを読まれる方は、こちらのコメントページをご利用ください次の更新は、朝9時あたり考えております。 3月2日は、いよいよ、拙著「卑日」の発売日です。昨日、出版社からサンプルも届きました。ありがとうございます。書きたいことが書けて、幸せです

 

 

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