最近、似たような話が複数のエントリーで出ていますが、身分の高い人が『徳』を示すことで、身分の低い人を『感化(教化、感化させることが教育になる)』させること。それが、両班(貴族)による統治の理想な姿です。だから、身分の高い人は低い人を『教育』しようとします。
もちろん、学問を教えるなどの具体的な行為ではなく『素晴らしい私を見て誰もが感化されるだろう(HAHAHA)』の形なので、これといって何かを自分でやる、言い換えれば『努力する』ことは何もありません。そもそも、身分が低いのは徳が無いからで、それは生まれつきで、世界万物に貴賤があるのはどうしようもないことだ、そういう世界観だったので、徳の無い人(下の人)が徳の高い人(両班)を見て感化されたとしても、別に身分の低い人の徳が高くなるわけでもありません。ただ、水が高い場所から低い場所に流れるように、そうしなければならないのです。それが正しいものです。
感化こそが真の『支配(上下関係)』だという考えが、まだ残っているから、でしょうか。それとも、自分自身に根拠のない自信があるから、でしょうか。日本に対して『日本が韓国に対して言っていることは、単に日本が我が国を知らないだけだ。彼らに教えてやればいい』とする主張が根付いています。忘れた頃に一つずつ記事が上がってきますが、今回はオーマイニュースに、日本の某動画サイトで大統領選挙を生中継した際に参加したジャーナリスト、パク・チョルヒョン氏が書いた記事がありましたので、紹介したいと思います。結構長いので、本エントリーの趣旨に合う部分だけ2箇所、引用してみます。<<~>>が引用部分となります。
<<・・意図したかどうかは分からないが、日本の昼のテレビ番組、ワイドショーなどが我が国のニュースを扱う観点は、非常に偏っている。騒々しく、問題が多く、気に入らないと街に出て騒ぐだけの民主主義に、法治ではなく人治に依存し、結果的に大統領たちは任期が終われば、大変なことになる、そんな式で報道する。問題は、このような報道が続くと、政治についてよく知らない一般市民が、間違った見解を持つことになってしまうという点だ・・>>
<<・・民営放送の問題はここで終わらない。必ずユン・ソギョルは親日で、イ・ジェミョンは日本に強硬だから、ユン・ソギョルでないといけない、または二人のうち誰が大統領になっても韓日関係は変わらないとする、否定的、決めつけな反応が主流だ。これに対して私たちは(※動画サイトの放送で)「ある国の外交政策はそんなに100%誰が正しいか、正しくないかで分けられものではなく、絶えず会話を続けながら妥協点を探すのが外交の基本なのに、最初から断定的に定めていけば何もできない」と指摘したりした・・>>
<<・・日本ワイドショーは、大統領候補たちが日本にどういう態度を示すかだけで両党の候補を説明し、韓日関係が間違っているため文在寅の外交はだめだったと主張する。しかし、大きな観点から見ると、日本が文在寅政府の外交の全部ではない。南方外交、中東外交、何より韓米関係は今が最高の関係なのに、日本の放送はそのような部分はほとんど説明せず、ただ日本との関係にのみ焦点を合わせる。マクロ的な視点なしに細かいものだけにこだわる。そんな重要な隣国で、扱う分量も本当に多いのに、全体を見ることもできず、見ようともしない。視聴者たちはこのような私の言葉にも、大きな共感を見せた。そう10時間放送を進行した。これまで漠然といくつかの経験だけで感じてきた印象が一般化された。平均的な日本人たちは、おそらく我が国についてよく知っていると自ら考えているが、実はよく知らなかったのだ・・>>
書いた人に悪意があったかどうかまでは分かりませんが、ざっと読んでみた結果、「だから、教えてやらなければならない」がメインでした。さて、どうでしょう。少なくとも記事に書いてある『日本の放送が指摘した内容』は、そこまで大きな問題は無いように見えますが。今の米韓関係が最高だとする放送があるなら、そのほうが問題ではないでしょうか。というか、韓国メディアも、この前の自民党総裁選で、誰がもっと右派なのか、強硬な態度を示すのか、それをメインで報じていたし(いざ総裁選で日韓関係がそこまで話題になったとも思えませんでしたが)、岸田さんが総理になってからも、『比較的ハト派』『衆議院選挙さえ終われば岸田は折れる』『参議院選挙さえ終われば岸田は折れる』とばかり報じてきました。結局、他国の選挙ってそういうものでは。
本ブログでも紹介しましたが、MBCの「大統領が裁かれる国は、誇らしい。日本はそんなことできない」とする報道も、結局は同じ趣旨です。MBC(3月7日大邱MBC)は日本現地の通信員と、ろうそくデモこそが民主主義国家だ、日本は自民党のせいでダメだ、そんな主張をする数人の日本人を集め、ろうそくでもが本当に優れた民主主義なのに、日本はそれが分からない、という内容を展開します。「約3年間民主党に政権を渡しただけで、64年間も自民党政治。連立政権の時もあり、単独政権の時もあったけど、日本国民が今こそダイナミックな姿を見せなければならない時ではないか」、「日本を利用して支持率を上げているとか、日本ではそんな間違った報道が多い」、「そのせいで、一般視聴者たちは、そういう認識になってしまう」、などなど。
そして、「『なんで大統領が任期終われば逮捕されますか?』と言われたことがある。しかし、私はこの部分において恥ずかしさではなく誇りを感じました。誰に対しても、いつでも、審判できる国だからです。しかし、日本は、誰も責任を取ろうとしないし、審判など、 しようとも、されようともしません。私は、むしろこのような部分が、日本を超える原動力ではないかと思いました。だからこの部分で誇りを感じたわけです」とするのが、MBCの結論です。
今回のオーマイニュースとの共通点は、『その話をした場には、日本人も参加していて、共感した』を強くアピールしている点です。そうすることで、『これは当然だから』という点をアピールしたかったのでしょう。言わば、『徳』や『感化』と同じ、それは当然だから!という固定観念をから離れたくなかったのでしょう。どんな屁理屈をくっつけてでも。『当然』を気にしているなら、まずは国家間の約束から守ることです。
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