安倍元総理のNATO式核共有発言だけでなく、韓国でも日米との「NATO式核共有」主張が提起される

私の主張はまだまとまっていないので、ほとんどが『紹介』だけの、いつもよりもっと堅苦しいエントリーになります。2月の末頃に、安倍元総理がテレビに出演して、NATO式の核共有について話したことがあります。ロシアによるウクライナ事態もそうですが、安保理常任理事国が当事者になった場合には、国連は動きづらくなります。日本はNPT加盟国であり、非核3原則もありますが、こんなときだからこそ、もっとタブーの無い議論が必要だとし、安倍元総理はNATO式の核共有に言及したわけです。

意味的には、「日本は核兵器を保有していないけど、同盟国である米国の核兵器を日本内に配置し、それを共同で運用する」というものですが、ただ、そこまで直接的に言ったわけではありません。安倍元総理は、日本領土内の核兵器配置を主張したわけではなく、「そういうやり方で自国を守る国もある」とし、まずは核共有についての議論そのものを始める必要がある、と話しました。韓国側ではこの発言が結構大きく報じられました。中には、「だめだもう終わりだ」な論調の記事もありました(笑

それから岸田総理が、参議院予算委員会で「核共有の件は、非核3原則を堅持する我が国では認められない」と話しましたが、それでも韓国側のメディアからは、安倍前総理の発言に関する、なんというか、ある種の『恐れ』が消えないでいました。理由は、本ブログでもお伝えしたことがありますが、まずウクライナ事態を『見る目』が、日本と韓国とでは全然違うからです。日本はこの問題を、自国の安保と繋げて考えていますが、韓国はそうではありません。ここからは『時事ジャーナル』から引用してみます。また、昨日の夕方のエントリー(台湾問題に関するもの、追記はしておりません)も、未読の方は合わせてお読みください。以下、<<~>>が引用部分となります。

 

<<・・ウクライナ事態後、日本で核共有発言をはじめ、防衛力強化による安保確保を主張する議論が活性化されている。その理由は何だろうか。沖縄国際大学のノゾエフミアキ准教授は、ウクライナ事態が中国と台湾の関係と重なることで、「憲法改正や米国との核共有、防衛力強化といった強硬右派の論調が高まっている」と指摘した。中国が台湾に対し、ウクライナ事態のような動きを見せれば、日本の安保にもっと直接的な影響を及ぼす事態が発生する可能性があるという不安が高まっているということだ。

実際、読売新聞が3月4日に実施した世論調査によると、「ロシアの武力による一方的な現状変更が今後他の地域に波及し、中国が台湾に武力行事をするなど、日本の安全保障上の脅威につながると思うか」という質問に、日本国民の81%が「そうだ」と答えた。ウクライナ侵攻が単に他人事ではないという危機意識を、日本国民の大多数が共有するのだ・・>>

 

過去エントリーでも書きましたが、これは、むしろ『他人事』と考えるほうが、問題があるでしょう。ただ、そんな韓国内でも、NATO式の核共有を主張している人がいます。ギリギリのタイミングで候補単一化に同意した、安哲秀(アン・チョルス)氏です。ここからは文化日報からの引用となりますが、安倍元総理に関する米国側の反応(ウォール・ストリート・ジャーナル)も載っているので、一緒に紹介します。この件についてシンシアリーは、「タブーのない議論」という考えを支持したいと思います。他にはまだ長くかけそうにないので、引用してそのまま終わりにしたいと思います。

 

<<・・NATO式の核共有は、(韓国の)大統領選挙の際に提起された問題でもある。アン・チョルス(政権引き継ぎのための)引受委員長は、大統領選挙候補TV討論の際、「戦術核の持ち込みは避けながら、沖縄とグアムにあるものを活用する協定が必要だ」とし、いわゆる「韓国型核共有」を提案した。ユン・ソギョル当選者は、これについて言及を避けたまま、拡張抑制強化論だけを話した。だが、ユン当選人の最側近で、引受委の外交安保分野で幹事に任命されたキム・ソンハン高麗大国際大学院教授は、アン・チョルス氏の言った核共有と同様の考えを持っている。彼は昨年、安保専門家たちと書いた「北朝鮮核脅威にどのように対応するか」という報告書で、「NATO式核共有協定を通じて核の傘の信頼性を高めることができる」とした。また「日本海(※原文では東海)米国の原子力潜水艦を配置し、同盟の間での共同管理に置く案を検討できる」と提案した・・

・・ジョー・バイデン米政権は、安倍元総理の提案に公式の言及を避けている。しかし、ウォールストリートジャーナル(WSJ)は1日、「日本で提起されている新しい論争」という社説で、「核共有は米国がアジアで同盟を深化させる機会になれる」と評価した。また、安倍の提案に対して「グローバル秩序を壊そうとする時代に、検討してみる価値がある」とした。プーチンの挑発で自由主義の世界秩序が揺れる混乱期には、新しい方法で国家を守護する必要性が大きくなる。それほど、米国も安倍の破格的な提言を検討しなければならない、という主張である>>

 

 

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