韓国の自治体で、世界遺産登載の候補としている、ある昔の国のことで、『その国名ではマズい。でも他の国名が無い』というワケのわからない騒ぎが起きています。ぶっちゃけ、任那日本府関連です。どういうことか、少し詳しく書いてみたいと思います。
もう懐かしい話ですが、文在寅大統領が、朝鮮半島にあったとされる「伽倻(ガヤ)」という国の歴史を発掘するように指示したことがあります。ただ、それからこれといった実績があったとは聞いていませんし、3年か4年やって実績が出るようなものでもないでしょう。
とにかく、現政権になってから伽倻関連で展示会があったり、いろいろイベントはありましたが、その中でも特に力を入れてあるのが、慶尚南道(キョンサンナムド)あたりにある、伽倻のものとされる古墳群(7つ)を世界遺産として登載申請するプロジェクトです。歴史的価値がどうなのかまでは分かりませんが、別に申請したかったらすればいいじゃないか、としか思いませんでしたが・・『国名』が問題になりました。実は去年10月から続いている議論ですが、まだまだ結論が出ていないようでして。
いまは伽倻(ガヤ)として一つの国のように言ってるけど、実は伽倻は、複数の小さい国(国という呼び方でいいのかどうかも疑問ですが、便宜上そういうことにすると)でできた、いわば国家群です。だから、古墳があるとしても、それぞれ『別の国』のものです。だから、古墳の説明には、「伽倻」だけでは困難で、ガヤを構成していた国家群の、どの国のものなのか、少なくともそういう説明は必要です。さすがに、今の自治体の名前で説明するわけにもいかないでしょうし。
ですが、その国名を知っている人が誰もいません。いまの~~の地域あたりにあった、そういう大まかな位置までは分かっていても、それらの国をなんと呼んだのか、関する資料はありません。こんな状態でよくも「国家群」「国家」という呼び方を使ってきたものだな、とちょっと驚きました。いや、「ありません」は違います。一つ、あります。他でもない、日本書紀です。ここからは引用してみます。<<~>>が引用部分となります。
<<・・共に民主党のキム・ヨンジン議員は、世界文化遺産登録申請書に摘示されている「多羅国」(現在の『陜川』あたり)と「己汶国」(現在の『南原』あたり)の名称が、「日本書記」で任那に属しているとされる国名であることを指摘した。彼は「この名称を使うことは、伽倻が日本に属するものだったと、日本に有利な主張を認めるようなものであり、この名称で世界遺産に登載するのは、日本の主張を私たち自らの手で世界に知らせるようなものだと批判した。陜川と南原などの古墳群は、一部の文献記録と研究成果を踏まえ、「多羅国」、「己汶国」として世界遺産登録申請した状態である。
彼は「伽倻史にまで、なぜ日本の歴史観が残っているのか」とし「佐渡鉱山をユネスコに登載すると推進しているのに、私たちは日本の任那日本府説を一発でやぶることができる伽倻史を登載するにおいて、むしろ日本の主張を助けようとしているわけだ」と話した。そして「伽倻史の正しい在り処は、『任那は朝鮮半島には無かった』にならなければならない」とした・・(ノーカットニュース)>>
私がちょっと疲れているのでしょうか。「一部の文献記録と研究成果を踏まえ、多羅国、己汶国として世界遺産登録申請した」と書いてあるような気がしますが。そこまで自信があるなら、『国名は変えることにしました(急になんのこっちゃ)』すればいいでしょう、変えれば。もっと『正しい』ものに変えればいいじゃないですか。
要は、他の資料が無いから問題でしょう。それを、『正しい在り処は、日本側の主張と違うこと』とし、しかも『そうでなければならない』としているあたり、もう無理じゃないでしょうか。というか、今まで『違う』と言ってきたのは、何を根拠にしてのものだったのでしょうか。いつものこと、と言ってしまえばそれだけですが。
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