最近、韓国でクアッド関連の記事が増えました。尹錫悦(ユンソギョル)氏が大統領に当選したことで、韓国もクアッドに加入するのではないか、そんな内容です。それもそのはずで、尹当選人自らが、クアッド加入を推進するよいう公約を出しています。クワッド傘下のワクチン、気候変動、新技術ワーキンググループなどに韓国も協力し、正式加入を目指していく、という内容でした。記事にもよりますが、クアッド加入がほぼ決まったかのような書き方をするメディアもあります。
一部のメディアは、クアッド参加国の首脳と全て電話会談したことが、クアッド加入が近い証拠だとも報じています。実際、米国、日本、オーストラリアに続き、17日にインドのナレンドラ・モディ総理と電話会談をしました。だから尹当選人の外交は、韓国の伝統的な外交である「4強外交(日本、米国、中国、ロシア)」ではなく、クアッドをメインで考えているのではないか、そんなところです。
この理屈がまったく間違っているとも思いませんし、繰り返しになりますが尹当選人の公約なので、韓国も加入する方向に進むのは事実でしょう。ただ、尹当選人は中国の大使ともちゃんと面談しているし、電話会談の順番もクアッドだけでなく、米国、日本の次はイギリスでした。その後がオーストラリアとインドです。ロシア大使と会ったというニュースは聞いたことがありませんが、それは外交方針というより、「現状」によるものかもしれません。また、うろ覚えですが、朴槿恵氏の場合は1回目か2回目の電話会談が、ドイツのメルケル総理でした。就任当時は米国との関係をものすごく強調していただけに、単純に「首脳同士のスケジュール」の問題もあると思われます。
そこで、個人的には「加入する方向になるだろうけど、そう簡単ではないのでは」「よく調べてみると、すぐ正式加入するとも言っていない」と思っていましたが・・ニュース1の報道によりますと、米国務省より、「クアッド参加国を増やす案は用意されていない」という話が出てきました。19日(現地時間)「VOA(ボイス・オブ・アメリカ)」が、尹氏のクアッド公約のことで米国務省に質問したところ、国務省スポークスマンは「今まで、クワッドは外部パートナーとの協力手続きを用意していない」、と答えた・・とのことでして。同盟国の次期大統領の公約があるのに、このタイミングで、他でもないVOAの質問に対してこの発言が出てきたのは、ちょっと意外です。ここからはちょっと引用してみます。<<~>>が引用部分となります。
<<・・米国務省のこのような回答は、クワッドに他の国が加入することは考慮していないという意味だと解釈される。国務省スポークスマンは、「米国と韓国間の同盟、経済的関係、国民間の親密な友情は、インド・太平洋地域の平和と安保、繁栄のリンチピンだ」とし「米国は韓国の防衛に専念し、また、気候変動と新種コロナウイルス感染症、サプライチェーンを含む主要なグローバル課題に対して、ユン当選人と協力を深めることを期待する」と明らかにした。
ユン当選人は大統領選挙期間中、「クワッド傘下のワクチン・気候変動・新技術ワーキンググループに本格参加して機能的協力をしていき、今後正式加入を模索する漸進的アプローチを追求する」と公約した。尹当選人の公約は、「クワッド国家と事案別に協力を模索していくことができる」としていた文在寅政府の立場よりは、一歩進んだものだ。ユン当選者はジョーバイデン米国大統領を皮切りに、岸田文雄首相、スコット・モリソン オーストラリア首相、17日ナレンドラ・モディ インド首相などクワッド首脳らと電話会談した。そのことで、5月に就任してからクワッド加入に速度を出すのではないか、という観測が出ている・・>>
まだ就任すらしていないから、というのもあるとは思いますが・・尹当選人側って、おもったより、米国側とあまり疎通が無いのでしょう。だからこんな『食い違い』が起きたわけです。日本側とも、何かをやる、改善する、そう言っているものの、具体的な案も出ていないし、尹当選人側と日本側が何かの接触をして話し合ったとはとても思えません。米国ともそういう状態なのでしょうか。
一つ前のエントリーで、尹氏側の人が「問題は前の政権」としていると書いたばかりですが、日米からすると、そうではありません。そもそも、米国が韓国の外交政策に強い疑問を抱くようになったのは、保守派の朴槿恵政権でした。日本からも、「一応期待はするが、右か左かの問題ではない」という意見をよく目にするようになりましたし・・尹氏の当選で、韓国の外交が急に日米側に接近できると、それを既成事実とするメディアが多い中、現実はそう簡単ではないようです。文政権でも尹政権でもありません。日米からすると、『韓国』ですから。しかも、前任者がかなり・・(ry
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