北朝鮮が、ついに弾道ミサイル発射を再開しました。ちょうど政権交代期ということもあって、韓国各紙は『文政府が5年間努力してきたことが、すべて無に帰った』などと報じています。さすがに空気を読んだのかそれとも本当に怒ったのが、文大統領も今回ばかりは(いままでに比べると)強い反応を示している、とのことです。中央日報はこの件で「文大統領に『見せつける』かのように、北朝鮮はレッドラインを超えてしまった」としながら、次のように報じています。以下、<<~>>は引用部分となります。
<<金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮国務委員長が、ついに大陸間弾道ミサイル(ICBM)に手を出した。 任期末まで朝鮮半島の平和プロセスを蘇らせようと努力した文在寅(ムン・ジェイン)大統領に、まるで『見てろ』と言うかのように、レッドラインを超えたのだ。24日、合同参謀本部によると、軍はこの日午後2時34分ごろ、平壌の順安一帯で発射された弾道ミサイルを捕捉した。弾道ミサイルの飛行距離は約1080km、高度は約6200km以上であった。日本防衛省は北朝鮮の弾道ミサイルが71分間飛行し、午後3時44分ごろ日本の排他的経済水域(EEZ)内に落ちたと明らかにした・・
・・(文大統領が2017年11月以来初めて『強力に糾弾する』という表現を使ったことで)これまで北朝鮮の多くのミサイル挑発にも、「対話がより必要になった」と解釈してきた文政府がこのような立場を出すしかなかったのは、今回のICBM発射が、朝鮮半島平和プロセスが完全に終わったことを意味するからだ。 南北対話は断絶され、北朝鮮の核武力増強は続く状況で、最後の希望だった「それでもICBMは撃ってない」さえも、消えてしまったのだ。誰よりも「平和大統領」としての業績達成に大きな重要性を置いた文大統領だが、任期の初め(※2017年)と最後の年が、すべて北朝鮮のICBM挑発で染まったことも、政府としてはあまりにも痛い部分である・・>>
他にも複数のメディアが、同じ趣旨を書いています。いつもなら文政府のスタンスに強く反対しなかったメディアも、『結局、こうなってしまった』な論調で記事を出しています。まだまだ朝鮮半島平和プロセスに可能性がある『ように』見えた、2018年4月の南北首脳会談。そこで金正恩氏自らが約束したとされる「ICBM中断(韓国で言う「核・ミサイルモラトリアム」)は、朝鮮半島平和プロセスの代表格でした。同じく中央日報も、これを『文大統領の平和業績の中でも核心だった』としています。
引用部分にも似たような話が出ていますが、それから2019年に米朝首脳会談が決裂してから、平和プロセスは説得力を大いに落とすことになります。それから北朝鮮は何度も何度もミサイルを発射してきましたが、その際にも韓国側、文政府は『挑発ではない』『軍事合意違反ではない』『国連決議違反ではない(と思う)』などと、北朝鮮側を擁護してきました。今年に入ってからも、文政府は「それでも北朝鮮は核ミサイル モラトリアムだけは守ってきた(中央日報より直訳)」としながら、それを希望としてきました。
北朝鮮が南北通信線を切るなど、『もう南とは対話しない』というスタンスを示したときにも、文在寅政府は「それでも、北朝鮮が大陸間弾道ミサイルを撃ったわけではない」と話すなど、どうしても朝鮮半島平和プロセスの『希望』だけは守ろうとしました(この部分はニューシースです)。 ニューシースはこの件で、『結局、今回のICBMで、(文政府とて養護できないほどに)限界を超えてしまった』としています。また、尹錫悦(ユンソギョル)政府に対し、『先手を取る』意味もある、と。この部分は引用してみます。
<<・・任期があまり残っていない文在寅政府としては、北朝鮮に態度の変化を要求する手段もない。 北朝鮮のICBM発射で尹錫悦大統領当選者の対北朝鮮強硬対応基調に呼応する世論が力を得る可能性が高まった。色々と、北朝鮮の今回のICBM発射は、文在寅政府にとって大きな打撃となる。イムウルチュル慶南大極東問題研究所教授は、「4月15日『太陽節』前から、事実上、対決が本格化したものと見なければならない。現政府はもちろん、執権する尹 次期政府の対北政策も、事実上、重大なテストを受けているわけだ」、 「北朝鮮は、米国だけでなく次期ユン政府を、先制的に破ろうとする意図も表わしたことになる」と分析した・・>>
北朝鮮が、結局は『時間稼ぎをしているだけ』という話は、南北首脳会談が盛り上がっていた頃から提起されてきました。それが、約4年6ヶ月後、こうして現実になったわけです。本当に、なんだったのでしょうか。あの『平和』盛り上がりは・・・日本のことで、朝鮮半島平和プロセスに参加しないと、「このままだと蚊帳の外に」とか、そんな記事が結構目立っていた、そんな記憶がありますが・・
最後に、重要なお知らせです。今日、正午の更新は休みます。いろいろ、揃えないといけないものがあるので、どうしても時間が取れず、休むことになりました。頑張って仕事をこなし、次の更新は17~18時に致します。どうか、ご理解ください
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